MS法人を設立して、医院経営や医療法人の医業収益を移すことで、節税は可能ですか?

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2012/01/18
MS法人を設立して、医院経営や医療法人の医業収益を移すことで、節税は可能ですか?

あなたの医院経営が儲かってくると、当然、個人事業主である、あなたの所得は増えます。すると、所得税は累進課税のため、一気に税率が高くなります。そして、あなたにお金が貯まると、将来、相続税がかかることになるのです。 また、あなたが病院経営で、医療法人の理事長であったとしても、利益に比例して、給料の額を上げていくと、同じように所得税は一気に高くなってしまいます。そして、あなたにお金が貯まると、将来、相続税がかかってしまいます。  

この所得税と相続税を節税するために、MS法人を設立して、医院経営や医療法人の医業収益を、そちらに移転させる方法がよく行われました。もちろん、このMS法人の社長と株主は、あなたの配偶者、または子供です。 このとき、社長と株主が同じ人である必要はありません。会社の社長は、実際に、MS法人の仕事を行う人にしてください。株主は、最初の出資金額を出せる人です。

ms法人

医業収益をMS法人などに分散させて、そこで配偶者や子供に給料として支払えば、所得税は累進課税なので、税率は一気に低くなります。 MS法人の売上を正確に予想できないため、給料を支払っていても、利益が出ることもあります。それでも、株主が配偶者や子供なので、あなた自身の財産が増えるわけではありません。それにより、相続税の節税対策にもなるのです。

節税実際に、MS法人の社長である配偶者が、医院経営や病院経営のお金の管理と経理を行ったり、MS法人が不動産を所有して、医院や医療法人に対して貸し付ける事業を行なっていることが多く、税務調査でも医業収益の一部を支払ったとしても、否認されることは少なく、節税対策としては有効だったと言えます。

ところが、平成4年に、個人の医院経営で、診療報酬の10%を委託料としてMS法人に支払っていた金額が、同業者と比較して著しく高いとして、税務署から指摘されました。もちろん、MS法人の経営はダミーではなく、業務委託契約も作成しており、お金の振込みを行われ、法的な問題はありませんでした。

そのため、個人で医院経営を行っていた医師は、これを不服として、福岡地裁に裁判を起こしました。ただ、判決では、「10%は、適正委託料を超える」として、負けてしまったのです。 結果、個人の医師は、医院経営の所得が、過去に遡って更正されて(増額されて)、多額の所得税、延滞税、利子税等を支払うことになったのです。 この判決から、MS法人を使った節税対策を実行する医院経営は少なくなりました。 それよりも、個人の医院経営ではなく、医療法人化して、法人税による節税対策を実行するように変わってきました。

ということで、医院経営や医療法人の医業収益を、MS法人に、節税の目的だけで移すことはできません。

では、MS法人を設立して、節税すること自体が
なくなってしまったのでしょうか?

実際に、医院経営や病院経営を兄が、MS法人を医師ではない弟が経営し、そこでは複数の不動産に投資して、その一部を医院経営や病院経営に貸し付けている場合もあります。

このように、医院経営や病院経営と、MS法人の役割分担がハッキリしていて、適正な業務委託料や賃料を支払っている場合もあるのです。 MS法人があることで、医療経営と医業収益の分散による法人税の節税、所得の分散による所得税の節税、財産の分散による相続税の節税がなされているため、節税の効果は大きいと考えられます。  

ただ、1つだけ、注意して欲しいことがあります。

医療経営や医療法人の医業収益は、原則、消費税が非課税となっています。  
ところが、MS法人に支払う委託料は、消費税の課税取引になるのです。つまり、医院経営や病院経営であれば、支払う必要がない消費税を、MS法人を設立したことで負担する可能性があるのです。 法人税、所得税、相続税だけではなく、消費税も考慮に入れて、本当に節税になっているのかシミュレーションしてください。  

今後、消費税の税率が上がることを考えると、単純にMS法人に医業収益を移転させれば、節税になるという安易な考えは止めるべきです。 さらには、現在、消費税を支払う義務があるのは、医業収益のうち、人間ドック、文書料、自販機手数料等が、1000万円を超えた場合ですが、これに関しても、税制改正される可能性があります。保険診療報酬等は、消費税の課税対象でも、判定の金額にも入れません。

医院経営や病院経営から、MS法人に支払っている業務委託料の金額を、消費税の税率や法改正があったという理由で、変更することはできません。 それは、明らかに、節税だけを目的にした変更だからです。

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