院長先生が所得補償の生命保険に加入していると、資金繰りに困らない?

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2015/08/20
院長先生が所得補償の生命保険に加入していると、資金繰りに困らない?

院長先生が所得補償の生命保険に加入していると、資金繰りに困らない?

医院経営や病院経営を行っている院長先生が、病気になることもあり得ます。
病気は突然、発病するので、仕方がないことですが、働けなくなると、妻や子供の生活が困窮してしまいます。

健康で働けているうちに、保険に加入しておくことで、将来の不安を取り除くことができます。
病気の手術代や入院費を受け取れる、生命保険もありますが、それ以外に、「所得補償保険」、「収入保障保険」という2つの保険があります。

名前は似ていますが、機能は、まったく違います。

所得補償保険とは、医療法人の理事や個人事業主の院長先生が、病気やケガで、仕事ができなくなった場合に、減ってしまう報酬を補てんしてくれる保険になります。
一方、収入保障保険とは、医療法人の理事や個人事業主の院長先生が、死亡または高度障害になった場合に、残された家族の生活費を補てんしてくれる保険になります。

もう少し、詳しく具体的に見ていきましょう。

1.所得補償保険について

病気になって働けないと、公的な所得補償の制度にも申請できます。

所得補償保険について

医療法人の理事長が報酬をもらっていて、そこから社会保険料を支払っていれば、病気で働けなくなった日から、最長で1年6ヶ月の間は、最大で、標準報酬日額の3分の2の疾病手当をもらうことができます。

標準報酬日額は、社会保険料の計算をするときに金額であるため、上限が設定されています。
そのため、理事長の報酬が高額であれば、その3分の2を補てんしてくれるわけではなく、かなり低い金額が支払われることになります。
さらに、1年6ヶ月のあとは、年金をもらう年齢までの空白期間を補てんしてくれる公的な保証はありません。

そこで、所得補償保険に加入しておくことで、減ってしまった報酬を、病気が治る、もしくは年金もらえる時期まで、補てんさせることができます。

所得補償保険を使って受け取る保険金は、「身体の損害に基因して、支払を受ける保険金」に該当するため、所得税はかかりません。

所得補償保険には、短期間だけ補てんするもの、長期間の補てんをしてくれるもの、補てん金額も、最大で報酬の3分の2となりますが、もっと低く設定することもできます。
当然ですが、長期間の補てんをしてくれるほど、補てんの金額が大きくなるほど、掛ける保険料は高くなります。

このとき、医療法人と個人事業主では、税金の取扱いが変わってきます。

契約者

被保険者

受取人

税金

個人事業主の院長

個人事業主の院長

個人事業主の院長

経費にならない
生命保険料控除のみ

個人事業主の院長

生計別(財布が別)の子供

生計別(財布が別)の子供

経費にはなる
給料として所得税がかかる

個人事業主の院長

全ての看護師や社員

全ての看護師や社員

福利厚生費という経費

個人事業主の院長

看護師や社員

個人事業主の院長

福利厚生費という経費

医療法人

理事である院長、妻

理事である院長、妻

経費にはなる
給料として所得税がかかる

医療法人

全ての理事や看護師

全ての理事や看護師

福利厚生費という経費

医療法人

全ての看護師や社員

医療法人

福利厚生費という経費

所得補償保険に加入するときに、一番税務上の処理に迷うのが、契約者が「医療法人」、被保険者が「全ての理事や看護師」、受取人が「全ての理事や看護師」というケースです。
この「全ての理事や看護師」の定義ですが、下記の2つを満たす必要があります。

(1)一定の基準は作ってもよい

全ての理事や看護師が加入していない場合には、その報酬や給料とみなされてしまい、法人税としては経費になりますが、所得税がかかってしまいます。
それでも、看護師や社員が入社してきて、その1日目から、所得補償保険に加入させるのは、あまり現実的ではありません。

入退者が多い医院や病院では、手続きも煩雑になってしまうでしょう。

そこで、入社2年目以降など、一定の条件を付けて、加入させていれば、「全ての理事や看護師」という要件を満たすことになります。
ただ、マネージャー以上、理事以上だけなど、役職で区切ってはいけません。

(2)保険の条件

全ての理事と看護師が同じ条件で加入することも必要です。
理事長だけ、他の理事や看護師と全く条件が違ってくると、それは、特別とみなされて、役員報酬とみなされてしまいます。

もちろん、理事長の方が、看護師と比べると、報酬が高く、それに応じて保険料が高くなるのは、仕方がありませんが、それ以外の条件は同じにしましょう。

 

なお、この所得補償保険は、損害保険会社が販売している商品となります。
生命保険会社では、就業不能保険という別の名前で、販売していますが、内容はほぼ同じです。

また、疾病手当をもらっている間に、所得補償保険も受け取れるのかという質問を受けますが、公的な保険と民間の保険はリンクしていないので、同時に請求できます。

 

2.収入保障保険について

収入保障保険とは、院長先生が被保険者となり、死亡や高度障害になった場合に、残された妻や子供が、保険契約で定められた期間の満了まで、毎月もしくは一時金で保険金を受け取ることができる商品です。

この保険は、院長先生の個人事業主としての利益や医療法人からの報酬を補てんするという意味ではなく、妻や子供の生活費として、いくらの保障額を設定しておくべきかを、自分で決めます。

しかも、あくまで、妻や子供の生活費を保障するということなので、院長先生が死亡や高度障害になった時期が遅くなれば、それだけ、保障額が減っていきます。

収入保障保険について

上図のように、60歳を満期に設定していれば、55歳前後で、死亡や高度障害になったら、保障される時期は少なくなり、結果的に保障額が減るという意味なのです。

これにより、収入保障保険の保険料は、所得補償保険に比べると、通常は割安になります。

 

例えば、院長先生が40歳で亡くなった場合には、60歳まで、20年間あるので、その間、毎月30万円の保険金を、妻が受け取ることになります。

保障額 : 30万円 × 12ヶ月 × 20年間 = 7200万円

院長先生が、55歳で亡くなった場合には、60歳まで、5年間しかないのですが、妻が受け取ることができる保険金は、同じように、毎月30万円となります。

保障額 : 30万円 × 12ヶ月 × 5年間 = 1800万円

院長先生が、いつ亡くなったり、高度障害になったとしても、毎月、妻がもらえる保険金は同額なのです。
もし、院長先生として、この保障額が少なすぎると感じるのであれば、亡くなったら保険金がもらえる、掛け捨ての定期保険に併せて加入しておくとよいでしょう。

この収入保障保険は、生命保険会社が販売している商品となります。

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