医療法人に、株式会社は出資できるのか?

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医療関連のコンサルティング
2014/04/10
医療法人に、株式会社は出資できるのか?

個人で開業している院長は、医院経営や病院経営の他に事業を始めても問題がありません。
当然ですが、アパートなどの収益物件を買って人に貸すことも、インターネットで医療とは関係ない商品を売ることも、自分で飲食店を経営することもできてしまいます。

すべて院長個人が契約を行います。
飲食店の経営が趣味であっても、赤字であっても、まったく構いません。

そして、毎年、2月16日から3月15日までの確定申告では、医院経営や病院経営の医業収益と経費による個人事業主の利益と飲食店を経営しているならば、医院経営や病院経営の事業所得とは別に計算します。

さらに、個人で収益物件に投資していたら、その賃貸収入から経費を差し引いた利益は、不動産所得として計算します。
最後に、すべての所得を合算して、それに所得税率をかけるのです。

一方、医療法人は、個人とは違います。

医療法人が契約を行ったものは、すべて医業収益、もしくは経費となります。
診療行為だけではなく、医薬品を販売すれば、それも同じ医業収益という売上になります。

一方、経費は、それぞれに紐づかせるわけではなく、医療法人として使った経費は、すべて一括で計上され、医業収益から差し引かれます。
その結果である利益に対して、法人税がかかるのです。

それでは、医療法人は、どんな事業でも行えるのでしょうか?

医療法では、「医療法人は、営利な事業を行うことができない」とされています。

原則、医療法人とは診療行為のみを行う非営利団体であり、収益物件などの投資を行うことはできません。
ただし例外があり、診療行為に附帯する業務(附帯業務)と付随する業務(付随業務)が行えることになっています。

附帯業務とは医療法に定めがあり、医療法人の定款を変更しないと行うことができません。附帯業務の主な内容は、下記を見てください。

  • 【1】医療関係者の養成又は再教育
  • 【2】医学又は歯学に関する研究所の設置
  • 【3】巡回診療所、へき地で医師などが常勤していない医院の経営
  • 【4】医院が併設された疾病予防のために有酸素運動を行わせる施設
  • 【5】有酸素運動を行う場所がある疾病予防のために温泉を利用させる施設
  • 【6】薬局
  • 【7】指圧師、はり師、きゅう師などによる施術所の経営
  • 【8】介護保険法の居宅サービス事業、居宅介護支援事業
  • 【9】サービス付き高齢者向け住宅への投資
  • 【10】医師や看護師の派遣事業
  • 【11】保育所型の認定こども園の運営
  • 【12】有料老人ホームの経営

一方、付随業務とは、院長の社宅や看護師の寮を建てたり、医院の前にある駐車場を患者に有料で貸したり、入院患者のために飲食店を経営することを指します。

つまり、医療法人のお金を、患者や医療関係者の福利厚生のために使うのであれば、許されるということなのです。

ただ、このように考えると、医療法人はかなり幅広い業務を行うことができます。
医療法人も診療行為だけで儲かる時代ではないので、業務を拡大していく必要があります。

そもそも、医療法人を設立するときには、不動産を所有することが望ましいとされていますし、患者を集めるために、高額な医療機器を買った方がよいこともあるでしょう。

不動産や医療機器を買ったり、より幅広い事業を行うとすれば、院長個人のお金だけでは足りません。銀行から、お金を借りることもできますが、多額の借金は利息の支払いだけではなく、今後の診療報酬の改定の内容によっては、資金繰りを悪化させる原因になるかもしれません。

そこで、医療法人の基金に、株式会社が出資してもらうことができれば、潤沢なお金を確保できます。基金であれば、返済する必要も、利息を支払う必要もありません。
それでは、そもそも株式会社が医療法人に出資することができるのでしょうか?

先ほども言いましたが、医療法人は非営利団体なので、株式会社などの営利法人に支配されることは、禁止されています。

ただ医療法人は株式会社とは違い、出資したことで、議決権が持てたり、経営に参加できるわけではありません。あくまで、医療法人は、個人である院長(社員)たちが経営を行います。

つまり、株式会社が医療法人の議決権を持たなければ、お金を出資することができるのです。不動産で現物出資という方法も可能です。

実際に上場会社が、大病院に出資している具体的な事例もあります。

上場会社としては、経営権はなくても、医院経営や病院経営を通じて、自分たちのビジネスを拡大させたり、人脈を広げられるというメリットがあります。
批判的な意見はあるかもしれませんが、医院経営や病院経営のノウハウを吸収して、将来は、医療法人を実質支配するという目的もあるかもしれません。

ただ結果的に、医院経営や病院経営が安定し、患者のメリットがあるならば、あとは医療法人と株式会社との交渉だと思います。

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そのとき、株式会社の役員が、医療法人の理事(社員)を兼任するとなると、経営に影響を与えることができることになり、問題となります。
また、医療法人が、他の医療法人に出資することはできないので注意してください。(合併した場合など、一部例外はある。)

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基金に出資する株式会社は、医療法人の経営に参加しないならば、同族会社であっても、構いません。

そのため、メディカルサービス(MS)法人からお金を出資してもらい、医療法人の経営を拡大することもできるのです。

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