毎年、医療法人の持ち分を、子供や孫に贈与していますか?

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2016/12/20
毎年、医療法人の持ち分を、子供や孫に贈与していますか?

毎年、医療法人の持ち分を、子供や孫に贈与していますか?

個人間で贈与する場合には、1年間で110万円までが、贈与税の基礎控除額と呼ばれます。つまり、1年間で110万円までは、贈与税がかからず、渡すことができるのです。院長先生の中には、「たったの110万円なのか」と思った方もいるかもしれません。

しかし、これは贈与する側(贈与者という)ではなく、贈与される側(受贈者という)で判定されるのです。

そのため、配偶者、子供、孫がいれば、それぞれに110万円ずつを贈与しても、贈与税がかからないのです。

例えば、下記のように、妻、長男、孫(長男の子)、次男の4人がいたとして、110万円を贈与したとすれば、1年間で440万円もの贈与ができます。
10年間、贈与し続けたとすれば、4400万円にもなるのです。

毎年、医療法人の持ち分を、子供や孫に贈与していますか?

さらに、持ち分のある医療法人の持ち分のほとんどを院長先生が所有している場合、相続税が高くなると予測できます。であれば、少し贈与税を支払っても、生前から子供に財産を贈与した方が得です。
1年間で、310万円の贈与であれば、一番低い贈与税率である10%をかけるため、20万円が贈与税となります。310万円で、4人であれば、1年間で1240万円が贈与できます。
10年間で、1億2400万円も院長先生の財産を子供たちに渡せるのです。
このとき、院長先生に知っておいてほしいポイントが、2つあります。

 

1. 医療法人の持ち分を贈与する

贈与する財産ですが、現預金でも、建物や土地などの不動産でも、生命保険の権利でも、医療法人の持ち分でも、MS法人の株式でも、なんでも構いません。

そして、贈与した時の評価で贈与税が計算されることは、すべてに共通します。

この時の評価方法は、相続税の財産基本通達で定められた方法となります。
とすれば、将来、評価が上がる財産を安いうちに贈与してしまえば、より効果的な節税対策となるのです。

現預金や生命保険は、ほとんど、将来の評価は変わりません。日本がデフレになれば、価値は自動的に上がりますが、たったの10年や20年ぐらいで大きく変わるとは思えません。
不動産については、土地が値上がりする可能性はありますが、下がる可能性も同じだけあります。建物にいたっては、年数が経つと経年劣化して、必ず評価が下がるため、もっとも贈与してはいけない財産になります。
では将来、確実に評価が上がる財産はあるのでしょうか?

それは、医療法人の持ち分と、MS法人の株式です。
医療法人は、医院や病院の建物内装設備、医療機器などに投資するため、通常、銀行から借金をします。そのため、決算書を赤字にすることはできません。院長先生は、「赤字になることだって、あるんじゃないのか?」と思ったかもしれません。
でも、医療法人の経費の中で一番大きいのは、給料です。

そこには、看護師の給料もありますが、院長先生の給料の占める割合が大きいはずです。
この院長先生の給料を調整すれば、例えば、医院経営や病院経営の医業収益が下がってきたら、給料を下げれば、黒字になるはずです。

またここで、「うちの医療法人はそれほど借金する必要がないから、自分の給料を増やして赤字にしておけば、医療法人の持ち分の評価は上がらないよ」と主張する院長先生もいます。ところが、「法人税<所得税」となることが多く、院長先生に給料を支払うと、高い所得税を支払い、しかも通帳に貯まった現預金には相続税がかかるのです。
そこで、医療法人が黒字になることを前提に、その持ち分を後継者に贈与していけば、今以上に相続税が高くなることは防げます。

医療法人の持ち分は、1口ずつ贈与できるので、すでに評価が高くなってしまった医療法人であっても、少しずつ贈与できます。ただ、医療法人を長男に継がせるつもりで、その次が孫(長男の子)であれば、その2人には、持ち分を贈与することは問題ありません。

一方、医療法人を継がない次男に持ち分を贈与すれば、将来のもめごとの原因になるので、止めましょう。

次男にも贈与しないと不公平だと考えるのであれば、同じ評価額となる現預金、または土地を贈与してください。なお、贈与する土地は、医療法人で使っていない土地を選んでください。

 

2. できるだけ早い時期から贈与する

相続が発生する直前に、院長先生が相続税と贈与税の税率を比べて、贈与の方が得だと考えて、贈与するならば、簡単に節税できてしまいます。そこで、相続税では、相続が発生した日から3年前までの日までの贈与はなかったものとみなすことにしています。

毎年、医療法人の持ち分を、子供や孫に贈与していますか?

もし、院長先生の贈与によって、長男と次男が過去3年間で支払っていた贈与税があれば、相続税から差し引いてもらえます。そのため、損はしませんが、節税メリットもなくなることを意味します。
もちろん、院長先生の相続がいつ発生するかは、誰にもわかりません。
だからこそ、できるだけ早い時期から贈与を始めるべきなのです。

このような話をすると、「俺の死んだ話をするのは、けしからん」と怒り出す院長先生もいます。「まだ、まだ、相続の話をするのは、早すぎるよ」と耳を傾けてくれない院長先生もいます。今までがんばって、医院経営や病院経営を行ってきて、それで稼いだ財産を子供に無償で渡すのは、心理的にも抵抗感があるのでしょう。「子供の教育上、若いときに財産をあげすぎるのは、よくないことだ」という院長先生もいます。

でも、本当にそうなのでしょうか?
私は今まで、何の相続税の対策を行わなかったせいで、院長先生の相続が発生したあと、多額の相続税がのしかかり、配偶者や子供が困ってしまった医療法人をいくつも見てきました。院長先生が亡くなってから遺言書を見て、相続人たちが想像していた内容とまったく違い、それが喧嘩の原因になった医療法人もありました。

院長先生が生前に財産を贈与すると、贈与税として、相続税を前払いしておく効果もありますし、生前の遺言書として自分の意思を子供たちに伝える機会にもなるのです。

相続が発生してから財産をもらった子供や孫が、院長先生に感謝しても、すでにこの世にはいないのです。だったら生前に、財産を贈与することで、感謝してもらった方がよいのではないでしょうか。
「家族から、もう十分尊敬されて、感謝されているよ」という院長先生もいますが、より一層、感謝された方がよいと思いませんか。
相続は遠い話かもしれませんが、贈与は今日、明日の話です。ちょうど、1月のお正月には、院長先生のところに親族が集まる機会があると思います。
ぜひ、子供や孫たちに話を振ってみてください。

とにかく、院長先生の相続が発生するまでに、できるだけ多くの財産を贈与しておくことは、結果的に家族全員の財産を守ることにつながるのです。

院長先生には、それを行う義務があると思います。

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