医療法人の持分は、物納できるのか?

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医療関連のコンサルティング
2012/01/06
医療法人の持分は、物納できるのか?

相続財産のほとんどが、現預金である人は、あまりいません。
もし、現預金だけで、莫大な財産になっていたとしても、相続税も支払えるので、困りません。

不動産一般的に、相続財産で大きな割合を占めるのが、不動産です。 ただ、不動産は、小規模宅地の特例を使って、評価を下げることができます。1Fで医院経営を行っている場合でも、医院の部分、2Fの自宅の部分に対応する土地に対して、特例を適用できます。  

ただし、医院経営や病院経営を続けることが要件なので、親族が事業承継せずに、閉院した場合には、自宅の部分のみの適用になります。 それでも、不動産は売却すればよいですし、不動産が流通している市場もあります。

一方、相続財産として、株という財産も大きな割合を占めることがあります。
もちろん、上場株であれば、証券市場で売却できますし、投資信託であれば、解約することで、翌日には現金にすることができます。  

ところが、世の中は、上場株よりも、圧倒的に、未公開株の方が多いのです。  
そして、あなたが医療法人を経営しているとすれば、その出資持分も、未公開株です。
しかも、医療法人の出資持分は、証券市場で売却できないだけではなく、そもそも、買い手が一般事業会社と違って、限られてしまいます。

もちろん、相続財産が不動産や株式ばかりの場合には、相続税が支払えなくて困る人がいるため、物納という制度が認めれられています。特に、バブルで不動産が高騰したときには、この物納を利用する人が増えます。 ただ、この物納財産の優先順位は決まっています。

第一順位
国債及び地方債 不動産及び船舶

第二順位
社債及び株式並びに証券投資信託 又は貸付信託の受益証券

第三順位
不動産

順位があるのは、税務署として、現金化しやすいものが相続財産にあるならば、それからということです。 もちろん、相続財産に、自宅という不動産と株式があった場合、必ず、自宅を物納しなければいけないわけではありません。自宅は妻が住み続けるという合理的な理由があれば、それは物納せずに、第二順位の株式を優先的に物納することも認めてもらえます。

あくまで、税務署との交渉になります。
そして、この株式とは、上場株だけではなく、未公開株も含まれています。
ところが、医療法人の出資持分は、この株式に該当しません。つまり、医療法人の出資持分は、税務署と交渉したとしても、そもそも認められていないので、できないのです。

では、医療法人の持分には、何か、相続税の特例はないのでしょうか?  
・・・ありません。 それどころか、一般の会社にある、下記の特例もないのです。

1
純資産で評価するときに、同族関係者の議決権の合計が50%以下である場合であっても、医療法人の出資持分には、減額の特例(20%を評価減)は適用されない

2
医療法人の出資持分には、配当がないため、議決権の割合がどのくらいであったとしても、配当還元方式は使えない

簡単に言えば、医療法人の出資持分には、安く評価できないということです。
どうですか?

このまま、医療法人の出資持分に対して、相続税の節税対策をしていなかったならば、大変なことになってしまうと思いませんか?売却することもできず、物納することもできず、減額の金額も小さいのです。  

では、最後の手段として、医療法人を解散することも考えられます。
・・・これでも、ダメなのです。  なぜかと言えば、医療法人の出資持分とは、最初に出資した資本金と過去からの利益の積み重ねの合計になるのですが、すべて現預金で保存されているわけではないからです。  

下記がよくある医療法人の貸借対照表です。
貸借対照表とは、決算書のうち、財産の状況を表した書類です。  
これからも、医療法人を経営しているのですから、現預金が、建物や内装、医療機器や車両に変わっているのです。  

ここで、医療法人を解散しても、これらの資産をすべて売却すれば、内装など、価値はゼロ円です。逆に、建物を原状回復させたり、看護師や社員に退職金も支払うことになります。 これでは、解散することで、今ある現預金も使い果たしてしまう可能性もあります。

医療法人の貸借対照表

医療法人の出資持分の相続税の評価額が高い場合、最悪、相続税を支払うために、自宅を売却しなくてはいけないということにも、なりかねません。医療法人の相続税の節税対策と事業承継対策は、十分な準備期間を取り、計画を練って、実行していく必要があります。    

あなたの医療法人の経営が存続できることは、結果的に、地域医療にも貢献できることになるのです。医療法人の出資持分の評価を下げる方法、上手に贈与を使って、事業承継させる方法を、今後は紹介していきます。

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