持分なしの医療法人へ移行するための新しい認定療法人制度が始まります。①

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2017/08/10
持分なしの医療法人へ移行するための新しい認定療法人制度が始まります。①

持分なしの医療法人へ移行するための新しい認定療法人制度が始まります。①

今年も、厚生労働省から医療法人の数が発表されました。

持分なしの医療法人へ移行するための新しい認定療法人制度が始まります。①

持分なしの医療法人へ移行するための新しい認定療法人制度が始まります。①

平成19年4月1日以降は、持分の定めのない医療法人(以下、「持分なしの医療法人」)しか設立できないのですが、平成29年で約12500件となっています。一方、平成19年3月31日までは、持分の定めのある医療法人(以下、「持分ありの医療法人」)がほとんど設立されてきました。この持分ありの医療法人の数は少しずつ減ってきていますが、未だに4万件もあります。

持分ありの医療法人の持分は院長先生にとっては財産権であり、そのまま保有していると遺産分割の対象となりますし、相続税もかかります。厚生労働省としては将来の医療法人の事業承継が上手くいかずに、その地域の医院や病院が消滅してしまうことを心配しています。
実際に、全国各地で裁判が起こっているのです。
もともと、厚生労働省が作成したモデル定款には、下記の記載があります。

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医療法では、
「第五十四条  医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」
という規定があるため、これに対応した条項となっています。

つまり、医療法人は配当できずに、もうかったお金がどんどん内部に貯まっていきます。
それは、医療法人の持分の評価が高くなることを意味するのです。

この状態で、院長先生の相続が発生したとします。
すると、その持分は相続人に相続されることになります。
遺言書で、「医療法人の後継者である長男に、持分を全部相続させる」と記載しても、他の相続人には遺留分を請求できる権利があります。
遺留分とは民法で定められた相続人が最低限、請求できる権利のことです。
では、遺留分を請求された場合には、医療法人の議決権はどうなるのでしょうか?

まず大前提として、医療法人の持分と議決権はリンクしていません。
医療法人ではあくまで、社員(株主のこと)1人につき1票となっています。
そのため、下記の図で社員(株主のこと)が院長先生と長男だけだとすると、それぞれが50%の議決権を所有することになります。

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医療法人の持分は、設立した時に院長先生が100%を金銭出資しています。
ほとんどの都道府県で最低1000万円の資本金を要求していたので、それは院長先生が出しているはずです。
長男は労務出資で金銭は出資していないため、持分はゼロですが、議決権だけはあります。

院長先生の社員(株主のこと)の権利は一身専属権となりますので、その地位は相続人に相続されません。

つまり、院長先生が亡くなると社員(株主のこと)は長男1人となります。
ここで厚生労働省のモデル定款には、下記の記載があります。

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それでは、遺留分を請求した相続人は、医療法人の社員(株主のこと)にはなれないままということなのでしょうか?

厚生労働省のモデル定款には、下記の記載があります。

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ということで、長男の合意がないと、他の相続人は医療法人の社員(株主のこと)になれないという結論になります。
当然ですが、長男としては遺留分を請求してくるような相続人である次男を社員(株主のこと)に参加させるはずがありません。
ところが話はここで終わりません。
厚生労働省のモデル定款には、下記の記載があるのです。

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これを読むと、最後に社員(株主のこと)に配当しているように思えるのですが、配当とは違うそうです。

社員(株主のこと)になれない相続人はこの条項をもとに、医療法人に相続財産に見合うお金の払戻しを請求することができます。

これは平成26年改正医療法附則にも、記載があります。

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それでは医療法人の理事ではなく、社員(株主のこと)でもない相続人が実際に持分の払い戻しを請求したら、どうなるのでしょうか?

回答は次のブログで記載します。

 

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