勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか? ①

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2017/04/10
勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか? ①

勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか?①

勤務医から突然、
「自分で株式会社を設立したから、業務委託契約を締結してもらえませんか?」
と切り出されることがあります。
ただ、法人に業務委託を行い、それにもとづき、医師が診療を行うことはできません。また株式会社という提案までは少なくても、
「雇用ではなく、委託として個人で契約してくれませんか?」
という主張は多いはずです。

雇用と委託では、下記の違いがあります。

勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか?①

委託契約となれば、医院や病院側は消費税に関して控除できるというメリットがあります。

一方、勤務医側にとっても事業所得となれば、自分で使った経費を計上できるのです。しかも、経費を計上した結果、事業所得が赤字になれば、勤務医が別の医院や病院からもらっている給料とも通算できます。
それだけ、所得税が低くなるのです。
つまり、医院や病院側にも、勤務医側にも、税務上のメリットがあります。
では、デメリットはないのでしょうか?

医院や病院側に税務調査が入り、給料とみなされてしまうと、過去に遡って医院や病院側にとっては源泉徴収漏れ、かつ消費税も納付漏れとなります。もちろん、ペナルティも含めて追加で納めることになります。勤務医側にとっても、経費が認められないことになり、こちらも過去に遡って所得税が追徴されます。
どちらにとっても、ペナルティを考えると、かなり損をします。
そのため、メリットにつられずに、本当に委託契約が成立しているのかを、事前に判断しなければいけません。

このように、税金については、医院や病院側と勤務医側で利益が相反することはなく、お互いに委託契約にすることで、メリットが生まれます。

あとで税務調査で否認された事例に関しては、東京地方裁判所で平成24年9月2日の判決が参考になります。

勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか?①

上記の判決から、3つに注意すればよいことが分かります。

勤務医と医院との関係は、雇用契約なのか、委託契約なのか?①

もちろん、3つのことをすべてやらなければ、委託契約と認められないということはありません。あくまで総合的に判断するということですし、診療科目によって内容は変わってくるはずです。また実際に、勤務時間を決めた経緯など分かるのかと質問を受けることもあります。それでも、税務調査のときに、医院や病院と勤務医がやり取りしたメールなどがあれば、それも証拠の判断されるべき1つとなるのです。

とにかく、勤務医は雇用契約とみられる可能性が高いので、委託契約とするのであれば、できるかぎり資料を揃えておくべきなのです。

追加して注意すべきことがあります。
それは委託契約が可能なのは、あくまでいろいろな医院や病院で働く勤務医であることが前提となるということです。

勤務医として、1つの医院や病院に専属で働く場合には、どれほど資料を揃えたとしても、委託契約にはなりません。

あくまで、複数の医院や病院と委託契約を行っていることが大前提です。

もちろん、1週間のうち4日間働いている、1つの医院や病院とは雇用契約となり、それ以外の医院や病院とは委託契約になることはあり得ます。

ここまでは税金の話であり、医院や病院と勤務の間で利益相反することもなく、お互いに委託契約を締結して、実態も伴うように協力することが可能ではないかと思われます。ところが、雇用契約か、委託契約か、というのは税金の話だけで終わるのではないところに、問題があるのです。

それは次回のブログに続いて記載していきます。

 

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