一人医療法人と他の医療法人の違い、個人医院と医療法人の違い、知っていますか?

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2012/01/10
一人医療法人と他の医療法人の違い、個人医院と医療法人の違い、知っていますか?

昭和25年に医療法が改正されたときに、医療法人を設立するときには、「病院又は医師若しくは歯科医師が常時3人以上勤務する診療所であること」が要件でした。それから35年経ち、昭和60年12月に医療法人制度が改正されて、「病院又は医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所であること」となったのです。つまり、常勤の医師又は歯科医師が1人、または2人勤務している診療所であっても、医療法人を設立できることになりました。

この常勤の医師又は歯科医師が1人、又は2人の医療法人を、「一人医療法人」と呼んでいるのです。この法律の施行日は昭和61年10月1日です。そのときから、かなり一人医療法人は増えてきました。なお、医療法では「医師、又は歯科医師が常時勤務する」という定義になっています。この「常時」とは、「常勤」という意味であり、医療法人として設立申請を行った診療所の診療時間中に常に勤務すると考えてください。これに、例外規定はありません。

そもそも、一人医療法人制度が作られた趣旨は、個人医院とは違って、個人の家計の財布と法人の財布を分別して、健全な医院経営や病院経営を実現することでした。確かに、医療法人にすることで、貸借対照表も作成するようになり、自分の決算状況をより正確に把握できます。それが、自分の医院経営や病院経営の資金繰りを把握しやすくなるだけではなく、対外的に、銀行やリース会社に対しても信用が増すことになります。それによって、分院を出すときの借入金ができたり、高額な医療機器のリースを組むことができるのです。

平成23年3月31日現在で、全国39,102件もあり、全体の医療法人の83.2%にも相当します。特に昭和63年に一人医療法人の設立認可手続きが簡素化されたことから、かなり多くの一人医療法人が設立されました。ただ、平成19年4月1日の第5次医療法改正により、財産権を持つ医療法人の新規設立ができなくなりました。この影響で、一時期は減っていましたが、最近ではまた増えてきた傾向があります。

このように普通の医療法人(常勤の医師、又は歯科医師が3人以上)と一人医療法人とでは、常勤の人数が違うだけで、それ以外の法律の要件、会計税務の処理、看護師やスタッフの地位や契約などは、普通の医療法人とまったく同じになります。

では、個人医院と医療法人は、
何が違うのでしょうか?

個人で医院経営を行ってきた事業を、個人が出資者となって、医療法人として設立することができます。最近では、開業当初からいきなり医療法人として始める医師も増えました。 それでも、個人で医院経営を行ってきた医師が、医療法人を設立するケースの方が多いはずです。 まずは、個人医院と医療法人の違いを一覧にしてみましょう。

開業する法律の主体 個人医院 医療法人
開設する時 届出でよい 認可が必要
行ってよい業務の範囲 診療所・病院 診療所・病院
介護老人保健施設、
看護師学校
医学研究所
精神障害者社会復帰施設等
商業登記 不要 必要
社会保険への加入 5人以上で強制 強制
決算日 12月31日 1年以内で自由に決定
決算書の届出 不要 必要
役員報酬 残った利益が報酬 自由に決定(但し、1年固定)
配偶者への報酬 税務署に事前届出 自由に決定(但し、1年固定)
立入検査 原則はなし 定期的にある
診療所数 1ヶ所 分院開設可能

医療法人は、あくまで、あなたとは別人格になります。
そのため、医院経営や病院経営で契約したものは、すべて医療法人に帰属します。 社会保険診療報酬も医療法人の通帳に振り込まれますし、そこから、あなたの給料や経費を支払えばよいことになります。 

そして、この2つの最大の違いは、永続性です。
個人で医院経営している場合には、理事長が死亡すると、廃止に追い込まれることが多くなります。もちろん、その前に、子供にうまく医院経営を引き継がせていればよいのですが、できていない場合には、理事長個人の預金通帳は凍結されてしまいます。それは、医院経営で使っている預金通帳も例外ではありません。 他の医師や看護師の給料や賃料などを支払うことが難しくなります。  

相続そして、相続人全員の合意のもと、遺産分割協議書が作成されたのちに、預金通帳のお金を引き出せることになるのです。 さらには、医療機器や開業している場所の保証金など、換金性のあるものはすべて、遺産分割協議の対象になってしまいます。    

一方、医療法人の場合には、銀行からの融資の返済が滞り、破産して清算しない限り、ずっと存続し続けるのです。 理事長が亡くなっても、医療法人の預金通帳が凍結されることはありません。つまり、医療法人であれば、看護師やスタッフ、取引先との契約書をそのままにして、事業を継続することができるのです。さらに医療法人の出資金のうち、理事長の持分が相続の対象にはなりますが、持分の定めのない医療法人であれば、相続税の対象にもなりません。(基金拠出型の医療法人の場合には、最初に出資した金額に、相続税がかかります)

相続人に医師がいなければ、医療法人で働いている医師などに医療法人を継いでもらうという選択肢になります。その結果、理事長に死亡退職金が支払われることになるでしょう。 この死亡退職金には相続税がかかりますが、持分のない医療法人であっても、お金に換金されることで、相続人は納得するでしょう。

このように、医療法人にすることで、病院経営を安定させることは、働く医師や看護師に安心感も与えますし、採用もしやすくなります。 もし、あなたが個人で医院経営を行っているのであれば、これから、医療法人に成ること考えてみてはいかがでしょうか。

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