MS法人が、不動産管理の業務を行うならば、やっておくべきことが2つある

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2015/01/30
MS法人が、不動産管理の業務を行うならば、やっておくべきことが2つある

MS法人が、不動産管理の業務を行うならば、やっておくべきことが2つある前回からの続きで、医療法人や個人医院とは別に、院長の配偶者や子供が、MS法人を設立して、医院経営や病院経営を手伝っていることがあります。

MS法人は、一般の株式会社のため、事業に制限がありません。そのため、何をやってもよいのですが、医療法人や個人医院からの売上や利益を移転させていることも多く、その場合、下記の5つの業務と考えられます。(自由診療が多い医院経営や病院経営であれば、他の業務もあります)

  • 1.医療法人や個人医院が、MS法人に管理委託料を支払う
  • 2.MS法人が医療機器を買って、医療法人や個人医院にリースする
  • 3.MS法人が建物や土地を管理する、又は医療法人や個人医院に又貸しする
  • 4.MS法人が医薬品や消耗品を買って、医療法人や個人医院に卸す
  • 5.MS法人が社員を雇って、医療法人や個人医院に派遣する

院長としては、ちゃんとやっているにも関わらず、税務調査でMS法人への支払いが否認されることもあります。それに納得がいかず、裁判を行う事例も増えています。
その結果として、裁決事例(裁判所で院長と税務署が争い、判決が下りた事例)があります。
前回は、「1.」と「2.」に関する事例をご紹介しました。

今回は、「3.」に焦点を当てたいと考えます。
これに関しては、かなり多くの裁決事例があります。

というのも、不動産管理料については、医院経営や病院経営に特有の問題ではありません。アパートや事務所ビルを所有して、賃借人に貸し付ける不動産賃貸業を行っている人たちも、お同じように不動産管理会社を作っています。
院長も、医院経営や病院経営とは関係なく、不動産投資を行っていることも多く、MS法人の主な事業が、不動産管理法人となっていることもあります。

基本的に、不動産管理法人を作る目的は、2つあります。

1つ目は、例えば、父親がアパートを所有していたとしても、高齢になり、判断能力が劣ってきたり、病気で動くことが難しくなることもあります。
となると、賃借人との間で賃貸借契約ができませんし、銀行からお金を下すこともできません。
これでは、困ってしまうので、不動産管理会社を作り、父親と賃貸契約を行って一括借り上げして、賃借人に又貸しするのです。
目的は違うかもしれませんが、MS法人がビルを借りて、医療法人や個人医院に又貸しするのも、これと同じスキームです。

2つ目は、節税です。
父親に入るべき賃料の一部を、不動産管理法人に移転させることで、利益を分散することは、所得税だけではなく、相続税の節税対策になります。
個人医院であれば、MS法人に利益を分散させれば、同じ目的を達成できます。
一方、医療法人の持分には相続税がかかりませんが、MS法人に利益を分散させれば、法人税を節税することはできます。

MS法人が、不動産の管理を行う場合には、清掃をしたり、修繕の見積もりを取ったり、業者と窓口を行えばよく、医療の専門的な知識は必要ありません。
そのため、今まで医院経営や病院経営に携わってこなかった妻や子供でも、明日からすぐに手伝うことができます。

ところが、院長が安易に考えすぎていると、税務調査で否認されることになります。

裁決の事例としては、数多くありますが、3つをご紹介します。

平成元年4月17日の裁決では、貸しビルの管理料の平均は賃料収入の6.10%、駐車場の管理料の平均は、駐車料金の6.43%と比較して、合理的な金額でなければ、認められないとしました。

平成元年4月25日の裁決では、1棟の病院の管理委託料として、MS法人に支払っていたが、外部委託者(不動産会社)への取次という業務だけであり、平均的な取次料は、支払った管理委託料の10%としました。
平成18年6月13日の裁決では、サブリースしていた不動産管理法人に対して、共益費を含んで、平均的な手数料は、賃料収入の12.8%~16.6%としました。

税務署に否認されないためのポイントは、2つを満たすことです。
1つ目のポイントは、個人医院であれば院長と、または医療法人と、MS法人(不動産管理法人として機能)が締結する契約内容を間違わないことです。

【1】不動産管理型

不動産管理型

個人医院や医療法人が所有する不動産に対して、MS法人が管理を委託された場合、それを外部の不動産会社に業務の一部を委託することはよくあることです。
それ自体は問題ないのですが、MS法人を飛び越して、外部の不動産会社に直接依頼すると、おかしなことになります。

自分たちでMS法人を作って、管理料を支払っているのですから、そこが取り仕切るべきですし、そこを通じて支払いも行うことが大切です。
そして、個人医院や医療法人と、MS法人との業務委託契約の内容が、MS法人と外部の不動産会社との業務委託契約の内容と、まったく同じになってはいけません。

MS法人が行うべき業務は、外部の不動産会社が行う業務よりも、多いことが前提です。

税務調査があったときも、MS法人としてやっている業務を明確に説明する必要があります。
ただ、不動産の管理なので、毎日の清掃などでも、よいのです。
何の業務も行わず、個人医院や医療法人の利益が分散されていては、ダメと言うことです。

【2】サブリース型

サブリース型

個人医院や医療法人がビルを賃貸して、医院経営や病院経営を行っている場合です。
通常、土地や建物を所有している人が、外部の不動産会社に管理を委託しているはずです。
このとき、MS法人が不動産賃貸業を行うならば、所有者と賃貸借契約を行い、個人医院や医療法人に又貸しをするのです。

間違ってはいけないことは、土地や建物の所有者と、個人医院の院長や医療法人が賃貸借契約を行ったり、敷金や保証金を差し入れはいけないということです。

賃貸借契約を行う当事者と、賃貸料を支払う先を確認してください。
もし現時点で違うならば、すぐに土地や建物の所有者と再契約を行いましょう。

また、個人医院ではあり得ませんが、土地や建物の所有者が院長個人で、それを医療法人には貸すことができます。
その場合でも、MS法人をサブリース会社として、利用することが可能です。

 

2つ目のポイントは、不動産管理型では管理料、サブリース型では、賃貸料の差額が高すぎてはいけないということです。

MS法人に支払うものが、管理料であれば、賃貸料の8%程度、サブリース料の差額だけであれば、賃貸料の10%程度が上限となるでしょう。
土地や建物の所有者が院長であり、それを医療法人にサブリースする場合には、サブリース料の差額だけではなく、管理も同時に委託しますので、賃貸料の15%程度が上限となります。

当然、医院経営や病院経営を行っている地域やMS法人が行う仕事内容によって、利益率は変わるため、上限内であれば、絶対に否認されないということではありません。
そもそも事業の実態がないMS法人であれば、1%の管理料であっても、利益を分散すること自体が否認されることになります。

一方、MS法人に実態があり、スキームも契約内容も間違わず、業務にあった利益率であれば、それが個人医院や医療法人の節税になっていたとしても、否認されることはないということです。

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