銀行と取引するときには、コツがあるので、知っておくと便利。

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2016/02/10
銀行と取引するときには、コツがあるので、知っておくと便利。

銀行と取引するときには、コツがあるので、知っておくと便利。

医院経営や病院経営は、建物、内装、医療機器など設備投資を行います。また、保険診療は、請求して2ヶ月後に入金されるため、その手前で、医師や看護師の給料、水道光熱費、賃料を支払う必要があります。さらに、看護師や受付の社員の賞与を支払う時期になると、一時的に多くの資金を用意しなければいけません。

これらを自己資金だけで賄うのは、到底できるはずもなく、親族にお金持ちがいないかぎり、銀行からお金を借りるのが、一般的です。

それでも、院長先生から、銀行に対する悪口を聞くこともあります。

例えば、医院や病院の業績がそれほどよくないときに、院長先生が銀行の担当者と話をしたところ、

「銀行が昔の高い金利のままで、どうやっても、低い金利に下げてくれない」
「診療報酬が改訂されたことで、一時的に医院の資金繰りが苦しくなったので、相談したのに、ムゲに断られた」
「介護施設を建設したが、稼働率が80%にならないと、追加融資はできないと断られた」

というものです。

一方で、医院や病院の業績がよいときには、

「付き合いで良いので、少しでも借りてくれませんか」
「うちの銀行ならば、今の銀行の借入金を、安い金利ですべて借り換えができますよ」
「新しい介護施設を建設しませんか。そのために必要なお金は貸します」

と積極的に、営業をしてきます。

このように、医院経営や病院経営が苦しいときには、お金を貸してくれず、楽になったときに、お金を貸してくれるのでは、意味がないと、院長先生は怒っているのです。

ただ、銀行として、「医院や病院にお金を貸したくない」とは考えておらず、不快な気持ちにさせるつもりもないはずです。それなのに、関係が悪化してしまうのは、お互いの理解が不足しているからだと予想されます。

そこで、医院や病院側の意見ではなく、お金を貸す銀行側の事情を知っておきましょう。

  • 銀行は医院や病院にお金を貸したら、その金利が売上となります。
  • 一定期間は、元本の返済を据え置くことがありますが、原則、医院や病院からは、金利と一緒に元本を返済してもらいます。
  • 銀行は、事業の利益から、金利と元本を滞りなく、返済してくれる取引先を探します。このとき、大切なのは、お金を借りる側である医院や病院の事業計画書(収支計画書、返済計画書とも呼ばれます)の内容です。ただ、事業計画書は将来の予測なので、それを裏付ける過去の決算書もチェックすることになります。
  • 銀行は、事業計画書だけでは不安なので、もし返済ができない場合でも、資産を売却するなどして、損失を補てんできる余力があるかを確認します。これにより、院長先生に連帯保証人になってもらったり、医院や病院の建物や土地に抵当権を設定するのです。
  • 銀行の担当者が、支店長や審査部に医院や病院の概要、事業計画書、担保価値の情報を提出して、稟議をもらって、融資を実行します。

これが一連の流れになるのですが、医院経営や病院経営は、いつでも順風満帆ではありません。医業収益や利益が下がることもあります。

このときこそ、銀行からお金を借りたいはずですが、実は、銀行は金融庁が発表している金融検査マニュアルというものに、縛られています。
そこには、「債務者区分」という表があります。

銀行と取引するときには、コツがあるので、知っておくと便利。

 

通常、医院や病院が患者からもらう3割の自己負担は、窓口で現金やクレジットカードで精算します。それでも、ときどき、持ち合わせがなく、あとで請求することもあるのですが、支払わない患者もいます。何度も請求して、相手が支払えないと確定した段階で、回収できない債権として、貸倒れという処理を行います。

 

銀行も同じように、回収できない債権は貸倒れの処理を行うのですが、そのタイミングが早いのです。

 

上記のうち、債務者区分で正常先でなければ、一定の金額で貸倒れの処理を行うことが義務付けられているのです。もちろん、要注意先で、全額の貸倒れの処理は行わず、要管理先、破綻懸念先などと下に下がるにつれて、貸倒れを処理する金額は増えていきます。

 

特に、要注意先になることと、要管理先になることで、かなり貸倒れの率が違ってきます。

 

それでも、融資された医院や病院側としては、まだ十分に、返済する気持ちがあったとしても、将来、全額、返済できる可能性があったとしても、当初に借りた時の契約条件を破り、返済が滞ったときに、銀行としては貸倒れ処理を行います。貸倒れは、銀行の損失になるので、これが増えれば赤字となり、融資そのものが制限されてしまいます。

とすれば、原則、医院や病院の業績が悪いときには追加で融資は行わず、業績が良くなると融資の営業に来るというスタンスは、金融検査マニュアルがあるかぎり、変わりません。それでも、これらの銀行の事情を理解すれば、医院経営や病院経営が悪化したときに、どのように銀行と交渉をしていけばよいのかというヒントは考えつきます。

 

1.医院経営や病院経営の情報をごまかさない

院長先生としては意図していなかったとしても、結果的に、業績の悪化を誤魔化すことになると、銀行の信頼を失ってしまいます。そうなると、銀行としては、追加融資どころか、現在の貸付を回収しようと動きます。
通常、銀行には債権回収だけを目的にした関連会社があり、そこに債権を売却されてしまうと、交渉できなくなってしまいます。

逆に、医院経営や病院経営が悪化したときこそ、返済が滞る前に、早急に銀行に報告すれば、一緒になって考えてくれるはずです。

まだ、債務者区分が要注意先であれば、要管理先にしないことが、銀行にとってもメリットがあるからです。

もし元本の返済を一時的に止めて、金利だけを支払う要管理先になったとしても、そのあと、正常の返済ができるようになり、要注意先に戻ることが大切なのです。

 

2.業績悪化が短期であることを主張する

銀行の担当者は、医院経営や病院経営を行っているわけではなく、融資している先も、さまざまな業種があるため、医療業界を深く理解している訳ではありません。そのため、業績悪化が短期的だと主張しても、その明白な理由がなければ、信用してくれません。

このとき、院長先生が「なんて、バカな担当者なんだ」「そんなことも、知らないのか」と怒れば、銀行の心証を悪くするだけです。そこは、理解できるように、何度も説明してもらうことが大切です。
結果的に、債務者区分が要管理先で留まれる、そこに戻ってくるという確証を、銀行の支店長や審査部が納得すれば、ずっと良好な関係が築けるのです。

それには、そこに報告する担当者に分かってもらう必要があります。

 

3.実現性の高い事業計画書を作成する

医院や病院は、融資のときだけではなく、業績が悪化したときには、将来の事業計画書を作成して、今後の返済計画を銀行に示します。このとき、事業計画書をいい加減に作ると、あとが大変です。その後の実績が、事業計画書の数字を達成していないと、その原因と今後の事業計画書を再度、作り直す必要があります。

原則として、3年間、ずっと事業計画書の数字を達成できないと、要注意先から破綻懸念先に落ちてしまい、銀行は交渉に応じなくなり、回収を始めます。

すでに、ほぼ全額の貸倒れを行っているはずなので、銀行としては、回収できないことを前提に動くのです。

なお、不安だからと言って、事業計画書を保守的に作成しすぎると、借入金を返済できないことにもなります。最長でも20年では返済しないと、銀行として、そもそも受け入れられません。

 

以上の3つによって、銀行との話し合いが上手くいき、借入金の返済の猶予や追加の融資を引き出すことができるはずです。

それでも、絶対に大丈夫というわけではありません。
そこで、保険として、他の資金調達の方法も探っておきましょう。

すぐにできるのが、不動産の売却と診療報酬債権の流動化です。
まず、医院や病院が、建物や土地を保有しているのであれば、それを売却してリースバックを受けるのです。毎月の賃料が発生しますが、一時的にお金が入れば、医療機器や電子カルテへの投資や運転資金に回せます。
ただ、銀行が抵当権を設定している場合がほとんどのはずです。不動産の登記簿謄本を確認すれば、いくらの融資に対しての抵当権なのか、すぐに分かります。
この金額以上で売却できない場合には、自己資金としては残らないので、お勧めしません。

次に、診療報酬債権の流動化とは、将来、確実に入ってくる保険診療の債権を、毎月、売却することです。
こちらは、ビジネスとして市場が確立しているので、すぐに買い手を見つけることができるはずです。

すでに、不動産も診療報酬債権も売却したという医院や病院があれば、増資を考えましょう。

 

医療法人に出資できるのは、
個人だけではなく、法人も可能です。

 

出資した法人には、議決権がありませんが、それによって医院や病院との取引ができ、自分のビジネスの売上が上がれば、よいはずです。

 

これらの他の方法を実行するにしても、銀行へは事前に、話をすることが大切です。
医院経営や病院経営を行う上で、銀行との関係を良好にしておくことが、絶対なのです。

 

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