損害保険への加入も、忘れないように

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医療関連のコンサルティング
2014/07/30
損害保険への加入も、忘れないように

医院を開業したときに、ビルで開業しても、一戸建てで開業しても、火災保険や地震保険には加入するでしょう。
ところが、医院を開業したあと、火災で建物が消滅したり、地震で建物が倒壊することは、ほとんどありません。
そのため、2年に1度、10年に一度、保険の改定時期が来るのですが、「本当に加入する必要があるのかな」と、院長は疑問に思ってしまうのです。

それよりも、医院は、医療事故で患者から損害賠償責任を追及されたり、入院施設の管理を怠ったことで訴訟されたり、医療機器の誤作動による破損によって、医院が大きな費用を負担することになるリスクの方が高いはずです。

損賠賠償金だけではなく、交渉の段階から弁護士を雇ったり、訴訟になれば裁判費用がかかったりと、それ以外のコストもバカになりません。
そこで、医療事故などをカバーしている損害保険に加入しておくことで、このリスクを下げるのです。

ただ、損害保険は契約しただけではダメで、最初のかけ金の支払いが完了しないと、補償が開始されません。

例えば、開業してから、損害保険会社の人からパンフレットを渡されて、加入を検討していた矢先に事故が発生した事例も少なくありません。
また損害保険の更新日が来たのに、忙しいという理由で、手続きが遅れてしまい、空白の時間が起こり、たまたま事故が起きた事例もあります。

「あのとき、加入しておけば・・・」「ちゃんと更新していれば」と後悔しても、時間を元に戻すことはできません。

そのため、現時点で十分な損害保険に加入していない医院があれば、今すぐに、損害保険を検討すべきです。

ここでは、院長として最低限、知っておいて欲しいことを解説いたします。

 

【1】日本医師会の損害保険

日本医師会が、開業している院長を対象に、「日本医師会医師賠償責任保険(日医医賠責保険)」という損害保険に加入していて、会員の年会費から保険料が支払われています。

実は、この日医医賠責保険の特約で、任意で加入できる「日医医賠責特約保険」もあります。
これは、1事故当たりの補償が高く設定されています。
ただ、院長が民間の医師賠償責任保険に加入しているときには、保険金の支払いについて責任分担することになります。
それでも損害保険を使って、儲かろうという院長はいないため、特約にも加入することをお勧めします。

 

【2】民間の損害保険

日医医賠責保険は、医療事故を対象としているため、医療機器を誤作動させたことでの賠償、食事の提供による食中毒の賠償などの補償はしてくれません。
一方、民間の損害保険は、それらも補償してくれる保険を販売しています。
それに日医医賠責保険だけでは、補償の金額が不足することも多く、それを補うためにも加入すべきです。

ただ、民間の損害保険の種類がかなり多く、医院の診療科目や病床(ベッド)の有無によって、一概に、どれに加入すべきか、決まっていません。
損害保険会社の担当者がいますので、その人の説明をよく聞いて、自分の医院が回避すべきリスクを理解して、加入する商品を選ぶとよいでしょう。

 

また、ここで覚えておいて欲しいことがあります。
それは、医院に責任を追及してきた患者に対して、院長が「見舞金」、「示談金」、「生活費」などの名目で支払いをしてしまう院長がいます。

多分、窓口で大きな声で騒がれたり、相手が要求してきた金額が少ないため、安易に応じてしまっているのだと思います。
ただその場合、保険会社からの補償は受けられません。

 

またさらに最悪なのは、口頭でも、文書でも示談をしてしまうことです。
最近は、録音をする機器も安く手に入るので、責任を追及してきた患者が隠して持っている可能性があります。

あとで、裁判になったときに、録音や文章が出てきてしまうと、院長は窮地に陥ってしまいます。
もちろん、この場合にも、保険会社からの補償は受けられません。

 

どちらの場合も、医院が損害保険料を支払っていたとしても、保険金が受け取れないことになります。
さらに、保険会社が紹介してくれた弁護士も担当を降りてしまうことさえあります。

だから、医院に責任があったと、院長が感じたとしても、その範囲と通常はどのくらいの賠償金を支払えばよいのか、弁護士や損害保険のコンサルタントに相談してから、交渉しましょう。

患者に言われるがままに支払ってしまうと、すぐに解決するどころか、そのあともお金をせびられ、長くもめる原因にもなります。
医院の窓口で騒がれても、院長が毅然とした態度を取れば、他の患者が動揺することはありません。
逆に、その騒いでいる患者がおかしな目で見られるのです。

 

【3】医療機器の保険

誤作動によって、医療機器が壊れたり、突発的な事故が起こることもありえます。
そのときの修理費用や買い替えの費用を補償してくれる保険もあります。

リースを使って医療機器を導入している場合には、医院が自己で加入するのか、もしくはリース料に保険料が含まれているのか、契約書を確認してください。
「リース会社が負担すると思っていたのに、医院が負担するなんて聞いていない」という院長に限って、リース契約を読んだことがないのです。

 

さらに、在宅医療を行っていると、院長や看護師は車に乗って患者の家に行きます。
在宅医療を長年やっている院長であれば、分かっていると思いますが、車の事故をゼロにすることは不可能です。

まったく自分の運転が悪くなくても、当て逃げされたり、もらい事故もたくさんあります。
特に、看護師などは女性で、運転に苦手意識を持っていることも多いのです。

もし、交通事故で加害者となってしまうと、多額の損害賠償責任が発生してしまいます。
必ず、車に関しては、対人賠償、対物賠償、どちらも無制限の保険に加入してください。

 

また、診療が終わった帰り道で起こした交通事故は、医院の事業とは関係ありません。
それでも、在宅医療を行っている医師、看護師、社員が困ってしまわないように、それもカバーできる保険に加入しておくべきでしょう。

交通事故の被害者との交渉で、医院に出勤できない、医院を退社するというのでは、損失も大きくなります。

働く人たちのリスクを下げて、安心して生活を送れるようにすることも、医院の義務だと思います。

損害保険への加入も、忘れないように

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