医療法人だからこそ、やっておくべき相続税の対策とは?

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2012/06/06
医療法人だからこそ、やっておくべき相続税の対策とは?

相続税の対策はいろいろありますが、一般的な話は置いておき、ここでは医療法人の相続税の対策に効果的な方法を考えてみましょう。

医療法人は、配当ができません。

そのため、医療法人の出資持分は高くなる傾向にあります。

あなたが、医療法人の院長であれば、必ず、相続税の対策は行なうべきです。

土地のような不動産や株と違って、医療法人の出資持分には換金性がありません。

あなたが、相続税の対策をやっておかないと、子供が相続税で苦労しますし、それで医療法人の経営が悪化するようなことがあれば、患者にも迷惑がかかってしまいます。

 

ここでは、医療法人にすごくメリットがある相続税の対策をお教えします。

それは、医療法人の出資持分を、子供に贈与する方法です。

「なんだ?」「それだけ?」と思うかもしれません。

でも、これは医療法人だからこそ、絶対にやっておくべき方法なのです。

まず、贈与税には基礎控除というものがあります。

この基礎控除を超えると、税金がかかります。

現在の基礎控除は、1年間で110万円です。

ちょっと、低すぎます・・・よね。医療法人の出資持分が1億円とすれば、90年かかってしまいます。これでは、間に合いません。

そこで、310万円までは一番低い税率なので、そこまでは贈与してもよいかもしれません。

1年間に310万円の贈与ならば、贈与税は20万円となり、実効税率は6.4%です。

この贈与は、もらう人で判定します。

例えば、兄弟2人、それに孫が2人いて、合計4人に310万円ずつ贈与するならば、1年間で1240万円も贈与できてしまいます。それで、贈与税は80万円ですみますし、1億円の出資持分を贈与するのに、8年間で完了します。これなら、間に合います。

ただ、これが現金の贈与だったら、大いに推薦するのですが、医療法人の出資持分なので、4人に分散させるのは止めた方がいいでしょう。

やっぱり、医療法人を継ぐ人だけが、この出資持分をもらうべきです。

そうしなければ、絶対にあとで、親族間で、医療法人の経営を巡ってもめるからです。

となると、1年間で310万円の贈与が限度となってしまい、他の方法を考えなくては間に合いません。

そこで、相続時精算課税制度を使って、医療法人の出資持分を子供に贈与する方法を提案します。

これは1年間、いや1回で子供や孫に、どれほど多くの贈与をしても、それは相続財産とみなして相続税がかかるという制度です。相続時精算課税制度では、2500万円までは無税で、それを超えると20%の贈与税を先に支払うことになります。それは相続のときに精算します。

例えば、医療法人の出資持分が、現在1億円だったとします。

それを全部一度に子供に贈与すると、1500万円の贈与税を支払うことになります。

そのあと、医療法人の院長が亡くなったときに、この医療法人の出資持分1億円を相続財産とみなして、それに対する相続税が2000万円になったとします。

すでに1500万円を支払っているので、追加で500万円の相続税を支払えばよいことになります。

これだけ聞くと、あなたは「あ、それだけ」と思うかもしれませんが、これは2つの大きなメリットがあるのです。

【1】あくまで贈与は成立している

贈与された医療法人の出資持分が相続財産とみなされて、相続税がかかるという制度ですが、あくまで贈与は成立しています。

そのため、医療法人の出資持分が、親族間の遺産分割の対象にはなりません。

つまり、他の兄弟から医療法人の出資持分が欲しいという主張を排除できるのです。

これは、親族間の争いを防ぐ、最も単純ですが、最も効果的な方法なのです。

特に、あなたが医療法人の院長であれば分かると思いますが、やっぱり医療法人は現預金を豊富に貯めています。

この預金は無駄に貯まっているわけではなく、医療法人が医療機器を買ったり、内装や外装をリニューアルしたり、分院を出したり、看護師に給料を支払うために取っておくべきお金なのです。

でも医療法人を継がない相続人にとっては、そんなこと関係ありません。

私は今まで、相続人が理不尽な主張をしている場面を何度も見てきました。

彼らにとっては、医療法人には社会的な使命があり、患者もいるという観念がないのです。

自分は相続人であり、医療法人の預金を使える権利があると考えてしまうのです。

そのような横暴な考えをする相続人を排除するために、事業承継する子供に、医療法人の出資持分を生前贈与しておくことです。

【2】相続税の対策になる

医療法人の出資持分を相続時精算課税制度を使って贈与する方法は、すごく節税効果があります。

一般会社の株を同じように、相続時精算課税制度を使って贈与している対策も見ますが、本当にメリットがあるのか、すごく疑問です。

というのは、相続時精算課税制度とは、あくまで贈与したときの価値を相続財産に組み込んで、相続税が計算されるのです。

一般会社の価値の線では、「贈与したときの価値>相続したときの価値」となっています。

それでも、相続税は贈与したときの価値をもとに計算されてしまうのです。

これでは相続税の対策をやっていたのに、税金が増えてしまうことになります。

一方、医療法人は「贈与したときの価値<相続したときの価値」となっています。

この場合でも、贈与したときの価値で相続税を計算してよいのです。

かなり得だと思いませんか?

これを見て、あなたが医院や病院の院長であれば、医療法人の出資持分が「贈与したときの価値>相続したときの価値」となれば、不利になるじゃないかと思うかもしれません。

実は、たまたま、この上図のようになっているのではありません。

ハッキリ言って、一般会社は7割が赤字、残りの3割が黒字です。

一方、医療法人は7割が黒字、残りの3割が赤字なのです。

これは統計資料から分かります。

ただ、一般会社は、一気に黒字になることがあります。ビジネスは流行に乗ることもあり、提携した会社によっては、かなり上手く儲かることがあるのです。一発逆転です。

だから、上図のように株価が乱高下するのです。

たまたま、株価が高いときに相続が発生すれば、相続税の対策は成功と言えますが、株価が低いときに相続が発生すれば、相続税の対策は失敗となるのです。

これでは、相続税の対策が運まかせになってしまいます。

だから、一般会社の株は、相続時精算課税制度を使って贈与する方法はお勧めしません。

もっと他の方法を使って、確実な相続税の対策を行なうべきです。

一方、医療法人はどうでしょうか?

あなたが、長年、医院経営や病院経営に携わってきたのであれば、分かりますよね。

大学病院や公立病院は、高価な医療機器を買ったり、看護師や間接部門の給料も高く、効率の悪い作業も多く存在するため、ずっと赤字になっていることもあります。

ところが普通の医療法人は、そんな無茶なことはしません。

だから、いきなり儲かりすぎることもないのですが、突然、大赤字になることもないのです。

医院経営や病院経営とは、毎年の利益は少ないかもしれませんが、確実に儲かるビジネスなのです。

だから、上図でも時間が経つと、それに比例して医療法人の出資持分の価値も上がっているのです。つまり、相続時精算課税制度を使って、生前に医療法人の出資持分を贈与しておくと、かなりの相続税の対策になります。

一度、この方法を検討してみてはいかがでしょうか?

できるだけ早い段階で贈与することが、相続税の対策の効果を大きくすることにつながります。

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