医療法人は交際費が800万円までしか認められないって、本当?

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2013/11/10
医療法人は交際費が800万円までしか認められないって、本当?

院長先生が顧問の弁護士の先生などと飲みに行って、食事代をおごると交際費という経費になります。この交際費は、個人医院であれば、青天井で認められます。

院長先生が、毎週、医療機器メーカーの営業マンと飲みに行き、食事代をおごったとします。
医療機器メーカーの営業マンにも使える予算はありますが、青天井ではありません。

院長先生のお付き合いで、ホテルのレストランで食事を頻繁にしていたら、いくらなんでも全額を会社に認めてもらうのは、難しいでしょう。

ところが、個人医院であれば、この交際費が毎月100万円、1年間で1200万円を使ったとしても、全額が経費として認められます。

あなたは、
「いやいや、医療機器メーカーだって、会社の規則として経費にならないだけであって、領収書が認められれば、経費になるだろ?」
と言うかもしれません。

ところが、医療機器メーカーでは大企業なので、交際費が1円も経費にならないのです。

つまり、5万円の食事代の領収書が会っても、2万円の法人税を支払うことになります。
食事に行けばいくほど、法人税がかかるという仕組みになっています。
だから大企業は交際費の金額をかなり厳しく制限しているのです。

なぜか、それはこれから説明します。

ただ、医院や病院であっても、院長先生が家族で食事に行った領収書は交際費にはなりません。子供を連れて行って、全員で3000円程度の食事であっても、医院経営や病院経営にまったく関係ない生活費なので、経費になりません。

もちろん、医院経営や病院経営に関連している人たちと食事に行ったり、飲みに行くならば、経営に関連しているので、どんな場所でも、どんな高額でも交際費になります。

たとえば、海外の医院経営や病院経営を研究しに行ったとして、海外での食事などもすべて交際費として認められます。
実際に、10年前は上海に支店を出す医院や病院がたくさんありました。

最近では、私の顧問の医院や病院は、タイやマレーシア、インドネシアなど東南アジアに進出しています。現地に住んでいる日本人向けに医療サービスを提供して、成功している医院や病院も増えてきました。

私もサポートして、東南アジアに一緒に行きますが、渡航費は旅費交通費として、現地での食事も交際費として経費になっています。

あなたは、
「実際に使っているんだから、経費になるのは当たり前じゃないのか?」
と思うかもしれません。

ところが、医療法人になると、交際費は800万円までと制限されてしまうのです。

先ほどの医療機器メーカーは1円も経費になりませんが、医療法人は800万円までです。

医療法人の1年間の利益

医業収益

1億円

交際費

2,000万円

院長の報酬

2,000万円

給料及び賃料

3,000万円

それ以外の経費

1,000万円

利益

2,000万円

上記で、医療法人の利益を計算していますが、法人税率が40%として、

2000万円 × 40% = 800万円

の法人税とは・・・・なりません。

{2000万円+(2000万円-800万円)}×40%
=1280万円

となるのです。
法人税が480万円も増えています。

医療法人では、800万円を超える交際費には、法人税がかかるのです。
ただ、ここで知ってほしいことは、飲みに行ったものがすべて交際費になるわけではありません。

【1】   1人5,000円以下

1人、5,000円以下の飲食代は交際費ではなく、会議費になります。
このとき、飲食の領収書には、下記の項目を記載しておく必要があります。

  • (1) 飲食等の年月日
  • (2) 飲食等に参加した人の名前・会社名・関係性
  • (3) 飲食等に参加した者の人数
  • (4) 飲食にかかった金額、お店の名前、所在地

「(4)は領収書に書いてあるでしょ」と言うかもしれませんが、逆に、領収書がなくても、上記のことがハッキリしていれば、交際費になるのです。

海外出張から帰ってきた院長先生から、「海外では領収書がもらえないことが多いけど・・・経費にはならないよね?」と聞かれることがありますが、上記の項目が分かれば、問題なく経費になるのです。

【2】本当の会議

上記の1人5,000円以下というのは、交際費であっても、金額が小さければ、会議費にしてくれるという制度です。
そのため、そもそも会議費であれば、1人当りの金額の上限はありません。

例えば、ホテルで大学の教授と医療に関する話をして、そのときの食事が1人10,000だったします。それでも、会議を行っていたのであれば、それは会議費なのです。

「それならば、うちの医院が飲み代だけで、1年間に800万円なんて超えるはずがない」
と思うかもしれません。

ところが、医院や病院の看護師やスタッフとの食事であっても、全員が参加すれば福利厚生費になりますが、一部の看護師やスタッフだけ、もしくは忘年会などの2次会は交際費になってしまうのです。そのため、看護師やスタッフが10人以上在籍している医院や病院ですと、800万円を超えてしまうことがあります。

ただ看護師やスタッフが嫌がっていなければ、みんなで楽しく食事をして、それが明日への活力になるならば、私はよいことだと思います。

飲みすぎはよくないですが、院長先生と看護師やスタッフが仲良くなり、コミュニケーションを上手にとることは、患者さんへの対応にもプラスに働きます。

大学病院は上下関係があって当然ですが、医院や病院では変な上下関係があることは、デメリットでしかありません。
もともと、医院経営や病院経営とは、人間が人間を診るという行為の上で成り立っているので、人間関係が希薄よりも、濃い方が上手くいくのです。

なお最後に、持ち分の定めのない医療法人の院長先生は気を付けて欲しいことがあります。
そもそも、この交際費が800万円まで経費で認められるというのは、資本金が1億円以下の医療法人に限られています。

つまり資本金が1億円を超えていると、交際費は1円も経費として認められないことになります。

1人5,000円以下、本当の会議費は別ですが、交際費となったものは、全額、経費にならないのです。

だから、最初に医療機器メーカーでは、交際費が1円も経費にならないと言ったのです。
医療機器メーカーであれば、資本金は1億円を超えているはずだからです。

この株式会社の資本金とは、医療法人では出資金と呼んでいますが、これが1億円を超えると、同じように交際費は1円も経費になりません。

ただ出資金が1億円を超える医療法人はほとんどありません。

ところが、持ち分の定めのない医療法人は、出資金という概念がありません。
そのため、純資産の部の60%で判定します。

基金が1000万円しかなくても、ずっと儲かり続けて、剰余金が増えていくと、純資産の部が1億6700万円を超えてしまうと、その60%が1億円を超えてしまいます。

医療法人は交際費が800万円までしか認められないって、本当?

そのため、昨年度までは、800万円までの交際費が経費になったが、今年度からは1円も経費として認められないということも起こるのです。
医療法人は、配当ができないため、この剰余金等を減らしていくことができません。

持分の定めのない医療法人は、「剰余金等」の金額に気を付けてください。

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