医院開業する医師は、今後、増えていくのでしょか?

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医療関連のコンサルティング
2016/09/10
医院開業する医師は、今後、増えていくのでしょか?

医院開業する医師は、今後、増えていくのでしょか?

私の会計事務所は新橋にありますが、周りを歩くと、個人で開業している医院や病院が多く見受けられます。都心ということもあり、保険診療ではなく、その半数が人間ドックのような検診だったり、自由診療の割合が多いと思われる皮膚科や内科もあります。

自由診療であれば、必ず、儲かるわけではなく、その中でも競争があるはずです。もちろん、保険診療中心の医院や病院も多く、それでも差別化を図るために、専門性を打ち出しています。

例えば、心臓疾患や血管疾患専門の内科、咳外来、アレルギー専門医、日帰り手術ができる皮膚科など、さまざまです。東京都内であれば、患者が電車で通うことができるため、診療圏は広くなります。しかも、東京都の山手線内の診療圏だけで、患者の数は十分です。そのため、専門性を打ち出しても、採算が取れることになります。

これが郊外になると、診療圏が車での移動になるため、少し狭くなります。しかも、診療圏の患者の数は十分にはいないため、専門性を打ち出し過ぎてしまうと、売上に上限を作ってしまうことになります。郊外で医院や病院を開業したときには、まずは浅く、広く患者を集めることが必要です。

先日も、ランチを買いに会社から外出したときに、「ここに、新しく医院開業するんだ」と見つけることがありました。ビルの1階で、コンビニの跡地ですが、100坪以上はあります。大通りから1本中に入っているので、賃料はそこまで高くないとしても、1階なので安くもないはずです。大きな看板だけではなく、1階のすべての面を塗り直していますし、内装にもお金をかけていて、100坪以上あれば、医療機器の数も必然と多くなり、雇う社員の数も少なくないので、運転資金を考えると、1億円はかかりそうな勢いです。

先ほども言いましたが、すでに周りには医院や病院が、たくさん開業しているのです。

医院開業すれば、必ず利益が出るという時代ではない中で、今後、このような開業は増えていくのでしょうか?

まず、医師が医院開業しようと思うきっかけは、何だと思いますか?
あなたが、院長先生で、すでに開業しているならば、どんな理由で医院開業しましたか? 医師会が調べた結果は、下記となっています。

医院開業する医師は、今後、増えていくのでしょか?

上記の理由には、将来の希望と、現在の職場への不満の両方の意見に分けられます。

まずは、現在の職場への不満を探ってみましょう。
上記の理由のうち、「将来に限界を感じた」、「精神的ストレスに疲労」、「過重労働に疲労」、「労働条件が魅力的」、「収入が魅力的」というのが、現在の職場への不満になります。この項目のすべての割合の合計は、92.8%となります。

もちろん、複数回答が可となっていますので、単純に合計することは正しくないですが、それでも、現在の職場への不満が、大きな医院開業への原動になっていることは間違いありません。

例えば、もっと具体的に見ると、「労働条件が魅力的」というのは、今の条件が悪いことの裏返しです。医師会の調査では、特に、「当直が大変」、「拘束時間が長すぎる」という勤務時間に対する不満が多いようです。

では、東京都で医院開業したら、勤務時間はどうなるのでしょうか?
都心のマンションに住んでいる人たちは、郊外の一軒家に住んでいる人たちと行動は同じです。体調が悪くなれば、会社を休んで近くの医院や病院に行くはずです。つまり、昼間に通院します。

また、都心であれば、サラリーマンやOLも患者になります。診療科目にもよりますが、会社の始業前、もしくは終業後に来院する人もいるかもしれません。ただ、会社で具合が悪くなったと訴えたときに、上司が「17時まで、我慢しろよ」と言われることは、今ではほとんどありません。

会社としても、その発言で問題が起こったら、訴訟のリスクがあります。インフルエンザだったりしたら、周りの同僚に病気をうつすかもしれません。「半休を当てるので、すぐに病院に行ってきなさい」というのが普通でしょう。とすれば、夜遅くなって来院する人は多くなさそうです。

また、土日は都心にはほとんど、患者はいないので、個人の医院や病院は休みになります。このように、医院開業すれば、毎週の当直でフラフラになったり、夜の食事をしていたら、携帯電話で呼び出されたというようなことはなくなります。

 

医院開業によって、自由な時間が増えることは事実です。

 

私は、「開業した先輩と飲んでいて、自由な時間を持つことに、魅力を感じる」という話を、医師から何度も聞いています。他人がうらやましくなると、その気持ちが強くなり、開業へ駆り立てられるのでしょう。

また、開業する原因の1つで、「収入が魅力的」と感じていると回答した医師は、現在の職場の「収入が魅力的ではない」と感じているはずです。平成28年に、厚生労働省から発表されている医療機関の初任給の推移を見てみましょう。

医院開業する医師は、今後、増えていくのでしょか?

上記の表から見ると、医師の初任給の給料が、平成25年を境に、かなり減ってきています。それ以外の看護師などの給料は、ほとんど、変わっていません。また、医師会が調査した結果からは、現在、働いている医師への給料については、過半数以上が「変化なし」となっています。そもそも、雇用契約である医師の給料を下げたくても、できません。

医院や病院が、一方的に労働者の給料を下げることは、労働基準法では不利益変更として、禁止されているのです。

あなたは、「医師は、専門性が高いから、サラリーマンとは違うでしょ」と思うかもしれません。ところが、労働基準法に、専門性が高い場合には、給料が変動しても良いとか、残業代を支払う必要はないとか、医院や病院に自由裁量性があるとかなどと、記載されていません。雇っている医師が、いつも患者とトラブルを起こしたり、就業規則を守らない場合には、給料を下げる理由があるので、認められますが、ほとんどないでしょう。

結局、医院や病院は、医師の給料は変化させない中で、新しく雇う医師の初任給を下げているとすれば、人件費を絞っていることが分かります。これから、この状況がより改善されていくとは予想できません。特に、大学病院や200床以上の病棟がある病院は、診療報酬が下がり、急性期の要件も厳しくなり、薬品材料のコストも上昇して、利益が圧迫されていることは間違いありません。

 

今後も雇われている医師の給料が大きく改善されることはなく、開業した方が、医師の収入が高くなることは事実です。

 

ということで、医院開業する医師が増えていけば、さらに競争が激化して、医院や病院での給料は上がらなくなり・・・開業する医師が増える・・・という循環になっているのです。
ただ、新規の医院開業が増えることで競争が激しくなっても、利益を確実に確保している医院や病院はあります。私の顧問先でも、開業して1年目は苦しくても、2年目、3年目になると、十分な黒字の利益を出すことができています。

開業する理由の1位である、「理想の医療の追及」を実現して、多くの患者に院長先生の治療法を知ってもらうことは大切なことです。開業すれば、大病院や大学病院での研究とは違った、やりがいも生まれます。

 

これからも、医院開業する医師は増えていくと思いますが、それを怖がらず、自分なりの医院経営や病院経営を目指すことが必要です。

 

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