サービス付き高齢者向け住宅という制度を、医院や病院は活用すべきです

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2012/08/02
サービス付き高齢者向け住宅という制度を、医院や病院は活用すべきです

「高齢者住まい法」の改正により、平成23年10月から「サービス付き高齢者向け住宅」の登録が開始されました。今まで、「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」と呼ばれていたものが、この制度に移行することになりました。

高専賃の医療や介護の必要度が増すと住み続けられなくなるという、入居者のデメリットもなくなります。

あなたが、これから医院や病院を開業しようと考えていたり、分院を出そうとするならば、この「サービス付き高齢者向け住宅」に進出することも考えてみるべきです。
新しい制度なので、全員が同じスタートラインに立っています。

それでは、この制度には、医院経営や病院経営にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 【1】登録した場合だけ、「サービス付き高齢者向け住宅」と表示できる
  • 【2】一定の基準を満たすと、建設・リフォームに対する補助(1戸あたり100万円が上限)があり、新築や中古で買った物件に対して、税制の優遇制度もある
  • 【3】住宅金融支援機構から借りることができるので、有利な金利が使える
  • 【4】医療法人も賃貸経営に参入できる

それでも、医院経営や病院経営ならば、まずは病床を増やすことを考えるべきではないかという意見もあるかもしれません。

または、「サービス付き高齢者向け住宅」は新しい制度で、流行るか分からない事業で、これで医院開業したり、分院を出すことはできないという意見も当然です。
そこで、まずは下記の表を見てください。これが政府の将来の予測です。

 

平成23年度

平成37年度予定

高度急性期

107万床
75%程度
19日~20日程度

22万床
70%
15日~16日程度

一般急性期

46万床
70%
9日程度

悪急性期・
回復期リハビリ等

35万床
90%
60日程度

長期療養(慢性期)

23万床
91%程度
150日程度

28万床
91%程度
135日程度

精神病床

35万床
90%程度
300日程度

27万床
90%程度
270日程度

介護施設
 特養、老健

92万人分

131万人

居住系
 特定施設、グループホーム

31万人分

34万人分

※「%」は「稼働率」、「日」は「平均在日数」を表します。

この図で、平成37年度予定になっている部分は、今後、「地域一般病床」という新しい制度が導入されると少し変わります。

ただ、その場合でも、「高度急性期」、「一般急性期」、「悪急性期・回復期リハビリ等」の合計の病床は同じ数を予定しています。(地域一般病床で24万床を想定するため、その分は削る)

上の表から分かることは、介護施設と居住系は増えますが、それ以外は、ほとんど変わらないか、減少させるということです。

これは、介護施設と居住系でのコストは、医院や病院の病床を維持するコストに比べると、かなり安いからです。

この表を見た上で、医院経営や病院経営で病床を増やすという意思決定をすべきでしょうか?

新規の病床を申請することは難しいはずです。M&Aで買収すれば病床を増やすことはできますが、将来の病床を減らすということは、診療報酬点数も減額されて、結果的に利益ができない体質になることを意味します。

もちろん、だからと言って、病床がゼロになることはないので、救急の患者(現在の診療報酬点数でも、急患が一番高く設定されています)に対応するなど、生き残る方法はあります。

それでも現在、かなりの病床を持っている医院や病院がやるべき戦略です。

これから新しく医院や病院を開業したり、分院を出すならば取るべき方法ではありません。

それを分かっている院長が多いので、医療法人が特別養護老人ホームや介護老人保健施設を作ったりしているのです。

特別養護老人ホームは、略して「特養」とも言いますが、65歳以上の高齢者で体や精神に障害があり、家庭での介護が難しい場合に入所する施設です。そのため、入所者は、ずっとここに住み続けることになります。

一方、介護老人保健施設は、略して「老健」とも言いますが、高齢者で体のマヒやケガの症状が安定している場合、原則として3ヶ月を限度に入居して、自宅で生活できるようにリハビリテーションを行う施設です。特養と違って、ずっと住み続けるのではなく、家に帰ってもらうことを前提にしています。

政府としては、老健を増やしたいのですが、どうしても家での生活ができない人も多くなることを前提に、特養もかなり増えることを想定しています。

あなたがこれから開業するならば、いきなり特養や老健を検討するのは難しいでしょう。

ただ、あなたが分院を出そうと考えているならば、それに代えて、特養や老健を建設するという意思決定はありえます。

現在、特養や老健は、郊外の土地を借りて行う事業方式が多くなっています。つまり、建築費用だけを銀行から融資してもらうことになるので、必要資金は抑えることができます。

それでも、5億円ぐらいの資金が必要になることも多く、事業が失敗すれば建物が特殊で他の用途に転用もできないため、リスクは大きいと考えられます。

それで居住系の施設を建設するならば、特殊な建物でもなく、規模も自由に決められます。

特に、居住系の施設のうち、今回の新しい制度である「サービス付き高齢者向け住宅」であれば、リスクをかなり抑えられます。

現実に、ここ1年間で参入した医院や病院は、下記の2つの方法で登録しています。

【1】医療法人が1階に分院を出す

あなたがMS法人を設立して、そこが新たにビルを建設して、1階に医療法人の分院を作り、2階にはデイサービスを展開する方法です。3階から5階までは、一般の住居になるため、空室のリスクは減りますし、将来、ビルを転売することも可能です。

2階の部分は外注して、生活支援サービスを行なっている会社や社会福祉法人に貸している場合もあります。

また、銀行からの与信の関係で、医療法人が自分でビルを建設しているケースもあります。

なお、新築のビルを建てるのが難しい場合には、中古のビルを買ってきて、リフォームすることで転用すれば、初期コストを抑えることもできます。リフォームでも、補助金が出ます。

【2】すべて外付けで支援する

新たに医院や病院で開業するとすれば、最初にどれだけ患者が来てくれるのか、心配です。

そこで、「サービス付き高齢者向け住宅」も一緒に運営するという方法が考えられます。

そのとき、1階に開業するとなると、あなたの医院経営や病院経営のリスクがビルの収益に影響してしまいます。銀行から借りる金額の上限が決まってしまうかもしれません。

一方、高齢者が入居するビルとして購入して、外付けで医療と介護のサービスを提供することにします。

これならば、あなたの医院や病院の経営と切り離して考えることができます。

それに、あなたの医院や病院から往診すれば、診療報酬点数も高く、成功する確率も高くなります。

ここで、あなたは、いきなり開業するときに、この「サービス付き高齢者向け住宅」のビルを買うのは無謀だと言うかもしれません。

ただ、これから医院や病院で開業しても、絶対に成功するとは限りません。

この「サービス付き高齢者向け住宅」があれば、
一定の患者を確保できていることになります。

それに、医院や病院が「サービス付き高齢者向け住宅」を運営しているというのは、入居者にとって、一般の会社が行うよりも、かなり心理的な安心感を与えるのです。

あなたの医院や病院の名前を、もっと活かすべきだと思いませんか?

最初から諦めたら、何も始まりません。

私は、開業するときから、他の医院とは違う方法を選択すべきだと考えます。しかも政府が後押ししてくれる制度なのです。

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