特定医療法人になると、どんなメリットがあるのか、知っていますか?

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2015/02/10
特定医療法人になると、どんなメリットがあるのか、知っていますか?

特定医療法人になると、どんなメリットがあるのか、知っていますか?特定医療法人とは、
「持分の定めがなく、かつ事業が医療の普及や向上、社会福祉への貢献、その他公益の増進に著しく寄与し、かつ公的に運営されていることにつき、一定の要件を満たすものとして、国税庁長官の認証を受けた医療法人」
と定義されています。

平成26年3月31日現在で、全国に375法人(財産46法人、社団329法人)があります。
社団法人とは、一般的な医療法人のことですが、全国で5万の登録があります。
そのうち、329法人という数字は、予想以上に多いと感じます。

ここで、間違ってはいけないのは、「特定医療法人とは、医療法上の法人ではなく、定義にあるように、税制上で認められた法人のことだ」ということです。

そのため、特定医療法人とは、税制上のメリットがあるということなのです。

メリット

法人税の軽減税率が使える

800万円までの利益 15%(一般の医療法人も15%)
800万円を超える利益 19%(一般の医療法人は25.5%)

移行時の法人税、所得税、
贈与税がかからない

経過措置型医療法人が、特定医療法人になるときに、誰にも贈与税がかからない

相続税はゼロ

特定医療法人に限ったことではないですが、持分の定めがないため、相続税がかからない
かつ、持分がないことで、社員(株式会社の株主にあたる)から持分の払い戻しを請求されることはない

ほとんどの医療法人の利益が、800万円を超えるはずですので、法人税はかなり軽減されます。
例えば、一般の医療法人の税引前利益1億円とすれば、

800万円×15%+(1億円-800万円)×25.5%=2,466万円

となります。
一方、特定医療法人の税引前利益1億円とすれば、

800万円×15%+(1億円-800万円)×19%=1,868万円

となり、1年間で、598万円も法人税が得となります。

そして、最も大きな特定医療法人のメリットは、経過措置型医療法人から移行するときに、誰にも、贈与税がかからないことです。
贈与税は、医療法人の持分の価格によっては、かなりの金額になるため、ここでの節税効果は絶大だと考えます。
ただ、メリットだけではなく、デメリットもあります。

デメリット

理事の給料総額の上限

1人当たり年間3,600万円(1ヶ月300万円)が上限となる

同族支配ができない

特定医療法人に認定されるためには、「理事、監事、評議員、その他役員等に占める親族等の割合が、いずれも3分の1以下であること」という要件がある

自賠責等収入の低減

承認要件から、告示により、社会保険診療収入が、すべての医業収益の80%を超えること
自費患者に対して請求できる金額が、社会保険診療報酬と同一基準であること
医業収益は、医師、看護師等の給料、医療提供に必要となる費用等、患者のために直接、必要な額に100分の150を乗じた範囲内であること

病床の最低数

40床以上(皮膚泌尿器、眼科、整形外科、耳鼻いんこう科、歯科を専門に行っている医院であれば、30床以上でよい)であること

救急告示病院

救急診療所である旨を告示された診療所で、それが15床以上

特別の療養環境の病床数

医院や病院、及び介護老人保健施設ごとに、特別の療養環境に係る病床数(介護施設は、定員数)が、全体の病床数の30%以下であること

特定医療法人の理事の報酬は制限されて、かつ同族支配もできないため、利益が出ても、それが医療法人に貯まります。

医療法人は、配当ができないため、それはずっと、医院経営や病院経営の運営のために、使うことになります。
それだけ、公益性が求められるとも言えます。
ただ、病棟を増改築したり、高額な医療機器に投資するならば、そもそも大きな金額が必要なのです。
安い法人税で、医療法人に貯めたお金を効率よく使うことは、悪いことではありません。

 

では本当に、あなたが、特定医療法人を目指すべきメリットはあるのでしょうか?
すでに持分の定めのない医療法人であれば、特定医療法人になっても、法人税が減額されるだけなので、実は、あまりお勧めしていません。

一方、経過措置型医療法人で、かつすでに持分の評価も大きくなっていて、理事長の相続税を試算してみると、すでに莫大な金額になってしまう場合には、特定医療法人になることをお勧めしています。
というのは、医療法人の持分の評価が高いと、問題は、相続税だけでは終わらないからです。

相続のときには、相続人に遺留分という権利が発生します。

事例
相続人 長男(医師)と次男(サラリーマン)の2人
経過措置型の医療法人の理事長である父親の財産
自宅1億円 現預金2億円 医療法人の持分7億円(財産合計10億円)

このとき、長男と次男の合計の相続税は4億円です。
相続税は公平性のために、財産をどのように分割したとしても、同じになるように計算されます。

つまり、10億円をすべて、長男が相続しても、長男と次男で半分ずつにしても、長男と次男が1対3で分けても、相続税の合計は4億円なのです。

 

理事長である父親は、医師の長男は、すでに医療法人を手伝っているので、継がせようと考えていました。
周囲からは、財産が大きいので、兄弟でもめないように、遺言書を作るべきだと助言されてたこともあり、実行していたのです。

遺言書には、医療法人の持分は長男、自宅は次男が相続すると指定しました。
医療法人の持分の評価を考えると、現預金は、すべて次男に相続させるべきなのかもしれませんが、長男は相続税を支払わなくてはいけません。

医療法人には、建物と土地、それに医療機器を買っていたので、お金は2億円程度しかありませんでした。
この2億円も、運転資金があるので、すべて借りてしまうのは、不可能です。
そのため、悩んだすえ、現預金は2分の1ずつにしたのです。

 

遺言書を作っていたからと言って、兄弟が争わないというわけではありません。
実際に、相続が発生すれば、次男には遺留分があり、それは法定相続分の2分の1の半分、つまり4分の1の権利を主張できてしまうのです。
このとき、よく生前に贈与しておけば、遺留分は減るという意見がありますが、それは間違っています。

特別受益という制度があり、生前に父親から長男に贈与された財産は、時効がなく、基本的には財産に合算されて、遺留分を計算することになるのです。

結局、この事例では次男の遺留分が2億5000万円と計算できるため、不足している5000万円を、長男に請求できることになります。
長男が争っても、裁判を行っても、遺留分が消滅することはありません。

このままでは、長男は、相続税を支払うことができないでしょう。
次男も、遺留分を請求できたとしても、この医療法人の持分の評価を見て、それを長男が相続したことに、不満を持たないはずがありません。
会社員である次男には、見たこともない金額です。

遺留分はあくまで、4分の1の権利であり、4分の3は、長男が相続した事実は変わらないのです。
父親が兄弟で仲良くして欲しいと考えて、遺言書を作っておいたとしても、喧嘩してしまうことになるのです。

であれば、父親が生前に、経過措置型の医療法人を特定医療法人に変更しておけば、兄弟で争う事態を避けることができるのです。

特定医療法人になれば、理事長である父親の給料も制限されてしまうので、その前に引退することにして、父親は、2億円の退職金を受け取ればよいのです。
2億円をすぐにもらえなくても、退職金を分割で支払うこともできます。

事例
相続人 長男(医師)と次男(サラリーマン)の2人
経過措置型の医療法人の理事長である父親の財産
自宅1億円 現預金4億円(合計5億円)

このときの相続税は、2人の合計で1億5200万円です。
財産を2分の1にしても、相続税も支払えます。
次男が、医療法人の持分の評価を知ることもありません。
次男が不満を持つ理由はなくなります。

このような場合には、特定医療法人になるメリットは絶大なのです。

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