「医療法人の設立認可が取り消された」という報道を見たが、どんな場合に起こるのか?

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2012/07/19
「医療法人の設立認可が取り消された」という報道を見たが、どんな場合に起こるのか?

医療法人の設立認可の取り消しは、最悪の場合、新聞に載ったり、地元のTVで報道されてしまいます。

もちろん、医療法人の設立認可の取り消しの処分に不服を持つ院長もいて、あとで再審査の請求をしたり、マスコミに出てまで戦うという意見も聞きます。

でも、あなたが医療法人の院長であれば、処分されないために何をすべきか考えましょう。

あとで、その処分が取り消されたとしても、戦った時間とコストは返ってきません。

まず、医療法人の設立認可が取り消されるのは、どのような場合なのでしょうか?

【1】 1年以上すべての医療施設を休止した場合

これは、医療法人を設立したあと1年以上、医療施設を開設しなかった場合も含まれます。

行政として、休眠している医療法人は積極的に認可を取り消して、稼働していない病床は削減していくという意思をハッキリと打ち出しているのです。

ただし、注意して欲しいことは、1年以上休眠していたら、いきなり取り消されるわけではありません。

院長が弁明する機会も与えられています。

例えば、「地震などの天災のため」などの事態があれば、正当な理由と認められて、取り消しの処分はされません。

この場合には悪質ではないため、新聞やTVで報道されることはないでしょう。

【2】 医療法人が違反をした場合

最近、診療報酬や介護報酬の不正受給をしてしまう医療法人があり、金額が大きいと全国区のTVで報道されてしまい、院長が逮捕されることもあります。このような不正行為には罰則が厳しくなる傾向があります。

ただ、実際には多くの医療法人が、こんなことは行いません。

財務状況が悪化したことで、処分されてしまうことが多いのです。

例えば、資金繰りが悪化しているため、施設管理者が不在であったり、自己資本比率を改善するように注意してもできなかったり、医療法人の建物や土地が競売になったり、入院患者に対する食事が十分でないなどです。

医療法人の運営が体をなしていない場合ということです。

そもそも、行政はなぜ、医療法人の財務体質が悪化していることが分かるのでしょうか?

実は、医療法人の業務、会計が法令、定款又は寄附行為に違反している疑いがある場合には、所轄の行政機関である都道府県が、立入検査をすることができるのです。

立入検査もいきなりではなく、最低一度は医療法人に報告を求めて、その回答をもらってから判断します。
(法律では報告を求めなくても、いきなり立入検査することもできますが、実務的には、一度連絡が来るはずです)

そして、医療法人が違反している事実があれば、改善の命令が出されます。

この命令に従わないと、期間を定めて業務の全部、又は一部の停止、若しくは役員の解任を勧告することになります。

そして、最悪、設立認可の取り消しとなります。

下記が、立入検査が行われる場合の流れです。 

医療法人を設立して、診療所開設許可申請のときにも、立入検査が行われることがあります。

設立したあと1年程度で行われる定例検査もありますし、X線装置を設置したときも、医療法人が届出書を出すと、立入検査の対象となります。

ただ、疑義がある場合の立入検査は、このような担当官がニコニコしている形式的なものではありません。

検査する人数も多く、期間も長くなります。

もし何かしらの処分が出ると、医療法人の運営にも支障をきたします。

そのため、立入検査されないように、事前に真摯に対応し、担当官の心象を悪くしないようにしてください。

私の今までの経験からは、
できるだけ早く対応することが、最も大切なことです

  • 【1】 担当官から電話がかかってきても、医療法人からは連絡しない
  • 【2】 報告書の提出を求められているのに、1週間しても、誰も作成している気配すらない
  • 【3】 院長の担当官に対する話し方が横柄だったり、怒鳴ったりする
  • 【4】 担当官がかなり怒っているのに、院長以外の人が対応して、院長に伝わっていない
  • 【5】 院長が、自分たちは何も悪くないはずだという、根拠のない自信を持っている

とにかく、担当官をないがしろにするような行為は止めてください。

黙って無視していれば、相手は諦めるだろうという感覚は間違っています。

行政が調査を諦めたり、手心を加えることはありません。

それに、医療法人も院長も100%完璧ということはないのです。

人間がやることですから、提出した決算や報告書が間違っていることもあります。

担当官は、それを見て判断するのです。

なぜ、担当官が立入検査しようとしているのか、そして、実際に立入検査になってしまったのかをよく考えてください。

医療法人や院長に、まったくの非がないことはあり得ないのです。

それを反省する態度、そして改善する方針を、素早く打ち出せば、最悪の事態は絶対に回避できるのです。

医療法人が、最初の対応をちょっとだけ間違ったことで、あとで、すごく後悔している院長がいることは覚えておいてください。

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