医療法人は、MS法人に比べて、法人税がかなり安いって、知っていますか?

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2015/08/10
医療法人は、MS法人に比べて、法人税がかなり安いって、知っていますか?

医療法人は、MS法人に比べて、法人税がかなり安いって、知っていますか?

個人で医院経営や病院経営を行っている院長先生に、医療法人を設立することを提案すると、
「私に後継者はいないので、持分の定めのない医療法人を設立しても意味がないよ」
という答えが返ってくることがあります。

確かに、持分の定めのない医療法人を設立して、最後に清算することになれば、残った財産が国などに帰属することになります。
しかし、実際には、医療法人を清算することは、ほとんどなく、後継者がいなくても、第三者に売却することが多いはずです。

もし、万が一に清算することになっても、その前に、医院の建物や土地があれば、それを売却し、内装や医療機器は廃棄し、さらに、院長先生やその親族への退職金を支払うと、ほとんど残らないはずです。

退職金をそんなに支払えるのかという疑問を持つ人もいますが、退職金規定で定められている範囲内であれば、何の問題もありません。
それなら、「MS法人を設立して、個人の医院や病院の利益を移転させておき、最後に退職金を支払っても、同じことになるのでは?」と質問をしてくる院長先生もいます。
実は、同じではないのです。

1.退職金を支払える人

平成24年に、「医療法人の役員と営利法人の役職員の兼務について」という通知がなされました。
ここでは、医療法人の理事だけではなく、個人の医院や病院の院長先生も、MS法人の役職員になれないと規定されました。

すでにMS法人の役職員になっていて、すぐに辞めれない場合、そもそも取引金額が小さい場合には、例外を認めるとなっていますが、その基準はあいまいです。
原則、MS法人の役職員に、個人の医院や病院の院長先生は、就任できないと考えるべきです。

とすれば、MS法人の役職員には、妻や子供が就任するしかなく、院長先生には退職金を支払えないことになります。
すでに、妻や子供が医療法人の理事に就任している場合には、辞めることになります。

 

あなたは、
「そこまでして、MS法人を作る必要があるのか?」
と疑問に思うかもしれません。

ただ、個人事業主である院長先生は、自分自身に退職金を支払えないのは当然ですが、生計一(財布が一緒)の妻や子供にも退職金を支払うことができないのです。

ところが、MS法人の役員である妻や子供は、退職金規定を作っておきさえすれば、院長先生と生計一であったとしても、退職金をもらうことができます。

なぜ、これほどまでに退職金を支払いたいかと言えば、下記の計算式をもとに、給料などとは分けて、所得税を計算することができるからです。

(退職金 - 退職所得控除)×1/2 = 退職所得

【退職所得控除】
20年まで:勤続年数 × 40万円
20年超:800万円 + (勤続年数-20年)×70万円

 

例えば、個人の医院や病院で、院長先生の所得(利益)が5000万円になっていれば、所得税は、約2270万円となります。
実効税率は、2270万円÷5000万円=45%にもなります。

これは、院長先生が、個人で医院経営や病院経営だけを行っていた場合で、不動産に投資していたり、生命保険で期間が満期になった年金を受け取っていれば、それも合算されてしまい、もっと実効税率は高くなってしまいます。

一方、院長先生が医療法人で30年、働いて、2億円の退職金をもらったとすると、所得税は、約4600万円ですむのです。
実効税率は、4600万円÷2億円=23%になります。

先ほどの5000万円を4年間もらい続ければ、2億円になりますが、その所得税の合計は、9080万円にもなってしまいます。
このように、退職金を使うと、かなり節税になるのです。

ということで、MS法人を設立して、妻や子供が役員となり、退職金をもらうとメリットがあることが分かったと思います。
それでも、院長先生が、個人で医院経営や病院経営を行っていて、そこからMS法人に利益を移転させるのは、限界がありますし、もっとも所得が高いのは、院長先生になるはずです。

だからこそ、医療法人を設立して、院長先生が理事になり、退職金をもらうことが、一番、節税できるのです。

妻や子供も、医療法人の理事になれば、MS法人の役員になる必要もありません。

 

2.医療法人の税率は低い

医療法人は、法人税の税率も安くなります。
これは、個人の医院や病院に対してかかる所得税の税率と比べているだけではありません。

MS法人の法人税と比べても、安くなるのです。
MS法人と言っても、通常は、株式会社で設立するので、売上には、法人税、地方税、消費税と、すべての税金がかかります。

ところが、医療法人の保険診療収入には、事業税がかからないことになっているのです。
現在は、MS法人の法人税の実効税率は、約35%ですが、医療法人の実効税率は、約30%になっています。
それが、すでに税制改正により、平成28年までに、下記のようになると決まっています。

 

MS法人

医療法人

法人税

23.9%

23.9%

地方法人税

1.051%

1.051%

事業税

4.8%

住民税

3.083%

3.083%

合計

32.834%

28.034%

実効税率

31.33%

28.034%

このように、医療法人の実効税率は28%と、30%を切ってくるのです。
所得税では、所得が700万円を超えると、30%の税率になってしまうので、それと比べても、かなり安いことが分かります。

さらに、医療法人は、医業収益の中の保険診療収入には、消費税がかかりません。
これは個人の医院や病院も同じですが、MS法人の売上には、消費税がかかってしまうのです。

とすれば、医療法人で消費税がかからない医業収益から、安い法人税率でお金を貯める、もしくは生命保険などで一部は外部に貯めておき、院長先生が辞めるときに、解約して退職金に当てるという方法が、一番、得になります。

 

ただ、注意点もあります。

1つ目は、医療法人の自由診療収入には、事業税がかかるということです。
自由診療を中心に医院経営や病院経営を行っている場合には、実効税率がここまでは安くなりません。

2つ目は、ほとんど、医業収益が保険診療だけの医療法人であっても、そこからMS法人に利益を移転させると、事業税がかかってしまうということです。
そのため、MS法人に利益を移転させるならば、そこで生命保険に加入したり、不動産に投資したり、金融商品を買うなど、節税することを前提にしないと、納める税金が増えてしまうこともあり得ます。

 

結局、院長先生が、医業収益として稼いだお金を、自分の手元、もしくは妻や子供の手元に、できるだけ多く残すためには、医療法人を設立するのがよいのです。

 

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