MS法人が不動産を所有すれば、社宅にしたり、転用して賃貸用不動産にもできる

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2017/10/10
MS法人が不動産を所有すれば、社宅にしたり、転用して賃貸用不動産にもできる

医療法が改正されたことで、医療法人とメディカルサービス法人(MS法人)が1年間で1000万以上の取引を行うと、監督官庁である都道府県に報告義務が課せられます。

MS法人とは、医療法人の院長先生の妻、または子供が株を所有していたり、代表取締役に就任している株式会社のことです。つまり、院長先生の親族で支配していて、医療法人の事業を補助している会社のことです。それでも医療法人がMS法人に対して適正な金額の手数料を支払っていれば、問題視されることはありません。
「適正」とは、例えば、医療法人の窓口の受付業務をMS法人に委託している場合、第三者の会社にもアイミツを取って、それと同等程度であればよいという意味です。アイミツを取ればよいだけですので、手続きが難しいことはないでしょう。

ただそこまでしてMS法人を設立するメリットはあるのかということになります。

そもそも医療法人は定款によって、賃貸用不動産に投資することができません。

原則として、医療法人で働いている看護師や従業員の社宅、またはサービス付き高齢者住宅しか所有することができないのです。

確かに、看護師や従業員を確保するために社宅を準備することはお勧めです。しかし、医療法人が土地を購入して、その上に1棟の社宅を建てるケースは、最近ではあまり見かけなくなりました。
看護師や従業員が同じ1棟の社宅に住むことを嫌がる傾向にありますし、そこまで医療法人の資金が潤沢ではなくなってきている現実があります。しかも社宅として使わなくなった場合には、医療法人がそれをアパートとして運用できないため、売却するしかありません。看護師や従業員が住んでいないのに所有し続けても、無駄な修繕費や固定資産税などのコストがかかり続けるだけだからです。そのとき、莫大な売却損が発生して、医療法人の財務体質を急激に悪化させた事例も過去にはありました。

そこで、MS法人を設立して社宅を所有するならば、看護師や従業員が住まなくなったら、他人に貸し付ければよいのです。MS法人には資金がないので銀行から借りてくることと、医療法人から一定の業務を請け負うことは必要です。このとき、MS法人が社宅を所有したとしても、莫大な含み損が発生するかもしれないと考える人もいるでしょう。

しかしMS法人が社宅を用意するのであれば、1棟である必要がありません。別々のマンションを1戸ずつ所有して、それを社宅として使うことも可能です。含み損が発生しそうもない不動産をよく吟味して購入していけばよいのです。看護師や従業員の人数に比して足りない場合でも、賃貸マンションをMS法人が借り受けて、転貸すれば問題ありません。このとき、看護師や従業員に無料で社宅を貸すことはできず、下記の賃料を取ることになります。

「固定資産税の課税標準額」とは、毎年5月頃に市町村から所有者に送られてくる固定資産税の明細書に記載されています。もしMS法人が所有していない社宅である場合には、その明細書はオーナーに行きます。それでも不動産を借りて住んでいる人であれば、市町村の窓口に行けば、オーナーでなくとも固定資産税を閲覧できます。

ときどき、市町村の窓口で閲覧を断られることがありますが、それは法律を知らないからです。地方税法第382条の3(固定資産課税台帳に記載をされている事項の証明書の交付)で、「 市町村長は、第20条の10の規定によるもののほか、政令で定める者の請求があつたときは、これらの者に係る固定資産として政令で定めるものに関して固定資産課税台帳に記載をされている事項のうち政令で定めるものについての証明書を交付しなければならない。」となっていることを伝えれば、すぐに見せてくれます。これを使って社宅の賃料を計算すれば、だいたい周辺の賃料相場と比べて10分の1ぐらいまで下がるはずです。

さらに、MS法人であれば院長先生の社宅を所有することも可能です。「医療法人でも、役員社宅を購入することはできるのでは?」という疑問が沸くかもしれません。一般的に監督官庁である都道府県にもよりますが、指導が入ります。
つまり事実上、医療法人が特定の理事のためにお金を使って社宅を購入することはできないのです。もちろん、すべての都道府県ではありませんが、現在はよくても、将来は方針が変わってダメという可能性もあります。
一方、MS法人であれば、その心配はまったくありません。

MS法人が院長先生に社宅を貸したときにも賃料を徴収する必要がありますが、看護師や従業員の賃料の計算方法を採用するためには、追加の基準をクリアする必要があります。

追加される基準とは、下記となります。

これが区分所有の建物であれば共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。この基準をクリアすれば小規模な住宅と認められ、看護師や従業員と同じように周辺相場の賃料の10分の1ぐらいの賃料ですみます。
一方で、この基準をクリアできずに小規模な住宅とならないと、下記で計算した賃料を支払うことになります。

計算すればすぐに分かりますが、周辺の賃料相場と比べて10分の1とまではいかず、かなり賃料は上がります。それでも通常の賃料を支払うよりは、院長先生にとってメリットがあります。つまり通常の賃料であれば、院長先生は給料をもらって所得税と社会保険料を支払い、その残りで支払うことになります。

それが例えば月額20万円の賃料のところ、院長先生は5万円を負担すればよいのであれば、残りの15万円はMS法人が支払えばよくなります。その15万円に対する所得税と社会保険料が浮くことになります。
所得税率にもよりますが、半分が貯金できるとすれば、年間で75,000円×12ケ月=90万円の手取りを増やすことができます。

なお、「院長先生が所有している自宅をMS法人に借り上げてもらい、それを院長先生に又貸しすることはできないか?」と聞かれることもあります。
これはできません。
というのも、院長先生が住んでいる自宅をMS法人に貸す合理的な理由がないからです。

この場合には自宅をMS法人に貸すのではなく、売却してしてMS法人の所有にしてしまえば、社宅として認められることになります。

MS法人にお金がなければ、院長先生が貸すか、銀行から自宅を担保にお金を借りればよいのです。

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