あなたの医療法人の決算日は、なぜ、その日にしたのか、ちゃんとした理由がありますか?

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2013/07/20
あなたの医療法人の決算日は、なぜ、その日にしたのか、ちゃんとした理由がありますか?

あなたの医療法人の決算日は、なぜ、その日にしたのか、ちゃんとした理由がありますか? 前回の記事の続きです。
医療法人を設立するときに、事前に知っておくべきことです。

2.現物出資しても、得にならない

医院を開業する時に、いきなり医療法人で始める人は多くありません。
地域によっては、医療法人として開業することもできるようですが、普通は、最低でも2年は医院を黒字で経営してからでないとダメと言われてしまいます。

そのため、医院経営や病院経営を個人で行い、そのあとで医療法人を設立して、事業を引き継がせるというのが、通常の手続きとなります。

医療法人を設立するときには、「2ヶ月分の運転資金を基金として出資する」というケースが多く、大きな医院は別ですが、平均で1000万円から2000万円程度の出資金になります。
このお金が院長先生の手元にあれば、出資すればよいのです。ただ、新しい医療機器を買い換えていたり、医院の不動産を買っていて、手元にお金がないこともあるでしょう。

そもそも、医療法人を設立するときに、ビルの賃貸で行うとすると、医院経営や病院経営を永続的に行うために、賃貸契約を10年以上とすべきという目安があります。
大家さんからすれば、医院や病院は倒産することも少なく、周りの住民のためになるサービスであり、ビルの顔としても悪くありません。

ただ、医療廃棄物が出ますし、患者さんの違法駐車、救急をやっていれば騒音など、周りの住民からクレームを受けることもあるのです。
それに10年後の経済が、どうなっているかは分かりません。ビルによっては建て替えを考えていることもあります。

医院経営や病院経営を応援してくれている大家さんもいるので、全部ではないですが、10年の賃貸契約は、意外と難しいのです。

そこで、いっそのこと医療法人を設立するときに、不動産を買ってしまう院長先生も多くいます。
個人の医院として2年以上も黒字を出していて、しかも、これから医療法人を設立するならば、銀行がお金を貸してくれるでしょう。

手続きは、個人で医院の建物や土地を買い、そこで診療を続けながら、医療法人を作り事業を承継させるというのが、一番スムーズです。
このとき、個人で医院経営や病院経営を行っていて、かつ自由診療報酬が1000万円を超えていると、消費税を納めているはずです。

医療法人にするのは、法人税の節税のためという院長先生も多いでしょう。

だから医業収益も大きく、消費税の課税事業者、つまり社会保険診療以外の医業収益が1000万円を超えていると予想されます。
このとき、建物を医療法人に売却すると、その個人で建物の消費税を納める必要が出てきてしまいます。

これは、売却だけではなく、現物出資をした場合も同じです。
現物出資とは、1000万円から2000万円の基金に相当するお金がないため、不動産や医療機器、クルマなどの現物を代わりに出資することを指します。
医療法上は、現物出資で医療法人を設立しても、何も問題ありません。

一方、消費税は建物だけではなく、医療機器などに関しても、現物出資すると消費税が発生して、納める必要が出てきます。

そこで、少し工夫します。

消費税とは、2年前の自由診療の売上が1000万円を超えていなければ、今期は納める必要がなくなります。

つまり、あなたが個人の医院経営で、消費税を納めていたならば、医療法人を設立したときに医院の建物を売却するのではなく、あなたと医療法人が賃貸契約を行えばよいのです。
それで、2年後に売却するか、もしくは現物出資すれば、消費税を納める必要はなくなります。

ただ、1000万円の基金が手元にないという問題は解決できません。
無駄な消費税を支払うことを考えると、親戚などからお金を借りてもよいと思います。

医療機器やクルマも同じことが当てはまります。
患者さんの送迎にクルマを使う医院や病院も増えてきました。
医療機器も小さなCTスキャンが増えたので、個人の医院経営で導入されている事例を、よく見かけるようになりました。

これらも、医療法人に売却したり、現物出資するのではなく、院長先生が所有して、医療法人に貸し付けるという方法で、納める消費税を少なくできます。

貸し付けたことで受け取った賃料は、医療法人からの給料と合算して、院長先生が確定申告することになります。

医療法人を作ったときに、個人の医院経営で、すでに医療機器やクルマを何年間使っているかにもよりますが、2年したら医療法人に売却するか、除却して捨ててしまうか、決めればよいのです。

さらに、医院経営や病院経営では、医薬品を使います。
この医薬品は、所得税の問題になります。
個人で医院経営を行って、年末に使い残した医薬品があると、確定申告書に棚卸資産として計上します。

実際には、毎月末に医薬品が残っているのですが、それほど金額が大きく変動することはないはずです。

ところが、医療法人を作った時に、この医薬品を売却するか、現物出資すると、院長先生の個人の雑収入になるのです。
医薬品の金額は小さいため、大したことはないと思うかもしれませんが、雑収入は医院経営や病院経営の収入と合算されてしまうため、所得税の税率によっては、かなり高い税金がかかります。

雑収入なので、概算経費の算定からも外れてしまい、事業税もかかることになります。
これでは少額であったとしても、バカになりません。

そこで、医薬品は薬品会社に一度、引き取ってもらって、医療法人を設立したら、再度仕入れるという手順を踏んでください。
そうすれば、所得税も事業税もかかりません。

3.決算日を決める

最後に、医療法人を設立するときに知っておくべきことは、決算日です。
個人で医院経営や病院経営を行っているときには、税法で勝手に、1月1日から12月31日で決算を行うように決められてしまいます。

一方、医療法人では、決算日をいつに決めても良いことになっています。

ただ日本では、1年を超えて決算を行うことはできません。
必ず1年以内に1回は決算を行って、利益があれば、それに対する法人税を支払うことが義務づけられています。

余談ですが、海外の国では、14ヶ月決算、16ヶ月決算、18ヶ月決算などもあり、1年と決まっているわけではありません。

それで、決算日がくれば利益に対する法人税を支払わなくてはいけなくなるし、会計事務所の手数料もバカにならない・・・医療法人を設立したときから計算して、できるだけ決算日までの期間が長い方がよいと考えてしまうのです。

つまり、医療法人の設立日から1年後を決算日として、定款を作成して申請します。
ところが、この設定では、かなりの確率で損をすることになります。

決算日は、あなたの医院や病院が、1年のうちで、儲かる時期が始まる少し前に設定しなくてはいけません。

1年のうちで、一番売上が上がってきて、じゃ利益を計算してみないと・・・・と考えていたら、突然、決算日が来る・・・・これでは節税対策が打てません。

それだけではなく、あとで計算してみないと、利益も法人税も分からず、資金繰りの目途が立たないというのでは、医院経営や病院経営として不安定すぎます。
そのため、普通は、儲かりそうになる直前の月末を決算日とします。

もちろん、院長先生が医院経営や病院経営とは関係なく、個人の趣味で忙しい時期があるという場合もあるので、そこは外してもよいと思います。

決算日は、すぐに変更が可能なので、今から変えても良いのですが、過去に損をしたお金を取り戻すことはできません。
医療法人を設立する前に知っておけば、損をしないのです。

たとえば、
内科であれば、11月ぐらいからインフルエンザの予防接種で儲かり始めるので、10月末
耳鼻咽喉科であれば、花粉対策などで2月ぐらいから儲かり始めるので、1月末
皮膚科であれば、5月ぐらいから儲かり始めるので、4月末など、

自分の診療科目に合わせて、決算日を設定してください。
決算の最初の方で儲かれば、節税対策もゆっくり作れますし、今年の資金繰りの予測もつきます。

医院経営や病院経営は、それほどリスクが高い事業ではありません。
というよりも、リスクを高くしてはいけない事業だと思っています。

ただ、みんながやっている当たり前のことを知らないと、資金繰りにつまり、事業のリスクが高くなってしまいます。

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