医療法人の交際費は、年間600万円まで

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医療関連のコンサルティング
2012/07/02
医療法人の交際費は、年間600万円まで

医院や病院の院長が取引先と飲み食いすると交際費となります。

ただし、1人当たり5000円以下であれば、会議費になります。

10人で食事をして、5万円以下ならば、会議費ということです。

あなたは、
「ふーん、交際費でも、会議費でもいいんじゃないの?」
と言うかもしれません。

確かに、個人事業主として、個人医院を経営しているときには、交際費でも、会議費でも、取引先と飲み食いした費用であれば、経費になります。

個人事業主のときに注意すべきことは、医院経営や病院経営を行う上での取引先との飲み食いだけが交際費という経費になり、家族での飲食代や旅行代は、経費にならないことぐらいです。

よく飲食や旅行の領収書は、とにかく取っておくという院長もいますが、その領収書には、取引先の誰と、何人で行ったのかを書き込んでおかなければいけません。

もし何も書いていなければ、その領収書が医院経営や病院経営に関係ある取引先との飲食なのか分からないので、税務調査で経費と認められない可能性があります。

この取引先は限定されるものではありません。

医院経営や病院経営を行う上で必要であれば、薬品会社の営業マンでも、医療機器メーカーの営業マンでも、新しい分院を出すために不動産会社の営業マンと飲みに行くこともあるはずです。近くの医院や病院の院長が集まって、最近の医院経営や病院経営の勉強会を飲み食いしながら話すこともあるでしょう。

あなたは、
「それならば、ほとんどが取引先になるから、経費になるよ」
と言うかもしれません。

だから、最初に言ったとおり、個人事業主である個人医院であれば、問題ないのです。

ところが、医療法人になると交際費は年間600万円までしか認められないのです。

正確に言うと、600万円でも、その90%分しか認められません。

例えば、年間300万円の交際費であれば、270万円が経費になり、残りの30万円は経費にならないということです。

しかも、これは出資持分の基金が1億円以下の医療法人に限られます。

もし1億円超になれば、1円も交際費が認められない、つまり取引先と飲み食いした領収書は経費にならないのです。

経費にならないって、どういうこと?

と思う方もいるでしょう。簡単な事例で考えてみましょう。

ケース1
基金(出資持分)が2億円の医療法人

医業収益

1億円

経費(人件費、賃料など)

-5000万円

交際費

-2000万円

法人税(40%)

-2000万円

利益

1000万円

この表を見て、あなたは「あれ?」と思いませんでしたか?

普通に計算すれば、税引き前の利益は3000万円なので、法人税はその40%で1200万円となり、税引き後の利益は1800万円となるはずです。

ところが、法人税を計算するための利益は、交際費を無視するので、5000万円となり、その40%で2000万円となってしまうのです。

ケース2
基金(出資持分)が3000万円の医療法人

医業収益

1億円

経費(人件費、賃料など)

-5000万円

交際費

-2000万円

法人税(40%)

-1784万円

利益

1216万円

交際費の5000万円のうち、600万円×90%の540万円だけが経費と認められるので、法人税が少し安くなり、最終的な利益は1216万円になります。

ケース2でも、かなり法人税は高くなってしまっています。

ただ、あなたは、
「医院経営や病院経営で、そんな交際費が高くなるはずがない。極端な例だ」
と言うかもしれません。

確かに、飲み食いだけで年間2000万円とすれば、毎月160万円になるので、そんなに使う院長はいません。しかも、院長は立場的にはおごってもらうことも多いはずです。

こんな飲みに行って、いつ診察をやっているんだということになりますよね。

しかし、私が言いたいのは、飲み食いの代金だけが交際費になるわけではないということです。

項目

内容

診療費

特定の患者に対する診療費の値引き

キックバック

医療機器メーカーの営業マンに渡したお礼

お歳暮など

お中元やお歳暮(商品券も含む)を贈答した場合も交際費

社員旅行

看護師との社員旅行で、通常要する費用を超えた分

特定の看護師との飲み代

全員ではなく、特定の看護師や社員との飲み代や2次会は交際費

ゴルフ会員権

年会費、プレー代は交際費

会費

ロータリークラブ、ライオンズクラブの会費

どうですか?

上記の項目は交際費となってしまうのです。

そのため、医院や病院が大きくなるほど、お歳暮や看護師との社内の飲食代も増え、年間の交際費が600万円を超えてしまうのです。

「まぁ、それが法律ならば、しょうがないか」
と諦めないでください。

医院経営や病院経営で、できるだけ交際費にならないように工夫すべきなのです。

取引先との飲み食いは仕方がないとしても、それ以外のものは、下記のようにできないか、考えてみてください。

【1】広告宣伝費にする

不特定多数に、医院や病院が自分たちのロゴなどが入ったカレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類するものを配る目的で使った場合は、広告宣伝費になります。

だから、年末に、カレンダーなどを持って、挨拶に来る取引先がいるのです。

【2】福利厚生費にする

医院や病院の院内の打ち上げとして使ったお金が交際費になると、どうしても金額も大きくなりがちですし、これを福利厚生費にできれば、かなり違ってきます。

(1)医院や病院の創立記念日、国民の祝日、病棟の落成式などで、看護師や社員で飲食した費用は、福利厚生費になります。ただし、特定の看護師や社員だけの飲食の費用は、交際費になってしまいます。

とにかく、全員参加で行われる新年会、忘年会などの社内の行事は福利厚生費になるのです。このとき、全員に声をかけたけど、都合が悪い人が来れないという理由ならば問題なく、全額が福利厚生費となります。

(2)看護師や元社員又はその親族などのお祝いや不幸に対して、一定の基準に従って支払った費用は福利厚生費になります。例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどです。
ただし、取引先などのお祝いや不幸などに対して、支払ったお金は交際費となります。

(3)慰安旅行で使ったお金が、普通に考えて、高くない旅行費の範囲内ならば、福利厚生費となります。ただし、最低限、守るべき条件があります。

  • 【1】旅行費の会社負担分が、少額であること
    会社負担分が10万円程度(会社負担分が10万円、従業員負担分がゼロでもOKです)
  • 【2】旅行の参加行事が一般的であること
    旅行先で、みんなでツアーバスに乗る代金は、福利厚生費ですが、全員参加でゴルフをやるなど、無理矢理な行事は交際費です。
  • 【3】旅行の期間が4泊5日以内であること
    海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること(航空機の中での寝泊りは1泊として、カウントしません)
  • 【4】看護師や社員全員が対象で、旅行に参加した人数が全体の半分以上であること
    分院があって、それぞれが社員旅行に行ってもよいですが、その場合でも分院の看護師と社員を合わせた人数の半分以上が参加することが必要です。
  • 【5】自己都合で参加しない看護師や社員にお金を支払わないこと

このように、医療法人は1年間で経費になる交際費が決まっているため、できるだけ、他の項目で処理できないか検討しましょう。

それによって、法人税は大きく違ってきます。

それが結果的に、医療法人の資金繰りを改善させることになるのです。

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