医療法人同士で合併したら、いきなり多額の法人税と所得税がかかるという噂は本当か?- その(2)

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2012/07/18
医療法人同士で合併したら、いきなり多額の法人税と所得税がかかるという噂は本当か?- その(2)

あなたの医療法人が、他の医療法人と合併して、新たにがんばろうと思った矢先に、突然、「非適格合併」と認定されると、医療法人には法人税が、出資者の院長には所得税が課税されてしまいます。

そうならないためには、「適格合併」にしなければいけません。
では適格合併の要件とは、どのようなものなのでしょうか?

合併した医療法人の関係によって、3つに分けられて、それぞれの要件は大きく違ってきます。

  • 【1】100%子会社の医療法人との合併なのか?
  • 【2】50%超 100未満のグループの医療法人との合併なのか?
  • 【3】まったく赤の他人の医療法人との合併なのか?

【1】あなたの医療法人の100%子会社との合併

100%子会社の医療法人と合併して、そのあとも、ずっと親会社の出資者である院長がそれを売却せずに持ち続けているならば(普通は持ち続けていると思うので)、適格合併になります。

100%子会社なのですから、それと合併しただけで、法人税や所得税がかかるのは、おかし過ぎます。

だから、これはほとんどの場合、適格合併になります。

【2】あなたの出資持分が50%超、100%未満の医療法人との合併

合併しようと考えている医療法人の出資の一部をあなたが所有している場合には、下記の要件を満たす必要があります。

  • (1) 医療法人同士が合併したあとも、あなたがずっと50%超、100%未満で出資し続けること
  • (2) 消滅する医療法人の看護師や社員の総数の概ね80%以上が、あなたの医療法人で、そのまま働き続けること

どうですか?
この要件ならば、満たせそうですよね。

ただ、あなたが相手の医療法人の出資持分の一部だけを所有している場合は少ないでしょう。

【3】あなたの出資持分がゼロの医療法人との合併

もちろん、【1】の子会社の医療法人との合併も多いとは思いますが、やはり医療法人同士の合併では、この赤の他人とのケースが一番多いと考えられます。

この場合の要件は、下記になります。

  • (1) 合併のときに、消滅会社に出資している院長には、あなたの存続する医療法人の出資持分だけを渡すこと。つまり、お金を渡さないこと。
  • (2) あなたの医療法人と消滅する医療法人の売上金額、看護師などの社員数、出資金の額の比率が概ね5倍を超えないこと、又は消滅する医療法人の院長などが存続する医療法人の役員になること
  • (3) 消滅する医療法人の看護師や社員の総数の概ね80%以上が、あなたの医療法人で、そのまま働き続けること
  • (4) 医療法人同士が合併したあと、相手の院長も含めて出資持分を売却しないこと

このうち、(1)と(3)は問題ないと思います。

それに(4)も、もし相手の医療法人の院長が出資持分を売却したいならば、合併する前に売却しておけばよいだけです。

ということは、問題は(2)になります。

簡単に言えば、まったく規模が違う医療法人同士で合併する場合には、適格合併にはならないということなのです。

何となく法律の趣旨は分かります。

グループの医療法人ならば分かるけど、わざわざ、時間と労力をかけて、すごく規模が小さな医療法人と合併する必要があるのか?

つまり、合併するのには理由があって、繰越欠損金を使いたいなどのきっと税金のメリットがあるからだろうと予測しているのです。

確かに、そういうケースもあります。

でも、消滅する医療法人が、医療関係の特許を持っていたり、重要な取引先があったり、どうしても欲しい不動産を所有している場合もあるはずです。

それに、あなたの医療法人が、すでに何度も合併を繰り返したことで巨大化している場合もあるでしょう。

その場合に、(2)の要件を満たせない場合には、どうすればよいのでしょうか?

非適格合併を受け入れて、税金を支払ってでも、その医療法人と合併すべきなのでしょうか?

その場合には、消滅する医療法人の出資持分を、合併前に院長から売ってもらいましょう。

あなたの医療法人の子会社にしてから、合併すればよいのです。

そうすれば、100%子会社である医療法人との合併になるので、適格合併となります。

このときの注意点は、もちろんあります。

それは、消滅する医療法人の院長が自分の出資持分を売却したときに利益が出ると、所得税がかかることです。

いや、その前に、自分の出資持分を売却したくないと主張するかもしれません。

その場合には、事業譲渡として、消滅する医療法人の一部だけを、あなたの医療法人に売却する方法がよいかもしれません。

ただ、医療法人の事業はほとんどが医療であり、そのうちの一部の事業を売却するというが現実的なのかは、ケースによって違うでしょう。

私は、数年前に、眼科の医療法人の中にあったコンタクトレンズの販売部門だけを売却したというケースがありました。

また、薬の特許を持っていた医療法人から、その権利だけを売却してもらったケースも手がけたことがあります。

しかし、それは稀なケースであり、ほとんどの場合、非適格合併でもよいので実行するというケースが多かったですね。

たまたま、その場合には法人税や所得税が、それほどかからなかったので、よかったのですが、実際にかかってしまうケースは、その税金の金額と合併のメリットを比べてください。

もし税金を支払うデメリットが大きい場合には、やっぱり、相手の院長の出資持分を売ってもらうように説得しましょう。

節税できる分を売却価格に上乗せできれば、
相手の院長が納得する可能性は高くなるはずです。

合併したあと、出資持分がなくても、相手の院長はそのまま残ってもよいのです。

無駄な税金を支払えば、絶対に医療法人の資金繰りは悪化します。

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