1日の患者数の目標は、何人なのか?

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医療関連のコンサルティング
2014/05/30
1日の患者数の目標は、何人なのか?

1日の患者数の目標は、何人なのか?開業しようと思ったら、診療圏調査を行い、1日当たりの患者数を計算して、事業計画書を作成します。一次診療圏が500m、二次診療圏が1000mで、だいたい何人ぐらいの患者が来るかを計算します。

不動産の表記では、徒歩1分80mで計算しますが、患者は病気だったり、高齢者が多いので徒歩1分50mで計算すると、約20分の徒歩圏内になります。

具体的には、1000mとは、小学校の学区を決めるときの距離でもあります。そのため、これ以上、離れた距離からの患者を呼び込むのは難しいと考えるべきです。
それでは、実際に開業したあと、何人が来院すれば、医院は黒字になるのでしょうか?

もちろん、診療科目によって、その患者の数は違ってきますが、入院施設がない内科の医院で、1日40人が目指すべき目安となります。

ただ内科でも、小児科であれば1日50人、消化器内科であれば1日30人と、専門分野によっても、診療報酬の点数が違うため、目指すべき患者の数も変わります。

そこで、患者の人数の目標だけではなく、そこから医院経営や病院経営の年間の医業収益を計算しておくと、より理解が深まるはずです。

例えば、診察時間が1日8時間とすれば、1時間平均5人の患者を診ることになります。日祝祭日だけが休診日とすれば、1ヶ月25日の稼働です。
ここで、日祝祭日だけではなく、平日の午後、例えば木曜日の午後を休診としても、1日9時間の診察時間になれば、同じ程度の実働時間となります。

40人(延べ患者数)×25日×12ヶ月=12,000人(年間)

500点(診療単価)×10円×12,000人=6,000万円

12,000人という数字が延べ患者数であるため、少し分かりにくいかもしれません。
診療単価ではなく、レセプト単価で計算すれば、実患者数(レセプトの枚数)が分かります。

800点(レセプト単価)×10円×7,500人(実患者数)
=6,000万円

どちらにせよ、医院経営や病院経営の医業収益として、1ヶ月500万円、年間6,000万円が、開業当初の目標となります。
この医業収益から経費を差し引くと、税引前の利益は平均で1,500万円程度になるはずです。このとき、最初に高額な医療機器を導入した医院は、もっと利益は低くなります。

つまり、12,000人が来院しても、これだけの利益にしかならないということを理解すべきです。そのため、もし高額な医療機器を導入するとしても、少し医院経営や病院経営が軌道に乗ってから検討すべきなのです。

それでは、実際に12,000人という患者は来てくれるのでしょうか?
実は、開業場所とその方法を間違えなければ、1日40人という患者数は問題なく達成できる数字です。

問題は、いつまでに達成できるかなのです。

目標は1年です。
もしそれよりも遅い場合には、医院の経営の方針を考えなおす必要があります。

ただ実際には、平均で2年です。
遅い医院は3年かかっています。
この違いは、開業するときに、どれだけ戦略を練って、それを実行できたのかによる違いです。

そして、院長1人で、医院の床面積が30坪から40坪とすれば、1日70人、年間1億円という金額が上限になります。
医院の診察時間と待合室の広さを考えると、これ以上、混み始めると、患者が増えないどころか、減ってしまいます。

理由は3つです。

  • 【1】院長が忙しすぎて、患者に丁寧な説明をしなくなる
  • 【2】待合室が混み過ぎて、全員が座れなかったりする
  • 【3】待ち時間が長すぎて、症状が軽い患者は、空いている医院を探す

このように、無理やり患者数を増やしてはいけません。
その上を目指すならば、医師を雇って診察室を増やす、新しく分院を作る、在宅医療を始めるなど、物理的な拡大と人員の拡充が必要です。

また、開業するときに、外来ではなく、在宅医療を専門で行う場合もあります。
このときは、1ヶ月60人が、目指すべき目標となります。

同一建物内への往診は、診療報酬の点数がかなり低いので、1ヶ月60人どころではなく、1ヶ月180人は必要となります。
そのため、どれだけ、大きな介護施設と提携できるかで、医院経営や病院経営の利益が決まります。

ただ、その介護施設に別の在宅医療の医院が参入してきたら(お客を取られたら)、一気に医業収益は下がってしまいます。
それに、その介護施設とのパワーバラスが、微妙です。

外来で患者に来てもらうときには、通常、医院側が主導権を握っています。
午前中に来た患者に、「午前中は、予約がいっぱいなので、午後に来てください」と伝えれば、患者は素直に従って、家に帰ります。
つまり、患者が医院の時間に合わせているのです。

ところが、在宅医療になると、逆です。

院長が電話をして、患者が「明日は、介護の人が来るから、時間をずらしてください」と言われると、それに合わせることになります。それでも、院長側からも、「介護の人の予定をずらせませんか?」と交渉ができます。
ところが、これが大きな介護施設を相手にすると、完全に相手の予定に振り回されることになります。

これから在宅医療をやるならば、同一建物内ではなく、実際の患者の自宅を周ることも考えましょう。それでも都心の住宅街で、高齢者が多く、密集している地域であれば、医院経営や病院経営も成り立ちますが、地方や高齢者の住宅の距離が離れている場合には、本当に、よく周回ルートを効率よく動かないといけません。

それでも、自宅で往診しているかぎり、すべての患者に、一度に断られることはないので、医院経営や病院経営は安定します。
しかも、患者と対等な関係を保つことできます。

それで、在宅医療を専門で1ヶ月60人を診て周ると、医院の年間の医業収益は約5,000万円強となります。
ただ外来に比べると、車やスケジュール管理のためのアイパッドなどは必要ですが、一番、固定費の大きい賃貸料が安くすみます。

また、外来が来れば、受付などの社員が交代で数人、必要になりますが、在宅医療であれば、多くても2人の電話を受け付ける社員がいれば十分です。
そのため、経費が小さくなり、税引前の利益は平均で2,000万円以上にはなります。

こちらも、1ヶ月60人を達成するためのスピードが大切になります。

目標は、半年です。
ただ実際には、平均は1年です。

このように考えると、在宅医療の方が、競合の医院が少ないため、目標の医業収益や利益を達成するまでの時間は短いと言えます。
だから、すべての医院や病院が在宅医療を目指すべきだというわけではありません。

診療科目やその地域によって違ってくるので、目標の患者数を目指せるポジションを探して、開業すべきということなのです。

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