看護師や社員の労働時間について、ルールを作って運用しないと、あとで訴訟になりかねません

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2012/09/04
看護師や社員の労働時間について、ルールを作って運用しないと、あとで訴訟になりかねません

看護師や社員は、労働条件について下記の2つのことを気にします。

1つ目は給料です。
2つ目は労働時間です。
どちらも全く別物ではなく、お互いに関連し合っているものですが、ここでは労働時間に焦点を当ててみましょう。

労働時間とは、始業してから終業までの時間です。

当たり前ですよね。院長の指揮命令できる時間で、休憩時間を除きます。

ここで所定労働時間とは、休憩時間を除いて、医院や病院が自分たちで勝手に決めた労働時間のことです。看護師や社員を募集するときに、書きますよね。

一方、法定労働時間とは、労働基準法で決められた、やはり休憩時間を除いて、1日8時間という労働時間になります。

この法定労働時間は、下記のように決まっています。

  • 【1】医院や病院は休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはいけない
  • 【2】医院や病院は1週間の各日については、看護士や社員に休憩時間を除き、1日8時間を超えて労働させてはいけない

あなたは、これを見たら、そんなの医院経営や病院経営では無理だと言うはずです。

当たり前と言ったら語弊がありますが、医院経営や病院経営では残業があります。別に院長がわざと残業させているわけではなく、救急の患者もいますし、患者への説明が長くなれば診察時間も遅れます。

そこで、院長と看護師や社員が交渉して、時間外に労働を行うことについての協定を締結すれば、残業してもよいことになっています。これを「時間外・休日労働に関する協定書」、いわゆる「36協定」と呼びます。(労働基準法第36条に書かれているからです)

実は、この「36協定」を毎年、労働基準監督署長宛(労基署)に提出する必要があります。

もし看護師や社員ともめて労基署の検査が入ったときに、この書類を提出していないと怒られるので、あなたの医院や病院が提出しているかどうか確認してください。

ここで、拘束時間は実際の労働時間になるのですが、基本的には、法定労働時間を超えた場合に割増の給料を支払うことになります。ときどき、所定労働時間を超えた場合に支払っていることがあります。

もう一度、就業規則を確認してみてください。ムダな経費を支払っているならば、看護師や社員と話し合ってください。一方的に、給料を下げることはできません。

さらに、労働基準法では1週間の法定労働時間が40時間と決められていますが、あなたの医院や病院が常時10名未満であれば、特例措置で1週間の労働時間を44時間で置き換えてよいことになっています。

ここでも40時間で計算しているならば、44時間で計算しなおしましょう。

そして、この休憩時間ですが、医院経営や病院経営では、休憩時間が長くなる傾向があります。

  • 午前の診察時間 / 午前9時~午後12時半
  • 午後の診察時間 / 午後15時半~午後19時

この医院では、休憩時間の3時間を除いて、7時間の労働としたいところです。

ただ、休憩時間であっても、院長に報告する義務があったり、何をやってもよいというわけではないと、労働時間とみなさることになります。

例えば、看護師や社員が医院や病院の近くに住んでいる人ばかりであれば、自由に家に帰っても良いとすれば、完全な休憩時間になります。

1人だけ電話当番及び掃除当番として残し、あとは自由にすれば、よいでしょう。

院長の命令で、食堂にいなければいけない、雑誌やTVを見てもよいが事務所の1部屋にいることを義務づけたり、救急の患者に対応できるように準備しておくならば、休憩時間ではなく労働時間とみなされてしまうので、注意してください。

なお、休憩時間の取り方は、下記のように法律上、定められています。

所定労働時間

休憩時間

6時間以下

休憩を取っても、取らなくてもよい

6時間を超えて8時間未満の場合

労働時間の間に、最低45分間

8時間以上の場合

労働時間の間に、最低60分間

医院経営や病院経営で、この休憩時間のルールを守れないことはないでしょう。ただ、「労働時間の間」ということは、知っておいてください。最初、または最後にまとめて休憩時間を取るというのではダメです。

また、これも大丈夫だと思いますが、休憩時間は一斉に取るようにしなければいけません。普通は診察時間が決まっているはずなので、医院経営や病院経営では、これも問題ないでしょう。

そして、この昼間の休憩時間と混同してしまうのが、夜勤を行う場合の仮眠時間です。

昼夜は交替制であったとしても、どうしても夜は長くなりがちです。この場合、仮眠時間を取るはずですが、患者が来たらすぐに対応する時間なので休憩時間とはならず、指揮命令の下にある労働時間として考えなくてはいけません。

そして、午後10時から午前5時までの勤務時間は、25%割増の賃金となります。

ここまで聞いて、あなたは労働時間を正確に計算して残業代を支払っていたら、人件費が上がってしまうと考えるかもしれません。

それでも現在は、看護師や社員が辞めたあとに、もめて裁判にまでなっている医院や病院もかなり増えています。しかも看護師や社員は近くに住んでいる住民ということもあり、よくない噂が流れることもあります。

そのため、医院経営や病院経営のリスクを考えると、残業代を支払う必要はないという強行な態度を取るべきではありません。

そこで1つの案として、変形労働時間というものがあります。

この変形労働時間には2種類があり、1つが1ヶ月単位で変形労働時間を決めるもの、もう1つが1年単位で変形労働時間を決めるものです。

看護師や社員も暇なときに、ずっと拘束されるよりも、メリハリのある仕事をした方がよいはずです。

1.1ヶ月の変形労働時間

1ヶ月以内の一定の期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えなければ、ある特定の週に法定労働時間である1日8時間もしくは1週間40時間を超えて働いてもよいという制度です。

受付の社員はレセプトの処理で、月末月初が忙しくなる傾向にあります。

とすれば、月中の勤務時間は6時間にして、月末月初だけは10時間という変形労働時間にします。そうすれば、1日8時間を超えていても割増の給料の支払いも不要となります。

ただ間違ってはいけないのは、月中に6時間を超えると、残業代が発生することです。
下記が1ヶ月の労働時間の限度となります。この時間に収まっていれば、残業代は発生しません。

1ヶ月の日数

40時間労働の場合

44時間労働の場合

31日の月

177.1時間

194.8時間

30日の月

171.4時間

188.5時間

29日の月

165.7時間

182.2時間

28日の月

160.0時間

176.0時間

2.1年の変形労働時間

1年平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えなければよいという制度です。

例えば、内科でインフルエンザが流行る11月から2月まで、耳鼻咽喉科で花粉症が流行る2月から5月まで、皮膚科で水虫が多くなる時期など、季節で労働時間が変わる場合には、この変形労働時間を使います。

これを計画するときには、下記の年間の休日を作って運用していくことになります。
ただ1つだけ注意点があります。この1年の変形労働時間は看護師や社員が常時10名未満で44時間の特例を使っている場合には、適用できません。

1日の所定労働時間

必要休日日数

8時間

105日

7時間45分

96日

7時間30分

87日

7時間

68日

私は、看護師や社員にできるだけ給料を支払うなと言っているわけではありません。

最初から、法律で決められたとおりに運用されていて、その給料のルールに納得して入社していれば、文句は出ません。ところが法律に違反していれば、結果的には看護士や社員は気づき、それは文句につながり、働く環境は悪くなってしまうのです。

だったら、院長が工夫して法律に違反しないように、みんなが気持ちよく働ける医院や病院にしましょう。

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