医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

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2016/08/30
医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

医療法人は、他の医療法人に出資ができません。
つまり、医療法人の子会社に、医療法人をぶら下げることができないのです。そのため、医療法人の事業を、他の医療法人に承継させたいと考えた場合には、合併させるか、事業譲渡するしかありませんでした。

合併すると、すべての医院や病院の事業が包括的に承継されます。

これは、契約がすべて自動的に引き継がれることを意味します。賃貸契約書、雇用契約書、医療機器のリース契約書、銀行からの借入の契約書、それ以外にも、病棟があって、食堂を外注していたり、リネンの作業を外注していれば、その契約書も引き継がれます。

これは、煩雑な手続きはなく、合併契約書が1通あれば、完了するのです。契約先も、基本的に、これを拒否できません。ただし、赤字で債務超過の医療法人が、黒字で資産超過の医療法人と合併すると、黒字の医療法人にお金を貸している銀行などは、心配になります。

そこで、合併する前に、反対する債権者がいれば、申し出る期間を設けるため、官報で合併する旨を公告するのです。そして、被合併法人の株主は、そのまま、合併存続法人の株主になります。
最近では、医療法人の院長先生が高齢になったにも関わらず、事業承継できる子供がいなく、売却するぐらいならば、知り合いの医療法人と合併するという事例も増えてきました。働く看護師や社員にとっても、患者にとっても、医療法人が存続してくれることは、歓迎すべきことです。

医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

ただ、合併はメリットばかりがある訳ではありません。
デメリットとしては、被合併法人(図では、医療法人X)に隠れた負債があれば、医療法人Yが引き継いでしまうことです。医療法人が、他人の連帯保証人になることは、禁止されていますので、隠れた銀行からの借金はないかもしれません。

ただ、看護師や社員への未払残業代の支払い、患者からの訴訟リスク、さらには、将来の税務調査で否認された場合、その否認された法人税は合併存続法人が支払う義務が発生します。

 

一方、

事業譲渡では、医療法人の一部の事業を譲渡することで、他の医療法人に引き継がせます。

ただ、この場合には、譲渡した事業に関する契約は、自動的に引き継がれるわけではありません。医療法人が債権者となる権利は、通知するだけで、引き継がせることができます。それでも、郵便物での通知が必要です。医療法人が債務者となっている契約は、すべての債権者と合意書を締結しなければいけません。

それに、事業に関連する看護師や社員との雇用契約書も、すべて再締結となります。もし看護師や社員に拒否されると、契約を引き継がせることはできません。また、医療機器のリース会社なども、事業を譲受ける医療法人の与信が低いと、契約を移転させてくれないでしょう。

手続きはこれだけではありません。
事業を譲渡した医療法人の廃止届出と同時に、事業を譲受けた医療法人では、新規の開設許可が必要となるなど、煩雑になります。さらに、譲渡する事業に土地が含まれている場合、その売却益が発生することもあります。
当然、医療法人の利益となり、法人税がかかります。
医院や病院の事業には、診療所の土地が付いていることも多く、この税金がネックとなり、事業譲渡できないケースもあります。

医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

ただ、事業譲渡には、デメリットばかりがある訳ではありません。
メリットとしては、事業譲渡した医療法人(図では、医療法人X)に隠れた負債があっても、事業を引き継いだ医療法人(図では、医療法人Y)が、自動的に引き継いでしまうことがないのです。
合併のデメリットの逆ということです。
しかも、事業譲渡であれば、譲り受けた医療法人に売却対価を支払ってもらうので、それを院長先生の退職金に当てて、引退することもできます。

 

今までは、この2つの方法しかなかったのですが、平成28年9月から、以前から株式会社では認められていた、会社分割の制度が医療法人でも使えるようになります。
医療法人の会社分割の制度は、大きく分けて、2つの種類があります。

1つ目が、医療法人の新設分割です。

医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

 

2つ目が、医療法人の吸収分割です。

医療法人を会社分割して、事業を切り離すことができます。

上記の図を見ると、「事業譲渡と、何が違うのか?」と疑問を持つ院長先生もいるかもしれません。この会社分割は、事業譲渡と結果は同じなのですが、手続きや税金にメリットがあるのです。

つまり、会社分割で移転させた事業の契約は、合併と同じで、自動的に、分割先の医療法人に引き継がれるのです。

そして、一定の要件を満たす必要がありますが、土地に売却益が発生しても、これを繰り延べて、ゼロにすることができます。

しかも、最も大きなメリットは、原則ですが、会社分割した事業の負債しか、引き継がないことです。

そのため、赤字で債務超過の医療法人の事業を、一部だけ、会社分割で移転させても、事業を引き継いだ医療法人にはリスクがないということです。この会社分割の制度が始まれば、今まで以上に、より機動的な医療法人の事業承継が可能となります。

 

ただ最後に、注意点があります。

会社分割ができるのは、持分なし医療法人のみとなり、持分あり医療法人については、対象外となっています。

つまり、社会医療法人、特定医療法人、持分あり医療法人については、会社分割する側にも、事業を承継する側にもなれません。
今まで通りに、合併するか、事業譲渡するしかないのです。

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