医療法人は分院を出すことよりも、老人ホーム、介護施設、高齢者の住まいに進出することも検討してみるべきです。

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2012/11/20
医療法人は分院を出すことよりも、老人ホーム、介護施設、高齢者の住まいに進出することも検討してみるべきです。

現在、国は病院に入院すると、患者一人当たりのコストが高いため、病院以外の場所で介護する方向に、経済誘導しています。

賛否両論あると思いますが、使える予算に制限があり、多数決で決められている以上、従うしかありません。

これから、医院や病院で分院を出そうと考えているならば、それよりも高齢者の住宅や介護の分野に進出した方がよいかもしれません。

その中で前回は、有料老人ホームの区分を解説しました。
今回は、介護施設や高齢者の住まいの区分を見ていきましょう。

まず、介護施設ですが、自立できる人や要支援の人は対象とならず、要介護の人しか入居できません。
そのため、入居者を募集してから、埋まるまでに時間がかかります。

「いやいや、介護施設に入れなくて、待っている人たちがたくさんいるはずだ」
という意見も確かです。

ただ、どうしても体調がすぐれないと引っ越す気持ちにならなかったり、ずっと住むとなると意思決定にも慎重になるものです。

そのため、医院や病院が介護施設を建てるならば、建設する資金だけではなく、最初の運転資金にも余裕を持たなくてはいけません。

医院や病院が、これらの事業計画書を見てびっくりして、躊躇することもあります。

それでも最近は、医療法人がこれらの介護施設を作り、運営することも増えました。

郊外に行くと、定期借地権として、建物だけが医療法人の所有となっている介護施設を見受けます。バスや大型車が入れるように、前面道路が大きく、お見舞いにくる親族のために、広い駐車場があることも特徴的です。

この介護施設は原則3種類ですが、1種類は廃止されずに延長したので、4種類になります。

【1】 特別養護老人ホーム

いわゆる「特養(とくよう)」と呼ばれている施設です。
介護施設では、昔からあり、かなり病状が重い人が入ります。

65歳以上の人で、介護してくれる家族もいなく、緊急の支援が必要な人から優先的に入所できるのですが、実際には待っている人が多く、施設が足りない状態です。

特別養護老人ホームに入所したら、出所する人はあまりいません。

最近では、この中で看取りまで行う施設が増えています。
月額は6万円から20万円程度の費用がかかります。

【2】 介護老人保健施設

病院への入院と在宅の中間の施設であり、原則は、3か月したら自宅に戻ってもらうことになっています。そのため、65歳以上の人で、病状が安定しているが、在宅での介護が難しいことが、入居の条件になっています。

ところが、日常的に医療管理の必要な高齢者であっても入居できることになっているため、現実は、特別養護老人ホームに入所できない人たちの待機場所となってしまい、なかなか自宅に戻れていないのが現状です。

月額の費用は、特別養護老人ホームと同じです。

【3】 介護療養型医療施設

これが、2012年3月で廃止予定でしたが、6年延長された介護施設です。
65歳以上で病状は安定しているが、リハビリや長期療養が必要な人が入居します。

月額の費用は、特別養護老人ホームと比べて少し高く、月額18万円から22万円程度です。
ただ、これは順次廃止されていくため、これから医院や病院が新規に参入していく施設ではありません。

【4】 認知症高齢者グループホーム

介護施設の社員が支援することで、認知症高齢者が共同生活をしていく介護施設です。
65歳以上で病状は安定していても、認知症であるため、在宅での介護が難しい人が入所します。

ただ、認知症にもさまざまな病状があり、共同生活できない人は入居できません。
あくまで認知症が対象となるため、要支援2であっても、入居することが可能です。

介護施設は、自立できない人が対象で、あまり月額の費用も高く設定していないことが多く、介護保険の収益が大きな柱になっています。
そのため、今後、介護保険が改定されると、経営が成り立たない介護施設も出てくる可能性があります。

ところが、医院経営や病院経営の一環として行えば、往診、訪問看護、リハビリステーションなどと組み合わせることもできます。

医院や病院が介護施設の事業に参入すれば、他とは差別化できて、今後の介護保険の改定にも耐えることができる経営を確立できるはずです。

一方、高齢者の住まいとは、自立できる人、または要支援の人ぐらいまでを対象としています。
これは3種類に分けられます。

【1】サービス付き高齢者向け住宅

法律の登録基準を満たし、高齢者だけが入居できる賃貸住宅です。
家賃は管理費込みで、一般の賃貸住宅と変わりません。月額10万円ぐらいから月額25万円ぐらいになるでしょう。

このサービス付き高齢者向け住宅になると、建設する医院や病院に対して補助金が出るだけではなく、税金も優遇されます。
そのため、初期投資を低く抑えることができ、かつ「高齢者向け」という言葉は、この登録をしないと掲げることができません。

施設の基準としては、

  • (1)各専用部分の床面積は、原則25㎡以上
  • (2)各専用部分に、原則台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備える
  • (3)バリアフリーになっている

など、高齢者が住むには十分の内容です。

そして、緊急時の対応もきちんと整備されていなければ、登録することもできませんし、業者によっては、食事を出すこともあります。
さらには、入居者から更新料や礼金などの手数料を取ることも禁止されているため、入居者は安心です。

【2】シニア向け分譲マンション

これは高齢者向けというだけで、一般の分譲マンションと変わらないため、医療法人が所有することはできません。
そのため、医院経営や病院経営として行う場合には、院長個人が所有するか、MS法人を設立して運営していくことになります。

お勧めは、将来の節税を考えると、MS法人を使う方がよいでしょう。

そのとき、MS法人が建物を所有して、土地は院長個人で所有することをお勧めします。

これが節税になる詳しい解説は、別のところで行いますが、下記の3点がメリットになります。

  • (1) MS法人は地代が安いため儲かるが、親族に給料を支払うことで節税できる
  • (2) MS法人の株主が院長の妻や子供であれば、相続税の対策になる
  • (3) MS法人に実体があるため、そこでの経費が落としやすい

たったのこの3つのメリットですが、実はかなり強力な節税対策になります。

特に、医院経営や病院経営では経費になりにくいものでも、MS法人の業務に関連していれば、それは経費として認められるのです。

個人事業主として医院経営している場合は当然のこと、医療法人と比べても、MS法人の方が業務は広くなります。
とにかく、業務に関連している領収書は、経費になります。

これは、投資用物件の場合も同じことが言えます。

すでに院長個人でアパートのなどの収益物件に投資している場合には、MS法人に建物だけを売却しましょう。

個人で投資用物件からの賃貸収入を確定申告しているよりも、MS法人に賃貸収入を計上する方が、かなり節税対策の幅が広がります。

このとき間違っても、建物をMS法人に贈与してはいけません。
あくまで、建物を時価で売買してください。

【3】軽費老人ホーム

60歳以上で、家庭の事情により、自宅がなかったり、家族と同居できない老人が入居します。
食事を出すものをA型と呼び、自立している人が対象ですが、所得制限があります。A型で月額6万円から17万円程度のコストです。

また、食事を出さないものをB型と呼び、自立していることは同じですが所得制限がありません。こちらは、月額3万円から7万円程度になります。(食事代は自分で別途負担)

この老人ホームは政府が運営していますが、人件費によって赤字になっていることが多く、現在は数を減らしています。

また、民間で運営している軽費老人ホームをケアハウスと呼び(政府が運営しているケアハウスもある)、食事込みでA型と同じぐらいの費用になります。

政府は、病院のベット数は確実に減らし、高齢者の新しい住まいを増やす政策を、ずっと続けていくと宣言しています。

介護保険が導入されたときに、いち早く参入した事業者は、やはり成功しています。

市場が広がることが分かっているならば、医院も病院も、そこに事業を展開していくのは当然のことではないでしょうか。

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