第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

住所
医療関連のコンサルティング
医院経営/病院経営コンサルティング > 医療法人制度の基礎知識と理事長がやるべきこと > 第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。
2016/11/10
第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

第7次医療法改正が平成27年9月28日に公布され、平成28年9月より施行されました。この改正では、医療法人の理事と監事の責任が明文化されました。今まで、あまり気にしていなかった医療法人の定款に焦点が当たっています。

 

(1)理事会の開催について

医療法人の院長先生が、理事長に就任している場合、下記の取引を行うためには、理事会の承認が必要となります。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

①は競業避止取引と呼ばれ、理事長である院長先生が行う取引と、医療法人の事業とが競業する場合のことです。通常、院長先生が他の医療法人の売上のために働くことはないので、MS法人の取締役である場合が該当します。つまり、医療法人でも、MS法人でもサプリメント、コンタクト、歯ブラシなどを売っていると競業となります。
また、勤務医の先生が理事になる場合で、他の医療法人で働いている場合には承認が必要となります。

次に、②と③ですが、こちらは利益相反取引となります。
例えば、理事長である院長先生が、医療法人が使っている土地と建物を所有していて、それを医療法人に売却する場合です。昔は、医療法人に特別代理人を選任して、院長先生と売買契約を締結したのですが、現在は理事会の承認を得て、報告すればよいことになります。特別代理人の選任の手続きは、条文から削除されました。

さらに、理事会の開催の頻度を定款で定義することになりました。

これからは、毎事業年度に4ヶ月を超える間隔で2回以上、理事会を開催することになるはずです。ただ、定款で開催の頻度を定義しておかないと、3ヶ月に1回以上、開催することが義務付けられてしまいます。

当然ですが、理事会を開催すれば、議事録を作成しなければいけません。
そこに、理事会で決議した事項と出席した理事や監事の押印が必要です。

 

(2)理事の責任について

院長先生が理事長となり、家族を理事に就任させている医療法人が多いはずです。実際に、私の顧問先の医療法人の6割以上が、理事会は家族で占められています。ただ、医療法人が支店を出していたり、将来の承継者として、子供ではなく、第三者の医師を理事にしている医療法人もあります。

今までは、医療法人や院長先生が訴訟されるときには、そのほとんどが医療事故や医療過誤によるものでした。ところが、

この第7次医療法の改正では、理事が第三者から、経営者としての責任を問われることが明文化されたのです。

あなたは、「経営者の責任とは、何?」と思ったかもしれません。

例えば、「銀行からお金を借りるために、決算書を粉飾していた」、「過剰な設備投資を無計画に行ったことで、医療法人が破たんした」、「医療法人が知的財産権を侵害している」、「都道府県から、重大な医療法違反が見受けられると指摘されて、処分された」、「医薬品のずさんな管理で患者から訴訟されて、医療法人に損害を発生させた」などで、結果的に医療法人が借金を返済できなくなれば、銀行から訴訟されることになります。
また、自由診療をチケットで販売していたり、先にお金を預けてもらっている場合、医療法人として存続できなくなり、そのお金を患者に返還できないと、訴訟されることになります。もちろん、医療法が改正される前からも、訴訟される可能性はありました。それが、ハッキリと明文化されたことで、訴訟されやすくなったのです。

先ほど、「(1)理事会の開催について」を説明しましたが、院長先生にこの話をすると、「医療法人と言っても、家族で経営しているから、理事会なんて開催しなくてもいいよ」と笑い飛ばされることもあります。

ただ、第三者から訴訟された場合には、定款に従った理事会がきちんと開催されて、理事会の議事録が作成されていたのか、経営者としての責任を問われるのです。
医療法や定款に従った自治がされていなかったとすれば、裁判ではかなり不利になります。医療法人の経営が上手く行っているうちは、笑っていられますが、経営が苦しくなったときに、過去に遡って、理事会を開催することはできません。

これから、家族を理事に入れることは、訴訟に巻き込まれてしまうリスクがあるので、医療法人で実際に働いている医師や従業員を就任させることも増えると、予想されます。

とすると、第三者であるがゆえに、その人物と仲たがいして、理事を辞めたあと、訴訟される事案も出てくるのではないかと私は思っています。

さらに、今回の医療法の改正は、理事だけではなく、監事の責任も明確にされました。通常、監事は家族や顧問税理士などの利害関係者は就任できないため、院長先生の友達に頼んでいることが多かったはずです。
監事の印鑑も院長先生が預かっていて、一度も顔を出したことがないという医療法人もあったでしょう。医師である必要もなく、決算書のチェックだけという業務なので、医療事故や医療過誤の訴訟に巻き込まれることが、なかったからです。

でも同じような仕事内容では、第三者に訴訟された場合、監事としての義務をまったく果たしていないと認められてしまいます。

基本的には、理事会に出席して意見を述べたり、決算書のチェックを行う必要があります。そのため、理事会に出席してもらえる人を、監事に選任するしかありません。

 

(3)責任限定の対策について

理事も監事も責任が重くなったことで、依頼しても、就任を断られる可能性があります。院長先生も、「訴訟のリスクが高くなるばかりで、嫌な話だな」と思ったはずです。

そこで、少しでもそのリスクを下げるために、理事会で理事と監事の責任限定をする決議をして、定款に記載しておきましょう。

モデル定款では、下記のように記載されています。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

最低責任限度額は、具体的には、下記のように定めます。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

では、数字を入れて検証してみましょう。

例えば、理事長の年間報酬額が、3000万円とします。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

それほど、責任は限定されませんが、設定しておくべきでしょう。
次に、監事の年間報酬が600万円とします。

第7次医療法の改正により、理事や監事の責任がハッキリしました。

こちらは設定しておくことで、院長先生の友人に、監事の仕事を依頼しやすくはなりそうです。

すでに第7次医療法は施行されていますので、すぐに定款を変更して、理事と監事の責任を限定すべきです。

 

facebook
twitter
google+