眼科の医療法人で、コンタクトレンズを思いっきり販売できますか?

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2012/06/18
眼科の医療法人で、コンタクトレンズを思いっきり販売できますか?

最近は、使い捨てコンタクトレンズが増えました。

コストは高くなりますが、洗浄の手間や眼の衛生を考えると、使い捨ての方がいいのかもしれません。

コンタクトレンズを販売している場所に、個人の眼科の先生に常駐してもらっているケースが多くありました。ところが現在は、眼科の医療法人がコンタクトレンズを販売しているケースも見受けられます。

医院経営や病院経営が多角化することは、リスク分散にもなり、医業収益も上がるので、よいことです。

でもこれって、医療法人として販売しても、問題はないのでしょうか?

まずコンタクトレンズは、高度管理医療機器と呼ばれます。

そのため、薬事法の規程により、事前に販売及び賃貸の許可を保健所からもらわなくてはいけません。

その要件は、下記になります。

(1)設備の要件について
  ア 採光、照明及び換気が適切であり、かつ清潔であること
  イ 常時居住する場所、及び不潔な場所から明確に区別されていること
  ウ 取扱品目を衛生的に、かつ安全に貯蔵するために必要な設備を有すること
(2) 人的な要件について
  ア 営業管理者(高度管理医療機器等営業管理者)が設置されて、下記の要件を満たすこと
   (ⅰ)薬事法施行規則第162条第1項第1号該当者
   (ⅱ)同規則第162条第1項第2号該当者として
     【1】 医師、歯科医師、薬剤師の資格を有する者
     【2】 医療機器の第一種製造販売業の総括製造販売責任者の要件を満たす者
     【3】 医療機器の製造業の責任技術者の要件を満たす者
     【4】 医療機器の修理業の責任技術者の要件を満たす者
  イ 指定視力補正用レンズのみを販売等する高度管理医療機器等販売業者について
   (ⅰ)同規則第162条第2項第1号該当者
   (ⅱ)前記「ア」の(ⅰ)及び(ⅱ)を準用

医師や歯科医師が営業管理者となることがでるので、医療法人であれば、「人的な要件」は問題なくクリアできるでしょう。

ということで、問題は「設備の要件」となります。

【1】医療法人が申請できるのか

そもそも医療法上、医療法人でコンタクトレンズを販売できるのか?という疑問があります。

医療法で、医療法人は付随業務であれば、やってもよいことになっています。

業務

内容

本来業務

医療提供行為(医院、病院、老健施設の運営)

附帯業務

医療提供行為に附帯する業務
(在宅介護支援センター、訪問看護ステーション等)
※知事の許可が必要

付随業務

本来業務・附帯業務に付随して行なう業務
(医療施設内の売店、患者用の駐車場運営等)
※収益業務の規模にならないもの

収益業務
(社団、特別医療法人のみ)

知事の許可、
及び定款等の記載のもとで行なう収益の業務
(医療介護療養用品の販売、一般駐車場経営等)
※収益は本来業務(医療提供行為)へ再投資される

このように分類されており、コンタクトレンズの販売は付随業務となるため、知事の許可が必要ありません。

ただし、上記の表にも書きましたが、「収益業務の規模にならないもの」とされています。

そのため、売店で販売するなど、あまり大きく行なわない場合には、問題ないでしょう。

もしコンタクトレンズの売上が大きくなるならば、医療法人で販売することは、お勧めできません。その場合には、MS法人を設立して、そこで販売すべきです。

【2】販売所について

販売所は、最初の「設備の要件」を満たす必要があります。

衛生的で、コンタクトレンズの在庫を貯蔵する場所も確保されていることが必要です。

このとき、【1】でも指摘したように、医療法人でコンタクトレンズの販売を行なう場合には、販売所として、売店を使えば、何の問題もないでしょう。

そして、許可は営業所ごとに申請するのですが、医療法人の所有している建物内でも、賃貸している物件内で構いません。

一方、コンタクトレンズの売上がかなり見込まれている場合には、MS法人で許可を申請することになります。

ここで、医療法人から一部の場所を借りて、または転貸してもらって、営業所にできるかが問題になります。

医療法人は、設立するときに保健所に各室の用途や面積を記載した平面図を提出します。

保健所は、医療法人の建物の構造設備基準として「他の施設と機能的、かつ物理的に明確に区画されていること」と定めています。

そのため、自宅に併設している場合などは、出入口のドアが別々に設置されていることが必要ですし、そのような図面でなければいけません。

とすれば、MS法人でコンタクトレンズを販売する場合、医療法人と入り口を共用していることが発覚すれば、保健所から指導を受けることになるでしょう。

医療法第23条では、医療法人は建物の構造設備についての基準を厚生労働省令で定めるとしています。

もし厚生労働省令に違反した場合には、医療法第24条の規定により「その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は期限を定めて、修繕若しくは改築を命ずることができる」となっています。

確かに、厚生労働省令(医療法施行規則第十六条)に、医療法人の施設は「診察などの専用のスペースだけに限られる」とは書かれていません。

ただ、収益事業としてのコンタクトレンズの営業所が、共有されていることは認められないと思います。

もちろんMS法人専用の入り口がないだけで、いきなり医院経営や病院経営を止める処分をすることはないかもしれませんが、忠告を無視し続ければ、そのような事態にもなりかねません。

保健所の指導には従うのです。

とすれば、MS法人でコンタクトレンズを販売するつもりがあるならば、最初から入り口も変えて、医療法人とMS法人の販売所を壁で区切っておきましょう。

私としては、医療法人としての付随事業ではなく、
MS法人でコンタクトレンズを販売すべきだと
考えます。

やはり、その方がコンタクトレンズの売上を上げる努力もしますし、利益を分散することで節税対策にもなるはずです。

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