ウソをついて医院を休んだ看護師への対応は、どうすべきか。

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2014/03/10
ウソをついて医院を休んだ看護師への対応は、どうすべきか。

弊社の顧問先の院長先生から相談を受けました。

ウソをついて医院を休んだ看護師への対応は、どうすべきか。先週の月曜日の朝、看護師から電話で、「週末に高熱が出たので、あと3日間休ませてください」と言ってきたので、無理やり出社させることもできず、有給休暇を認めました。

しかし、他の看護師から「彼女は、本当は韓国旅行で休んだ」との告げ口があり、その看護師を呼びつけて聞いたのです。
そうしたら、「ウソでした」と悪びれもなく、謝りもしません。

そのときは、何とかパートの社員に電話して来てもらい、調整したことで、患者への対応はできたのですが、この看護師のウソが許せません。
この休みを欠勤扱いにしたいのですが、ダメですかね?

こんな看護師が働いている医院や病院があるのかと思うかもしれませんが、実際にあった話なので仕方がありません。
このような場合の具体的な対応方法を考えてみましょう。

まずは有給休暇の定義を考えてみましょう。

有給休暇とは、

  • 本来の休日以外に取得することができる有給の休暇
  • 社員等に与えられる権利

です。

ただし、業務が忙しい日に有給休暇の申請があった場合には、医院としては、看護師に休暇日をずらしてもらう権利があります。
また、有給休暇の利用目的について法律では制限されていません。
つまり、「有給休暇は、自由に使ってよし」というのが、大前提なのです。
この有給休暇の使い道に関しては、最高裁まで争った判例があります。

<林野庁白石営林署事件 昭和48年3月 最高裁>
〇 Aは林野庁に勤務する公務員
〇 有給休暇を2日間取得することを休暇簿に記載し、休んだ
〇 Aは休んだ2日間に他の営林署で行われた労働組合の活動に参加
〇 上司は労働組合の活動に参加したことを理由に有給休暇を認めなかった
○ この2日間を欠勤扱いとして賃金から差し引いた
〇 Aは国に対して、差し引かれた分の賃金の支払いを求めて提訴した

<結果>
〇 有給休暇は有効に成立している
〇 Aに2日間の賃金を支払うべき

結果として会社が負けて、社員が勝訴しました。
有給を取得する理由により、「認める、認めない」という区別は許されないのです。
だから、先ほどの看護師が嘘をついて、有給を取ったとしても、残念ながら、医院や病院側が欠勤扱いにすることはできないのです。
しかし、院長先生の気持ちは、何もせずには収まらない状態です。

上記のように、法律では有給休暇の取得目的は制限されていません。
ただ、医院や病院側にも一定の権利があり、有給を取る目的を聞くことはできます。
そして、繁忙期ならば、休暇日をずらしてもらうこともできるのです。

ただし、本人の病気や冠婚葬祭などの場合は実際には認めないわけにはいかず、他の看護師や社員で何とか、対応するしかありません。
もちろん、病気や冠婚葬祭であれば、交代する人たちも協力してくれるでしょう。

ところが、今回は、看護師は明らかにウソをついています。
他の看護師や社員の犠牲のもとに、有給休暇を取得しています。
だから、何らかのペナルティーを与えないと、医院経営や病院経営に影響が出ることもあるでしょう。

他の看護師も知っているウソであり、それでも有給が取れると思ってしまうと悪い前例にもなってしまいます。

そこで、医院や病院の就業規則等で、「住所、家庭関係、経歴その他の会社に申告すべき事項及び各種届出事項について虚偽の申告を行わないこと」と記載し、「所定の手続きを怠ったときには懲戒の対象となる」とも明記するのです。

さらに、違反した場合には、
〇 訓戒(くんかい)→ 口頭もしくは文書によって厳重注意をし、反省させる
〇 譴責(けんせき)→ 始末書を提出させ、反省させる
などの懲戒処分となる旨を書いておくのです。

当然、懲戒となれば、看護師の賞与の査定にも影響させることができます。
そもそも、「懲戒処分にした」という事実を公表することで、他の看護師や社員に対するけん制にもなります。

それを見て、今後、ウソをつく看護師や社員は、そうそう現れないはずです。
医院経営や病院経営では、看護師や社員に対して「実際の痛み」を感じてもらうことも必要ですし、その処分を行なうためにも、就業規則の整備は絶対です。

今回のことも、法律では、「有給休暇の取得理由は問われない」となっていますが、院長先生にウソの報告をしてよいわけではありません。
法律では、欠勤扱いにすることはできませんが、就業規則で懲戒の対象にすることはできるのです。

ただ就業規則がなければ、原則、有給休暇は、使用目的のウソをついても、自由に取れてしまうのです。

だから、就業規則できちんとルールを決めて、看護師や社員に周知しておくことが大切なのです。結果的に、医院経営や病院経営の秩序の維持につながります。

看護師や社員は、ずっと医院や病院で働いてきたがゆえに、一般常識が足りないこともあります。以前に働いていた医院や病院での周りの勤務態度に強い影響を受けることも多いのです。

医院経営や病院経営はずさんなことも多く、就業規則などないこともおかしいと思わない院長先生さえいます。
あなたが、「まさか、こんなこと、普通はしないよな」ということを、看護師や社員は平気でやったりするのです。
そのような看護師や社員が多いと医院経営や病院経営のバランスが崩れてしまいます。

自分の医院や病院では、「いけないことは、いけない」とハッキリ明文化することにより、事前に知らせることで、防ぎましょう。

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