MS法人との業務委託契約の内容が、都道府県からチェックされることになります。①

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2017/09/10
MS法人との業務委託契約の内容が、都道府県からチェックされることになります。①

医療法が改正されて、「関係事業者との取引に関する情報開示」として、一定の要件に当たる取引は毎年、事業報告書と一緒に都道府県に届け出る必要があります。「様式7」として書式も決定していて、ダウンロードすることができます。

 

1. 適用される年月日

「関係事業者との取引に関する情報開示」は、平成29年4月2日以後に、医療法人の事業年度が開始すると順次適用されます。とすると、3月31日が決算日となっている医療法人の適用が最も遅く、平成30年4月1日から平成31年3月31日の会計年度分より提出が必要となります。そのため、事業報告書の提出は決算日から3ヶ月以内となりますので、平成31年6月末までに提出すればよいことになります。

一方、4月末日の決算日となっている医療法人の適用が最も早く、平成29年5月1日から平成30年4月30日の会計年度分より提出が必要となります。つまり、こちらの医療法人は、すでに報告しなければいけない会計年度が始まっているということです。

 

2. 関係事業者の範囲とは

医療法人にとっての関係事業者とはどのような人を指すのでしょうか?
法律で、下記のように定義されています。

①に関しては、院長先生、または院長先生の配偶者や子供との取引が該当します。医療法人が院長先生との間で不動産などを売買することがあります。院長先生の自宅を医療法人が保有していて、それを院長先生に売却する場合などです。医療法人と院長先生との利害が一致しない取引として、今までは特別代理人を選任して契約を締結していました。それがこれからは、

その取引について監事の監査を受け、理事会の承認を経て、社員総会の承認を受けることを前提に、売買が自由にできるようになったのです。

ただし、医療法人の監督官庁である都道府県への届出は必要となります。

次に②から⑤まではMS法人のことを指しています。典型的な事例は、②の医療法人の理事やその親族が、MS法人の代表取締役に就任しているケースです。それ以外にも、③や④もよるケースも見受けられます。

③はMS法人の株主が院長先生の配偶者や子供であるケースです。医療法人からMS法人に業務委託などの契約で手数料を支払うと、MS法人に現預金と利益が貯まっていきます。もし院長先生がMS法人の株主になってしまうと、将来の相続税が高くなります。そこで対策として、MS法人の株主を配偶者や子供にするのです。この場合には、MS法人の代表取締役が誰であろうと、関係事業者に該当するのです。支配権が院長先生の親族であれば、当然なのかもしれません。

次に④ですが、MS法人の代表取締役が第三者であっても、それ以外の取締役が医療法人の社員(株主のこと)の過半数を占めている場合です。ここでのポイントは、医療法人を支配している人たちが関係しているMS法人が関係事業者に含まれることを指しています。

医療法人の社員(株主のこと)は1人1議決権ですので、社員(株主のこと)の過半数の人数で支配していることになります。

ここで注意すべきことがあります。
それは今までの説明では、MS法人の代表取締役が院長先生であるケースを典型的として紹介していません。

実は、そもそもMS法人の代表取締役に院長先生が就任することはできないのです。それどころか、MS法人の従業員としても働くことができません。

このとき、医療法人の理事とMS法人の取締役を兼任することもできません。つまり

医療法人の理事に院長先生の配偶者が就任して、MS法人の代表取締役または取締役を兼務できないのです。

これらの取引を監督官庁である都道府県に報告したあと、MS法人の登記簿謄本を請求されて、配偶者が兼任していることが判明すれば指導の対象となります。そのため、MS法人との取引を継続するのであれば、医療法人の理事から配偶者をすぐに退任させることが必要です。

さらに医療法人とMS法人の関係だけではなく、個人の医院の院長先生もMS法人の代表取締役にも従業員にもなることができないのです。特に、個人の医院の場合には、所得税を節税するためにMS法人に手数料支払っているケースが多く見受けられます。
院長先生が結婚していれば配偶者が代表取締役になればよいですが、結婚していないと院長先生が就任している場合があるので、注意が必要です。ただし、個人の医院とMS法人との取引を都道府県に報告する義務はありません。

このように医療法人に関係事業者との取引を都道府県に報告する義務が新しく発生するとしても、すべての取引が対象になるのでしょうか?

これに関しては、次回のブログで解説していきます。

 

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