保険診療をすべて止めて、自由診療に変わるという選択肢

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医療関連のコンサルティング
2014/07/10
保険診療をすべて止めて、自由診療に変わるという選択肢

現在の医療サービスを受ける患者は、保険診療だけではなく、自分で望めば、自由診療を受けることもできます。

そもそも、予防接種、健康診断、正常分娩、美容形成外科などは、患者の病気を治療することが目的ではありません。
そのため、これらの診療行為は保険診療と認められておらず、医院が保険者(国保、社保の団体)に診療報酬を請求することができません。

つまり、医療費の全額が、患者の自己負担となります。
そして、医院が自由診療を行うときには、知っておくべきことがあります。

【1】原則、混合診療は禁止

原則、自由診療と保険診療を一緒に行う混合診療は禁止されています。
診療行為の一部に自由診療があれば、一緒に行っていた保険診療はすべて自由診療とみなされて、全額が患者の自己負担となります。

ただ同一日でなければ、原則、問題ありません。

例えば、昨日、自由診療で予防接種を受けた患者が、その夜に体調が悪くなり、翌日に診察を受けても、2日目は保険診療となります。

通常、健康診断のあとに異常が見つかれば、患者としては、精密検査を行って欲しいと考えるはずです。
それでも、健康診断と同一日に行われた精密検査は、保険診療にはなりません。

医院は患者に、そのことを説明して、健康診断とその治療は別の日に行うべきでしょう。
なお、健康診断で内視鏡検査を行い、そのあとすぐに行われた手術は保険診療と認められています。

 

【2】混合診療の例外

医療機器や技術が発展してきたことで、診療報酬の点数表に載っていない先進医療の治療であっても、患者が望んだ場合には、受けることができるようになっています。

厚生労働大臣が定めた「評価療養」と「選定療養」の自由診療については、保険診療との併用が認められているのです。

評価療養として代表的なものは、先進医療、医薬品の治験、保険適用前の承認医療機器の使用などです。

選定療養として代表的なものは、差額ベッド代、歯科の金合金等、大病院の初診料、180日以上の入院などです。

保険診療を止めて自由診療に変わるという選択肢

 

【3】自由診療の金額の決め方

自由診療による治療は、診療報酬の点数表に載っていません。
そのため、医院が勝手に診療報酬の金額を決めることができます。
だからこそ、事前に患者に金額を説明して了承をもらっておくことが、そのあとの支払いのトラブルを防ぐことになります。

 

医院も【1】から【3】については、よく理解しているはずですが、それでも選定療養の個室の差額ベッド代などで、患者ともめていることがあります。

なぜでしょうか?

それは、途中から個室に移った場合など、患者にとって分かりにくいからです。

例えば、すべての治療が自由診療であれば、患者は最初に納得してから治療を受けます。
ただ、途中までは保険診療で、治療の途中に、「ハイ、ここからが自由診療になりますが、どうしますか?」と聞かれても、患者はそこで治療を止めるという選択肢がありません。

結果、あとから、高額な医療費を請求されれば、納得できずに怒るでしょう。
だからこそ、医院が保険診療と併用で自由診療を行う場合には、診療計画を作り、治療を始める前に、患者に説明しておくべきなのです。

ここまでが、今までの混合診療の注意点でしたが、最近の新聞でも報道されていますが、かなり混合診療の幅が広くなりそうです。
もちろん、一気にすべての混合診療が解禁となるはずはありませんが、自由診療を行う医院も、それを受けたいという患者も増えることは確かです。

そして、混合診療の拡大は、大学病院や500床以上の大病院だけを前提にしているわけではありません。
入院施設がない医院でさえ、患者が望めば、今までとは違うもっと簡単な手続きで、混合診療が受けれるようになりそうです。

ここで、院長には、1つ考えて欲しいことがあります。
それは、今までは保険診療が中心で、健康診断や予防接種などの自由診療を医療収益のうち、10%から20%程度占めているという医院がほとんどだと考えられます。
これらかの医院は、この自由診療の占める割合が増えると予想されます。

実はすでに、都心では、保険診療が10%から20%ぐらいで、あとはすべて自由診療を行っている医院がかなり多く存在します。
これらの医院は開業したときから、自由診療を中心に行っているわけではありません。
それぞれの院長も開業当時は、大学病院で保険診療を中心に診療行為を行ってきているので、その延長で考えていたはずです。

その保険診療を中心に行ってきた医院が、ある日、それを止めて、外装も内装も、医院の名前も変えて、一気に自由診療が中心の医院に変革するのです。

これは、今は都心の医院だけの現象ですが、これからは、郊外の医院にもその波が押し寄せると思います。

これは医院にとっては、喜ばしいことです。
というのも、自由診療は、医院同士で差がつきやすい医療サービスだからです。
患者が、本当によい医院を選定する時代になるのです。

そこで、今のうちから、自由診療の比率を高めてみませんか。

結果的に、過去の医療法の改正、診療報酬の改定の経緯を見ていると、先を読んで、自分たちの医療サービスを変えた医院が、先行者利得で儲かっているのです。

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