ビルを賃貸して開業するならば、物件を選ぶときのチェックポイントを押さえておく

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2015/03/10
ビルを賃貸して開業するならば、物件を選ぶときのチェックポイントを押さえておく

ビルを賃貸して開業するならば、物件を選ぶときのチェックポイントを押さえておく医院開業では、一戸建てで開業する場合と、ビルを賃貸して開業する場合があります。
地方都市で医院開業する場合や都市部でも郊外で医院開業するのであれば、一戸建てが中心となるでしょう。

一戸建てで医院開業すれば、建物外装から、内装設備まで、院長が自由に決めることができます。しかも、1階に医院や病院の看板を大々的に出すことができ、ほとんどの場合、駐車場を完備できます。

いつも電車を使う人でも、体調が悪いときには、車に乗ります。
しかも、医院や病院の駐車場を広く取ることができれば、将来、在宅医療で、自分たちが使う車のスペースも確保できるので、スムーズに参入できます。

ただ、メリットばかりではなく、デメリットもあります。
それは、初期投資が、かなり高くなってしまうことです。

土地は郊外で取得するとしても、医院開業の時の運転資金も合わせると、最低でも1億円は用意しておかないと、医院開業は難しくなります。
これから、開業しようとしている勤務医の先生の給料が、それほど高いわけではなく、結婚もされて、自宅もすでに買っていると、住宅ローンも抱えていることになります。

さらに、ここから、1億円を借りて開業する(銀行は貸してくれますが)ためには、院長の覚悟だけではなく、家族の同意も必要となるでしょう。
しかも、都市部で勤務医をしている先生が多いので、地元の地方都市に戻ったり、今の自宅の近くの郊外の一戸建てで医院開業すれば、患者を連れて行くこともできません。

 

そこで、最近は、一戸建てではなく、今現在、働いている医院や病院の近くのビルを賃貸して、医院開業する院長も増えてきています。
賃貸するならば、保証金や床の面積によりますが、40坪前後で医院開業するとすれば、5000万円程度で可能です。

ただ、勤務医の先生が医院開業するために、ビルを借りるときに、注意すべきことがあります。

 

例えば、3年前に、内科で開業しようとした川合院長は、自分が働いていた病院と駅の間で、開業できるビルを探していました。

10年以上も同じ病院で働いてきたので、ランチを食べたり、夜に飲みに行ったことも何度もあり、その駅の周りの人の流れを熟知していましたし、医院開業したときに、競合となる医院や病院もチェックしていました。

そのため、駅前の不動産会社の担当者に、川合院長は、自分が希望した条件をかなり具体的に伝えることができたのです。

駅前の路面店の不動産会社には、毎日、飛び込みから、冷やかしのお客まで、やってきます。
すべてに対応していたら、無駄足が多くなります。
その中から、真剣に物件を探しているお客を見つけるポイントは、どれだけ具体的に自分の希望が決まっているかを見極めることなのです。

「何でもよいから、よい物件があったら紹介してよ」
というお客は、自分の条件が具体的に決まっていないため、何度、内見しても、ピンとくる物件に出会うことがありません。
または、どこでも同じように声をかけていることが多く、「もっとよい物件に出会うのでは」と考えて、優柔不断で決めることができません。

不動産会社のプロの担当者は、表情や態度には出しませんが、条件が決まっていないようなお客に一生懸命、紹介することもありません。
だからよく、「1年間も医院開業できるビルを見て回ってたんだけど、なかなか決まらなくて・・・いやー、もう疲れたと思ったときに、良い物件に出会って、決めたんだよ」という院長もいます。

これは、最初は具体的に決まっていない条件が、内見しているうちに、だんだんと固まり、1年後になるまで、ちゃんとした物件を紹介してもらっていなかったのです。
こんな無駄足を、お互いに避けるためにも、院長が、自分なりに駅の周りの開業している医院を見て回るなどして、条件を詰めておくことです。

 

実際に、川合院長も具体的な条件が決まっていたこともあり、よさそうなビルを5個、紹介されたのです。
5つのビルを見に行ったのですが、そのうち、3つは空き室だったので、内見までできました。
ただ、残りの2つは、まだテナントが入っていて、外見やビルの設備は確認できましたが、内見まではできませんでした。

ただ、その内見できなかった1つは、場所としても、広さとしても、賃料としても、自分の希望する条件にぴったり合っていました。

不動産会社の担当者からは、条件が良いビルなので、テナントが出ていくまでに申し込まないと、次が決まってしまうと急かされました。
川合院長としても、このビルならば当然かと考えましたし、別のフロアに歯科医院が入っていたので、医院や病院用の内装工事も可能だろうと予想して、その場で申し込みをしたのです。

 

そのあと、2ヶ月間で、川合院長が設計士との図面を完成させて、請負の会社と打ち合わせが始まりました。
そこで、川合院長が、内視鏡の検査を行うことを告げてから、ちょっと問題が発生しました。

まず、内視鏡の検査を行うためには、トイレを、一般患者用、内視鏡の検査用、看護師や社員の専用で3つ用意する必要があります。
ところが、このビルでは、決まった場所にしかトイレを設置できなかったのです。

そもそも、トイレのような配管を通すためには、下に空洞がなければいけません。
一般的に、医院や病院に貸す物件では、必ず、トイレなどを増設することが多いため、30センチほど床を深く掘り下げて作っておきます。

医院経営や病院経営で、どうしても内視鏡の検査がやりかった川合院長は、床上げの工事を行い、トイレを作ることにしたのです。
当然、トイレの部分だけではなく、自分が借りたフロア全体を床上げしたので、予想以上に建築費が増えました。

 

そして、床下が狭いビルは、天井も厚くありません。
そのため、すでに埋め込み型となっているエアコンの位置を変えることができませんでした。
エアコンの位置が動かせないと、自由な間仕切りができないのです。

オフィスで仕事をする場所と考えれば、会議室以外に間仕切りは必要なく、逆にない方が、お互いの仕事をチェックできます。
歯科医院でも、診察台を間仕切りで囲むことは少なく、ちょっとした立て板やカーテンで仕切るだけなので、天井のエアコンで十分なのです。

ただ、医院経営や病院経営では、患者のプライバシーに関する話しが多い診療科目の場合、診察室でも、処置室でも、天井までの間仕切りをするのです。

結局、室外機を外に置くタイプのエアコンを設置することにしましたが、このときも、ビル自体が室外機を外に置くことを想定していないので、屋上に置くことになり、ダクトの設置費用がかなりかかったのです。

 

さらに、追い打ちをかけて、トイレ、エアコンを増やしたことで、医療機器も影響しているとは思いますが、電気容量が足りなくなりました。
電気幹線の引き替え(高圧受電設備の設置でもよい)が必要となり、こちらは予想以上の追加費用となってしまいました。

 

何とか医院開業することができて、その後も、順調に医療収益は上がり、利益も黒字になっています。
院長が場所に惚れ込んだだけあり、飛び込みの患者も多かったのです。
それでも、5年経っても、銀行へ借金を返済していて、あと5年は続きます。

返済が終わったころには、医療機器の買換えや壁紙の張替えなどが計画されているのです。
これでは、院長としては、誰のために医院経営や病院経営を一生懸命やっているのか分からないといった気分です。

 

私は、院長がビルの内装について勉強しておくべきだと主張している訳でありません。

借りるビルを選定するときには、事前に医院経営や病院経営の専門のコンサルタントに、意見を聞けばよいのです。

ここでは、給排水、電気設備、空調は、借りるビルの設備を利用できず、自分で作り込むとかなり高額な費用がかかってしまうことは、覚えておいてください。

まだ古いテナントが入っていたとしても、お願いして、院長、設計士、コンサルタントが同行して、内見しておくべきです。
先ほどの事例でも、エアコンを院長が内見をしていなかったので、設計士も、部屋ごとに設置できると想像して図面を作ってしまったのです。

以下が物件のチェックリストになるので、確認しておきましょう。

項目

内容

確認日付

建物外観

  • 違反建築物(越境など)に該当していないか。
  • エアコンの室外機の場所は、どこか。
  • テナントの区画まで、冷媒配管のルートは確保できているか。
  • 駐車場から、患者が入ってくる部分に段差がないか。
  • 段差がある場合には、スロープの入り口が別にあるか。
 

建物の構造

  • 夜何時以降に正面玄関が閉まるのか。
  • 正面入り口は、自動ドアになっているか。
  • 自動ドアでない場合には、外開きの玄関か。
  • エレベーターの中は、手摺がついていて、車椅子の乗り入れができるか。
  • 集合郵便受けは、テナントごとに確保されていて、鍵がかかり、他のテナントに持って行かれるような間違いはないか。
  • 光ファイバーを引けるのか。
  • テレビは、衛星放送、地上デジタル放送、有線の引き込みがすでにされているのか。
 

給排水設備

  • 床下の配管スペースは30センチ以上、空いているか。
  • 1階であれば、床が土間のコンクリートで、地中梁天端から30センチ以上、空いているか。
  • 床の表面を削ることができるのか。
  • 部分的に床上げ、腰壁を厚くして排水設備を設置してもよいか。
  • 梁の下に換気ダクトや冷媒配管を通すスペースはあるか。
  • 天井の高さは、2.7メートルを確保できているか。
  • 外壁を貫通させて、外部に配管を設置することができるか。
 

電気設備

  • 現在の電気容量のままで、医院経営や病院経営ができるか?
  • 変圧器の交換や追加が必要となるか?
  • 空調や水道光熱費の負担は、テナントごとなのか、ビルの一括集中管理になっているか。
  • X線装置やCTスキャンを導入しても、耐えられるケーブルの太さか。
 

工事関係

  • 医療機器を搬入する経路は確保できるか。
    (できなければ、組み立て式を選択するしかない)
  • 工事の日時は、夜間と土日のみしか許されないか。
  • 送水管のバブル位置は、工事するときに、使いやすい位置にあるか。
 

安全性の確保

  • 警備会社は、何時から見回りしてくれるか。
  • 外部サッシやガラスの熱対策、警備対策として、追加で保護シートなどを貼っているか。
  • 排煙設備(天井から50センチの部分で、部屋面積の1/50の排煙窓)があるか。
  • 避難指示の案内板があるか。
  • 外階段があれば、その周りは整理整頓されているか。
  • スプリンクラーの設置はできているか。
 

清掃の頻度

  • 毎日、ごみを収集してくれるか。
  • テナントの共有のトイレであれば、1日何回、掃除で見回るか。
  • 床の掃除機がけは、1週間に3回以上やってくれるか。
 
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