医師の業務委託の報酬を、株式会社の売上として入金させることはできるのか? ①

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2018/02/10
医師の業務委託の報酬を、株式会社の売上として入金させることはできるのか? ①

大学病院や大手の病院で働いている医師は、通常、他の医院や病院の手伝いも行っています。まず大学病院や大手の病院で働いているときに受け取るお金は給与となります。理由は下記の4つの観点から、従業員という立場としか考えられないからです。

個人事業主として医院経営や病院経営を行っていると、医業収入を稼ぐために使った経費を計上できます。その差額の利益に対してのみ、所得税がかかります。

一方、給与となると、税務署が決めた給与所得控除額を自動的に差し引くことになります。理由は、給与をもらっているサラリーマン全員が1年間で使った領収書を集めて確定申告するとなると手続きが煩雑ですし、税務署も対応できません。だからと言って、経費をゼロとするのは現実的ではありません。

そこで、税務署が勝手に概算経費として1月1日から12月31日までの1年間の給与の総額に対して、一定の計算式で給与所得控除額を計算できるようにしているのです。

ところが、この給与所得控除額が所得税の毎年の税制改正で、どんどん下がってきているのです。

例えば、あなたが医師として医院や病院から受け取った合計額、つまり年収が2000万円だったすると、平成24年までは1年間で270万円の給与所得控除額が差し引けました。1年間で270万円とすると、1ヶ月22万5000円ですから、それほど低い金額ではありません。もし年収が3000万円だったならば、1年間で320万円の給与所得控除額が差し引けたのです。

結局、給与所得控除額とは、医師として給与を稼ぐために直接かかった経費として、これぐらいの金額ならば認めてもいいよというものなのです。
ときどき医師から、
「友人と飲みに行ったり、スポーツジムで運動をすることで仕事のやる気が出るだろ。だから飲み代やジムの利用料も経費として含めるとしたら、この給与所得控除額は少ないんじゃないのか?」
と聞かれたこともありました。
ただ「直接かかった」というものが、原則、経費となりますので、友人との飲み代やジムの利用料は該当しません。とすれば年収3000万円の医師で、月額26万円の経費が認められるのは不利な金額ではなかったと考えます。

やはり国税庁の中にも、「給与所得控除額が大きすぎる」、また「年収が上がると青天井で給与所得控除額が上がるのはおかしい」という意見がありました。そのため、平成25年からは上限が決められて、最大245万円とされてしまったのです。それでも2000万円の年収であれば、給与所得金額は変わりませんでした。ただ3000万円となると245万円に下がってしまったのです。

給与所得控除額の引き下げの改正は、これで終わりませんでした。次に平成28年度からは230万円が上限となり、そのあとも改正され続けて、平成29年度から下記の給与所得控除額となったのです。年収2000万円でも、年収3000万円でも、1年間で220万円が給与所得控除額の上限となります。

そして、平成32年度からは下記の表の金額になることが決まっています。年収2000万円でも、年収3000万円でも、1年間で195万円の給与所得控除額となり、月額16万円と計算できます。

平成24年のときに年収3000万円だったときと比べると、給与所得控除額は60%に減額されてしまいました。

このように、医師がアルバイト先の医院や病院から給与として受け取ると、合算した年収からこの給与所得控除額しか差し引けないことになります。
一方で、

医師がアルバイト先の医院や病院と業務委託契約を締結して、外注費として支払ってもらえば、事業所得となります。

事業所得となれば、給与ではないため、実際に直接かかった経費を計上できることになります。
ここで再度の確認ですが、「直接かかった経費」と認められるものだけが経費として計上できるのです。業務委託契約が締結できるかは、実際に働いている医院や病院と個別交渉してみないと分かりません。

すべての医院や病院と業務委託契約を締結できるわけではないと思いますが、すべて断られることもないはずです。私自身が、業務委託契約を締結している医師の確定申告書をいくつも作成しているからです。

業務委託契約が締結できた場合でも、2つだけ問題が残ります。

1つ目が、同じ医院や病院で働いている他の医師が給与としてもらっている場合、その人と働き方が違うのかということです。契約書だけ業務委託契約にしたとしても、実態が給与であれば、あとで税務署に指摘されることになります。

2つ目は、医師に他の収入がある場合です。
例えば、雑誌の原稿料やセミナーの講師代、書籍の印税などです。これらは医師の事業とは違うため、雑所得となります。そのため、これらの売上に直接関係する経費だけを差し引き、残りを給与などと合算して所得税を納めることになります。それでも、これらの収入に対して直接かかった経費がたくさん見つかることはなく、所得税率は高くなるはずです。

これらを回避するために、1つの提案があります。

それは医師が株式会社を設立して代表取締役に就任して、そこが医院や病院と業務委託契約を締結して、外注費を受け取る方法です。

これならば、雑誌の原稿料やセミナーの講師代、書籍の印税なども株式会社の売上にすればよいのです。でも法律で、こんなことが許されるのでしょうか?

次のブログで、詳しく解説していきます。

 

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