スムーズに、医療法人が分院を出店する方法

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医療関連のコンサルティング
2016/06/30
スムーズに、医療法人が分院を出店する方法

スムーズに、医療法人が分院を出店する方法

個人事業主の医院や病院では、分院を出すことはできません。そのため、分院を出す場合には、医療法人を設立してから、分院の申請を都道府県に提出して、審査してもらうことになります。
ただ、実際に、医療法人の設立の審査は、都道府県によっても変わりますが、1年に2回から3回で、かつ審査期間も半年ぐらいはかかります。医療法人が設立できてから、分院の申請をするとなると、さらに時間がかかってしまいます。
すでに、医療法人として運営していて、その上で、新しく分院を出すときにも、すぐに認められるわけではなく、都道府県での審査が必要となります。

さらに、同じ都道府県内ではなく、他の都道府県に分院を出すときには、管轄が厚生労働省に変わってしまうのです。

もともとは、本院(主たる事務所)がある都道府県知事が管理監督を行い、分院を出した先の都道府県知事が、開設許可や運営の指導監督をしていたのです。ところが、行政機関相互の連絡が上手く取れず、「管理監督」と「指導監督」の責任の所在も不明確でした。

それをよいことに、医療法人内部で、医師や看護師の名義の貸し借りが頻繁に行われて、施設基準を満たすように装い、高い診療報酬を獲得した医院や病院が多数あったのです。この不正が指摘されて、複数の都道府県をまたがる医療法人については、厚生労働大臣がすべて所掌することになりました。
そのため、通常であれば、都道府県の審査だけでよいところ、地方厚生局での審議という手順が入るため、すべてにおいて時間がかかります。

下記の図は、複数の都道府県にまたがる医療法人が、定款変更したときの手順となります。

スムーズに、医療法人が分院を出店する方法

定款変更だけでも、これだけ、手続きが複雑になるので、分院の申請となれば、相当な時間がかかることが、分かると思います。でも実際に、院長先生が分院を出すと決めてから、ずっと賃貸物件を押さえていたら、無駄な賃料が発生してしまいます。
分院長を頼んだ医師も、1年以上どころか、もっと先になると言われたら、モチベーションが保てるか、分かりません。
他の医院や病院から誘われてしまうこともあるでしょう。

このような手続きを踏んでいられないと考えて、すでに分院を出している医療法人を買収しようと考える院長先生もいます。ただ、注意が必要です。

 

院長先生が望む都道府県で、医療法人を買収できればよいですが、他の都道府県にあると、簡単には本店を移すことができません。

 

結果、同じような手続きを踏むことになってしまいます。

そこで、分院をスムーズに出店させる、やり方があります。
それは、分院長になる医師に個人事業主として、医院や病院を開業してもらい、実際に1年ぐらい運営しながら、医療法人が分院として取り込むのです。そうすれば、都道府県や厚生労働省の審査もスムーズになります。しかも、何らかの理由で、手続きに時間がかかったとしても、医院経営や病院経営は、そのまま続けているため、コストが無駄になることも、時間をロスすることもありません。

「そんな方法があるならば、なぜ、みんなそれを選択しないのか?」
と思う院長先生もいるでしょう。

この方法には、1つだけ、問題があるのです。

それは、分院長になる医師が医院や病院を開業するときに、資金がありません。
お金があれば、自分で開業するはずだからです。

そこで、医療法人が、下記のように手助けしようとすると、医療法違反となります。

スムーズに、医療法人が分院を出店する方法

これ以外にも、届出や登録をしなければ、医療法人が医療機器を買って、リースすることもできません。

ときどき、院長先生から、
「都道府県の担当者にバレることは、ないんじゃないのか?」
と聞かれることがあります。

ただ、貸付や賃料の肩代わりに関しては、決算書の内訳書に表示されてしまいます。

「うちは、医療法人から個人に貸付があるけど、事業報告書を提出したときには、何も指摘されないよ」
という院長先生もいます。

確かに、毎年、医療法人が都道府県に提出する事業報告書には、そこまで細かな勘定科目は記載しません。内訳書も添付しないため、そこで指摘されることはないのです。しかし、分院の出店の申請をするときには、医療法人の過去の決算書なども提出するため、そのときに、絶対にバレます。
しかも、分院として申請する医院や病院の現時点での賃貸借契約書も提出するため、そこでも、問題となります。実際に、都道府県の担当者から指摘されているケースを見たことがあります。

この関係を解消するまでは、分院の申請書は受理してくれません。

貸付を返済したり、賃貸借契約書を撒きなおしたり、医療機器のリースの債務者を変更したりと、同じことになるならば、最初から、分院長が医院を開業した方がよいはずです。

「都道府県の担当者と、交渉すれば、何とかなるのでは?」
という考えも、止めましょう。

医療法違反になっていることを知ってしまえば、交渉という話ではなくなるのです。

ということで、1年後、2年後に、医療法人の分院として、申請して取り込まれるまでは、分院長が自分で銀行からお金を借りて、医院経営や病院経営を行うことになります。

「分院長になる医師に、そこまでリスクを負わせることはできない」
ということであれば、

 

院長先生が、個人的に分院長にお金を貸すか、個人的に連帯保証人になってあげましょう。

 

院長先生が、医療法人から給料をもらい、そのお金を分院長に貸し付けることは、何ら問題はありません。

 

それが、もっとも分院を手っ取り早く出す方法になります。

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