源泉徴収制度って、知っていますか?忘れると、大きなペナルティがありますよ。

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2012/05/07
源泉徴収制度って、知っていますか?忘れると、大きなペナルティがありますよ。

あなたが、医院や病院で働いているときには、給与明細を見ると、源泉徴収と言って、所得税と住民税が、自動的に天引きされています。

それに社会保険料も一緒に引かれて、その残りを、受け取ることになります。

さらに、12月末日になると、扶養家族や加入している生命保険を申請することで、医院や病院が、勝手に年末調整をしてくれて、あなたは、確定申告を行なう必要がありません。

これは、医院や病院に特有なことではなく、どこの会社でも同じ手続きを行ないます。

なぜ、このようなことが行なわれているのでしょうか?

あなたも含めて、全員が確定申告をすると、
税務署が対応できないからです。

まぁ、もっともらしい理由ですが、実際に、この源泉徴収制度が導入されたのは、戦争中です。

つまり、戦費を早く受け取るために、確定申告まで待てず、先に税金を徴収したいと考えたのです。

それだけではありません。

ここが大事なので、必ず、覚えておいて欲しいのですが、本人に源泉徴収される義務を課しても、各人に確認することも大変ですし、税務署も対応できません。

そもそも、全員が確定申告すると、税務署が対応できないと言っているのです。

そこで、源泉徴収する義務は、給料を支払う側である、医院や病院側に課しているのです。

源泉徴収制度って、知っていますか?忘れると、大きなペナルティがありますよ。

 あなたが、医院経営や病院経営を始めたときに、税務署に、開業したことを申請します。

1年後、税務署から電話がかかってきて、
「源泉徴収はどうなっていますか?」
と聞かれて、初めて、この制度を知ったらどうなるでしょう?

看護師4人に、1人平均500万円の給料を支払ったとして、年間2000万円です。

この源泉徴収税額は、扶養家族の人数にも寄りますが、4人で合計80万円前後になります。

あなたは税務署に、「看護師に確定申告させますね」と言えばよいわけではありません。

この4人から80万円を徴収して、あなたの医院や病院として、税務署に支払わなくてはいけないのです。

しかも、1日でも遅れると、10%(不納付加算税)が自動的にかかります。
つまり、88万円を支払う義務が発生するのです。

さらに、延滞税として、年間14.6%の利息もつくので、もっと大きな金額になります。

この看護師のうち、すでに辞めている人がいて、源泉徴収を取り戻すことができなかったとしても、そんなこと税務署は関係ありません。
支払う義務があるのは、医院や病院側なのです。

そのとき、源泉徴収制度なんて、知らなかったと言っても無駄です。

戦時中から何十年間も続いている制度であり、知らないはずはないからです。

ここでは、あなたが、医院経営や病院経営を行う上で、気をつけるべき源泉徴収の事務を紹介しておきます。

【1】社会保険診療報酬

これは、あなたが、受け取る側になります。

医院経営や病院経営を行っていると、すべて自費診療で行なわない限り、必ず、社会保険診療報酬が医業収益として計上されます。

このとき、あなたが、個人開業の医院とすると、その月に支払われる金額から、20万円を差し引いた残額に10%を掛け合わせた額が、源泉徴収されることになります。

例えば、1ヶ月の社会保険の診療報酬が500万円とすれば、

(500万円 - 20万円) × 10% = 48万円

年間にすれば、576万円にもなります。

これを、あなたが個人医院の確定申告をしたときに、この源泉徴収の分を差し引いて、所得税を支払うことになります。
これよりも、支払うべき所得税が少ないときには、還付されます。

一方、医療法人の場合には、社会保険診療報酬に対して、源泉徴収されません。
これだけで、個人医院から、医療法人になった方が得というわけではありません。
ただ、個人医院は源泉徴収されて、医療法人はされないと覚えておいてください。

【2】自分が支払う場合

あなたが、個人医院であろうと、医療法人であろうと、支払う場合には注意が必要です。

というのも、医院経営や病院経営で源泉徴収が必要となるのは、給与だけではないからです。

特に、医療法人の場合には、支払が多いので、間違えないでください。

(1)看護師やアルバイトの社員

看護師やアルバイトの社員に支払う給料は当然、源泉徴収を行ないます。
原則は、全員に、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらいます。

ところが中には、2箇所以上でアルバイトを行なっている看護師もいるかもしれません。それが、医院や病院ではなく、親族の会社であっても同じです。

そのときには、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した人と、そうでない人は、源泉徴収の額が変わってくるので、注意してください。

この「給与所得者の扶養控除等申告書」は、同時に2箇所の提出はできません。

1箇所だけしか出せないことも、本人に伝えてください。

「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されない人への源泉徴収額は高くなります。

さらに注意すべきことは、給料という名目でない場合にも、給料とみなされて、源泉徴収が必要となることです。

例えば、給与に加算して通勤手当を支払うと思いますが、これは、あくまで実費支給として、源泉徴収は必要ありません。(一定の額を超えると必要となります)

ところが、宿日直の手当を出している場合には、給与とみなされるので、源泉徴収しなければいけません。

また、通常は、看護師に無償で、制服を貸与していると思います。この制服に相当する金額は給与ではないため、源泉徴収が必要ありません。

ところが、看護師に無償で寮を提供している場合には、その家賃相当額を給料として源泉徴収しなければいけません。

(2)社会保険労務士や司法書士

医院経営や病院経営を行っている場合には、給与計算を社会保険労務士に業務を委託していることが多いと思います。
また、個人医院から医療法人に変わるときには、司法書士、または行政書士に依頼すると思います。
これらの専門家に支払う報酬は、源泉徴収が必要となります。

なお、司法書士法人など、最近は、法人になっていることもあります。
その場合には、源泉徴収は必要ありません。

(3)非常勤の医師、放射線技師、栄養士

医院経営や病院経営で、一番の問題となるのは、非常勤の医師、放射線技師、栄養士などの専門家への報酬に対する源泉徴収です。

そもそも、非常勤の専門家とは、手取りで金額を決定することも多いという理由もあります。

例えば、1日5万円と決めていたのに、支払うときに源泉されてしまうと、非常勤の医師が損をした気分になります。

ただ、ここは税務調査でも、かなりもめるところなので、非常勤の医師への支払いからも源泉徴収してください。

もし、どうしても5万円欲しいと言うならば、源泉徴収したあと、5万円になるように給料を設定すればよいのです。とにかく、あとで税務署から指摘されると、かなり大きなペナルティがあるので、損になります。

また、医院経営や病院経営を行っていると、非常勤の医師などに、ちょっとしたお金を渡すことがあります。
例えば、医師のタクシー代です。

別に、タクシーで来る必要はありません。そのため、このタクシー代も給与とみなして、源泉徴収する必要があります。
また、看護師と同じように、宿日直の手当も給与として、源泉徴収してください。

どんな理由があっても、あなたの医院や病院が源泉徴収の義務があるのです。

支払った先が確定申告していなくても、相手から来た請求書に源泉徴収の欄がなくても、あなたの医院経営や病院経営とは、何の関係ありません。

源泉徴収が必要な支払いの場合には、必ず、行なってください。

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