出産や育児休業を充実させて、長い期間、優秀な人材に働いてもらうべきです

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2015/09/10
出産や育児休業を充実させて、長い期間、優秀な人材に働いてもらうべきです

出産や育児休業を充実させて、長い期間、優秀な人材に働いてもらうべきです

私が、顧問先の医院や病院にいくと、院長先生から、
「気立てがよく、仕事もできて、辞めずにずっと働いてくれる人って、知らない?」
とよく聞かれます。

どの院長先生も、同じようなことを言うので、きっと、そのような人材が転職することがないのだと思います。
そんなに優秀な人材は、今現在、働いている医院や病院での待遇もよいはずです。
院長先生が、がんばっても、中途でそのような人材を探すのは、不可能なのです。

とすれば、自分の医院や病院で、そのような人材を育てていくことが、もっとも手っ取り早い方法なのではないでしょうか。
ただ、看護師は女性が多いこともあり、結婚、出産、育児などで、やっと一人前に育ったと思った瞬間に、辞めてしまうこともあります。
そこで、女性の看護師や社員が、出産したり、育児で休業しても、そのあと、医院や病院に戻れる制度を作っておけば、辞めることにはなりません。

そもそも、医院や病院で働く看護師や社員は、その周りに住む人であることも多いのです。

出産や育児に理解がある院長先生という評判が、口コミで広がれば、人材を募集したときに、応募してくれる人が増えることにもつながると考えましょう。

それでは、まずは労働基準法の定める最低限の出産と育児の制度を知り、その上で、医院経営や病院経営の中で、アレンジしていくことをお勧めします。

 

1.産前産後の休業の取扱い

労働基準法の定めにより、6週間(多胎妊娠の場合には14週間)以内に出産する予定の女性は、自ら請求してきた場合には、就業させてはいけないことになっています。
出産する日は前後しますので、あくまで予定日で計算します。

ということは、本人が請求してこないうちは、就業させることも可能です。働く時間などを短くして、医院や病院に出社してもらっても良いかもしれません。
なお、出産当日は、この産前の休業の6週間に含まれます。

産後は、8週間を経過しない女性を就業させてはいけません。
このとき、産前とは違い、本人の請求がなかったとしても、そもそも働かせてはいけないのです。
ただし、産後6週間を経過した女性が、自ら請求してきた場合には、院長先生から見て問題ないと認めた業務には就かせることができるとなっています。

この産前6週間、産後8週間の「産前産後の休業」期間については、給料の支払いが義務づけられていないので、無給でも構いません。
産前産後の休業期間については、健康保険の出産手当金の支給対象となります。
実際の医院や病院では、女性からの請求があれば、産前6週間と言わず、もっと長期間の休暇を許していることが多いようです。

 

2.育児時間の取扱い

労働基準法では、生後1年に達しない子供を育てる女性が、自ら請求してきた場合には、休憩時間について2回、それぞれ、少なくとも30分の子供を育てるための時間(育児時間)を与えなければいけません。

この育児時間は、医院や病院の始業時刻の直後、または終業時刻の直前に取ることも可能となります。
直後にとれば、少し遅めに出社、直前に取れば、少し早めに退社となります。

医院や病院の場合、朝一で来院する患者が多く、その時間帯がどうしても混むため、できれば、終業時刻の直後の育児時間の取得は避けてもらうように交渉しましょう。
育児に理解を示すことは大切なことですが、それで、他の看護師や社員の負担が大きくなりすぎてしまうことも、避けるべきです。

パートタイマーについても、請求があった場合には、育児時間を与えなければいけません。
それでも、1日の労働時間が4時間以内のパートタイマーであれば、1日に30分の育児時間を1回与えればよいことになっています。
この育児時間は、看護師であっても、パートタイマーであっても、給料を支払う必要はなく、無給でも構いません。

 

3.育児休業の仕組み

育児・介護休業法により、看護師や社員が、医院や病院に申し出た場合には、原則として、1人の子共につき、1回に限り、「育児休業」を与えなければいけません。
育児休業の期間ですが、子供が出生してから、1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で、看護師や社員が申し出た期間です。

ただ、次の2つのうち、どちらかに該当すると、子供が1歳6ヶ月に達する日まで、育児休業を延長することができます。

(1)子供を、保育所へ入所させたいが、できない場合

(2)1歳以降、子供の養育をする予定であった配偶者が亡くなったり、負傷、疾病等の事情で、養育するのが困難になった場合

最近では、看護師は、女性だけではなく、男性も増えました。
もちろん、男性であっても、育児休業を取ることができます。
さらに、両親が揃って育児休業を取得することも認められています。

そして、次の3つ条件にすべて該当した場合には、1歳ではなく、1歳2ヶ月に満たない子供までの期間に延長できます。

(1)育児休業を取得しようとする看護師や社員の配偶者が、子供の1歳に達する日以前において、育児休業をしている場合

(2)育児休業を取得しようとする看護師や社員の育児休業開始予定日が、子供の1歳の誕生日前である場合

(3)育児休業を取得しようとする看護師や社員の育児休業開始予定日が、配偶者が取った育児休業の初日以降である場合

ここで、この育児休業については、特に、注意が必要です。
というのも、1年間の育児休業を取ったのはよいのですが、そのあと、出社せずに辞めてしまう看護師や社員が多いのです。

子供が、かわいいという理由もあると思いますが、それよりも、1年後に出社することに抵抗感を持つのです。
自分だけ1年以上も休んでしまったことに、引け目を感じる人もいます。

そのため、育児休業中であっても、例えば、医院や病院で催しものがあれば、声をかけたり、メールや電話をして、つながりを持ち続けることが必要となります。
院長先生が直接連絡するのは、ちょっと躊躇してしまうならば、仲の良さそうな看護師や社員から、連絡を取ってもらっても構いません。

また、育児休業が終わりに近づいたら、医院や病院に来てもらい、出社したあとの仕事内容や出社時間なども、もう一度、確認することも大切です。

「1年も休んでおいて、これからは、一生懸命働くのが、当然だ」
院長先生が、このような考え方でいると、医院や病院の離職率は高くなり、結果的に、何年もかけて育てた看護師や社員も転職してしまうことになります。

できるだけ、長く働くことができる医院や病院を目指しましょう。

医院や病院のことが、よく分かってくれる看護師や社員がいることで、院長先生の仕事も楽になるのです。

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