医療法人の監事の仕事と、その責任を知っていて、知り合いに頼んでいますか?

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2016/02/29
医療法人の監事の仕事と、その責任を知っていて、知り合いに頼んでいますか?

医療法人の監事の仕事と、その責任を知っていて、知り合いに頼んでいますか?

医療法人を設立するときには、「理事が3人以上、監事が1人以上、必要」と決まっています。また、理事は親族でもよいけれど、監事は利害関係がない人を選任しなければいけません。

 

監事には、医療法人の監査、つまりチェック機関としての独立性という性質があるため、医療法人の執行機関である理事、医療法人が開設する病院、診療所、また介護老人保健施設の管理者を兼ねることができません。

 

ということで、理事の指揮命令下にある従業員を兼務してもいけないのです。そして、医療法には明記はされていませんが、理事長や理事の同族関係者が就任すると、医療法人の設立時の審査で指摘されてしまいます。

 

とにかく、監事の監査という業務には、客観性と適正さを確保しなければいけません。もちろん、このような要件を満たしていないと、医療法人の設立の審査に通らないため、院長先生が、医療法人とはまったく関係のない知り合いに頼むはずです。

頼まれた人も、医療法人の監事という職務の意味をあまり理解せずに、院長先生から頼まれたので、「いいですよ」と受けてしまうのです。株式会社の監査役という職務と基本的には同じですが、この監査役もあまり気にせずに、引き受けてしまう人が多いはずです。監査役なのに、一度も、会社に出社したことがなく、電話だけ、メールだけで連絡を受けて、書類の捺印している人が多くいるはずです。

 

医療法では、監事の仕事が定められていて、下記となっています。

医療法人の監事の仕事と、その責任を知っていて、知り合いに頼んでいますか?

これを読むと、医療法人の監事とは、業務の監査、財産状況の監査を行い、監査報告書を提出することが、基本的な仕事であると分かります。ここで間違ってはいけないのは、監事は、財産状況のチェックだけではなく、業務のチェックも行うことです。

つまり、毎年、医療法人が作成した事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書について、監査を行うだけではダメなのです。

医療法人の理事長をはじめ、理事が医療法などの法律に違反するような業務を行っていないか、チェックしなければいけないのです。

それだけではありません。

医療法人で働く看護師などの従業員の不正もチェックする必要があるのです。

 

「監事って、1年に1回の社員総会ぐらいしか、出席していないけど?」
と思うかもしれません。確かに、看護師を含めた従業員が5人前後の医療法人であれば、監事の仕事量も多くならないでしょう。

しかし、10人にまで増えた医療法人で、監事が財務状況だけではなく、業務の監査も行おうとすれば、かなり大変なことになります。1人ずつの仕事の内容を確認して、どのような書類を作成して、理事長に提出しているのかをフローチャートを作って、追って行かなければいけません。1年に1回どころか、1ヶ月に1回程度の出勤でも、やれる仕事量ではありません。

 

監事は自分が行った監査の結果を、監査報告書という文書に記載して、会社でいう株主総会に当たる社員総会、取締役会に当たる理事会で、報告を行わなければいけないのです。この監査報告書は、医療法人の決算日から2ヶ月以内に作成して、社員総会に提出するととともに、医療法人で保存する義務があります。

さらに、毎年、都道府県(政令都市の場合には、市町村)に、事業報告書の一部として、医療法人の決算日から3ヶ月以内に提出しなければいけないのです。提出したあとは、過去3年間のものであれば、誰でも都道府県庁に行き、閲覧請求することができます。

 

もし、監事が業務監査を行っているうえで、不正、または法律や定款に違反した事実を見つけたら、社員総会や理事会を自ら招集して、報告する義務もあります。

 

平成19年の第5次医療法改正により、監事の業務が明記されたことで、責任は明らかに重くなりました。

 

医療法人に不正の疑念が上がった場合には、
社員総会や理事会で報告するだけではなく、
都道府県にも報告しなければいけないのです。

 

 

医療法人の監事の仕事と、その責任を知っていて、知り合いに頼んでいますか?

現在、監事とは、医療法人の財産及び業務運営を監視する重要な機関として、位置づけられています。

そもそも、医療法人自体が公益性の高い民間法人のはずです。
本当であれば、管轄する行政機関である都道府県が監視、監督を行うべきなのかもしれません。ところが、医療法では、医療法人の業務、または会計が、法令等に違反している可能性があったり、運営が著しく適正ではないと疑われる場合だけ、都道府県が医療法人の事務所に立ち入り、検査できるとしています。

この情報収集をする一つの手段が、監事からの情報提供なのです。

もしかなりの多くの患者からのクレームがあったり、新聞報道などで大きな問題になったりしてから、初めて都道府県が立ち入り検査に入ることになれば、監事が、今までどのようなチェックを行っていたのか、大きな問題になります。

 

実際に、医療法人の監事が、責任を追及されている事例もあります。裁判で損害賠償責任を負うこともあります。院長先生も、形式だけ、名義だけと言って、監事を依頼したことで、あとで多大な迷惑をかけてしまわないように、業務の内容を、事前に説明しておきましょう。

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