これから、どのような患者さんを診察したいですか?

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医療関連のコンサルティング
2015/04/30
これから、どのような患者さんを診察したいですか?

あなたが、すでに医院経営や病院経営をしているならば、何を目指しているのでしょうか?

医院や病院を大きくしたい、いや、今のままでよい、子供に継がせたい・・・などと、いろいろな目標があるかもしれません。
ただ、医院や病院を取り巻く環境は、ドンドン変わってきて、現在は、病床がない医院や病院同士は競合する関係になっています。
一方、病床が200床以上ある病院と、病床がない医院とは連携という関係が築かれています。

 

これから、どのような患者さんを診察したいですか?それでも、世の中には、病床がない医院や病院の方が、圧倒的に多いのです。

そこで、これからは、特定の分野に焦点を絞った医院経営や病院経営を目指すことが、生き残る一つの方法です。

例えば、画像センターを都心のビルの中に作って、その患者のデータを連携した医院や病院に送るインターネットシステムを作ったり、電話会社と組んで、毎日、患者の体調を管理する仕組みを作るために、莫大な投資を行う医院経営や病院経営も出てきました。

ただ、これは何億円、いや何十億円という投資を行い、他の業種と連携して、新しいビジネスを作り出すことであり、社会的な意義もあり、すばらしいことだと思いますが、すぐにできることではありません。

病床がない医院や病院が、明日からでも、やれること、やるべきこと、その結果がすぐに出ることを考えた方がよいでしょう。

 

このとき、ぜひ、院長に考えて欲しいのは、

これから、どういう患者を診察していきたいのか?

ということなのです。

例えば、お金という切り口から考えることも悪いことではありません。
自由診療を中心に行い、儲かったお金で、さらなる設備投資を行うことも考えられます。
結果的に、医院や病院の床面積が広くなり、高額な医療機器を導入すれば、参入障壁は高くなり、競合がマネすることは簡単ではなくなります。

また、予防管理というフェーズに焦点を当てて、診察を行うことも考えられます。
予防であれば、定期的に患者と接触することになり、かつ医師ではなく、看護師が対応できる分野も増えます。
これにより、安定した医業収益を確立できるはずです。

 

「今までの患者もいるので、診療内容を大転換するのはムリだ」と主張する院長先生もいるでしょう。
それならば、待ち時間をゼロにする診療を行うという方法もあります。
予約システムの導入は、現在は、HPから患者が入力できるものでも安いのですが、実際には、看護師や受付の社員が、それを徹底して運用することが必要となります。

それでも、内科では急性疾患が多く、そもそも予約システムが導入できず、予防管理の診療も難しいことがあります。
その場合には、診療報酬が高い分野を攻めるという方法もあります。

例えば、急性疾患ではなく、生活習慣病にフォーカスを当てて、慢性疾患の患者を診療するという方法です。
医学管理等の特定疾患療養管理料が診療報酬に加算できれば、それだけ、医業収益は上がります。

特定疾患療養管理料(病床がなければ、225点)とは、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したもので、院長が、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定する。

あなたの医院や病院に、1日50人の患者が来院し、そのうち40人が急性、10人が慢性とします。

1日の急性患者数40人×22日(営業日)÷実診療日数1日=急性疾患レセプト枚数 880枚
880枚 × 400点 = 352,000点(352万円)

1日の慢性患者数10人×22日(営業日)÷実診療日数1.5日=急性疾患レセプト枚数 146枚
146枚 × 800点 = 116,800点(約117万円)

1年間の医業収益=(352万円 + 117万円)×12か月=5,628万円

 

ここで、慢性疾患の患者にフォーカスを当てることにします。

具体的なやり方は、医院や病院の中に、慢性疾患についてのポスターを貼ります。
そこで、生活習慣病への対応は、2週間に1回程度、来院して、院長に診てもらうことを推奨するのです。
駅の広告看板でも、慢性疾患についての診察を行っているとアピールしましょう。
ホームページにも、生活習慣病のページを追加しましょう。
この3つを行っても、投資金額は100万円程度です。

さらに、時間があれば、生活習慣病を説明する小冊子を作ってください。
それほどページ数は必要ないので、専門家に作ってもらってもよく、それを受付の隣りに置いておきます。
その最後のページに、生活習慣病のHPのアドレスをデカデカと載せるのです。

そして、ここからが大切です。

院長先生が、急性疾患の患者の中から、慢性疾患に移りそうな方を選びます。

診察のときに、口頭で、「来月から、定期的な診療を行うこと」を勧めるのです。
そのことを、受付で会計を行う社員に伝えます。
レセプトに書いてもよいですし、付箋を貼ってもよいでしょう。

すると、社員が、その患者に対して、生活習慣病の小冊子を渡すのです。
渡すときに、最後のページを開き、

「もっとよく知りたい場合には、このHPを見てください」

と勧めておきます。

慢性疾患の患者は、自覚症状が薄いため、こちらから導いてあげないと、増えていきません。
逆に、導く医院や病院が少ないため、最初にやっておくことで、患者を集めることができます。
そして、一度、通院が始まれば、痛みが伴う診療はほとんどなく、不満を持つキッカケがないので、転院しません。

これで、慢性疾患が増えてきたら、このHPに予約システムを導入します。
先ほどの患者の割合が、1日50人のうち、10人が急性、40人が慢性に変わったとします。

1日の急性患者数10人×22日(営業日)÷実診療日数1日=急性疾患レセプト枚数 220枚
220枚 × 400点 = 88,000点(88万円)

1日の慢性患者数40人×22日(営業日)÷実診療日数1.5日=急性疾患レセプト枚数 586枚
586枚 × 800点 = 468,800点(約469万円)

1年間の医業収益=(88万円 + 469万円)×12か月=6,684万円

これは、医業収益が、約1.2倍に上がったという効果だけではありません。

厚生労働省は、病床がない医院や病院は、大学病院などから逆紹介してもらい、かかりつけ医院となると、診療報酬を加算することにしました。
大学病院で入院するのではなく、できるかぎり、医院や病院が、在宅にいる患者を診て欲しいと考えているからです。
逆紹介をしないと、大学病院も診療報酬が加算されないので、やらざるを得ません。

このとき、「慢性疾患のために、医院経営や病院経営をやっている」というアピールを、その地域でアピールしておくことと、逆紹介もしやすくなるでしょう。
これにより、慢性疾患の患者が増えていけば、医院の医業収益は高くなり、医院経営や病院経営は安定していきます。

 

急性患者とは違い、慢性患者は、住んでいる場所が近いということだけで、医院や病院を決めることはありません。
そのため、立地条件が悪い、最近、駅前にビルができて、人の流れが変わってしまったと思っている院長先生がいるならば、ぜひ、慢性疾患に焦点を当てる方法を導入してみてください。

話は元に戻りますが、もう一度、自分が目指したい医院を考え直してみることが、これからの医院経営や病院経営には、必要ではないでしょうか。

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