銀行からの借入金は、金利ではなく、返済期間が一番のキーポイント

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2013/08/20
銀行からの借入金は、金利ではなく、返済期間が一番のキーポイント

前回では、減価償却費が小さいと見た目の利益だけが大きくなり、税金が高くなり、資金繰りが不利になるという話をしました。

減価償却費が小さいことで、利益が出て大きく儲かっているように見える医院や病院が、実は資金繰りには苦しかったということがよくあります。

医院経営や病院経営では、税金も支払った最終的な手取りを使って、銀行への借金の返済、そして建物の大規模修繕、医療機器の再投資を行っていくのです。

そのため、キャッシュフローが大きくないと、医院経営や病院経営は成り立たないのです。
前回の説明で分かったと思いますが、キャッシュフローとは、利益のことではありません。

今回は、減価償却費を使って、資金繰りを改善する方法まで考えてみましょう。

 

医院経営や病院経営では、ほとんどの場合、銀行からお金を借りています。
医院や病院は、設備投資の金額が大きくなりがちというだけではなく、銀行も優良な貸付先と考えているため、営業に来ることが多いのです。

しかも、医院や病院に対する貸付の金利は、かなり低く、優遇されることも多いため、これならば、借りてもよいかと院長先生も思ってしまうのです。

ところが、銀行からの借入金の返済期間は、それほど長くはありません。
そもそも、銀行は個人に対しては、最長で35年間という返済期間を設定することもできます。
住宅ローンの返済期間などは、平均で30年間となっています。

一方、銀行が会社に貸し付けるときには、長期としても5年から10年です。
それでも、医院経営や病院経営は、かなり業種的には優良と考えられているため、15年という返済期間を設定してくれることもあります。

また、医院や病院を一戸建てで開業するときには、建物や土地に担保価値があるということで、30年の返済期間が設定してくれることもあります。

 

ここで、あなたが1億円で一戸建てを建てて、医院開業したとします。
土地は、もともと親が持っていたとしましょう。
建物の減価償却方法は定額法でした。
耐用年数は・・・病院用の建物ならば、重量鉄骨で29年にもなります。

もし住宅部分があるとすれば、34年になってしまいます。
構造が鉄骨ではなく、RCであれば、もっと耐用年数は長く、木造であれば、耐用年数は短くなります。

ただ、一戸建てで医院開業するときには、鉄骨が多いので、ここでも鉄骨と仮定します。
医院経営や病院経営の運転資金は自己資金でまかなうとして、建物は、すべて銀行から借りました。

返済期間は、短めですが10年間とします。
単純に比較しやすいように、元利均等返済ではなく、元金均等返済だとすれば、1年間に1000万円を返済していくことになります。

銀行の借入金は返済期間がキーポイント

上記の経費の中には、銀行への金利が含まれています。

あなたは気づいたかもしれませんが、銀行へ支払う金利は経費になりますが、元本返済は経費にならないのです。

税引後の利益で、2200万円になっていますが、実際の手取りであるキャッシュフローは1550万円です。
これが院長先生の給料で取れる最大値となります。

まぁ、これならば医院経営や病院経営は、それほど資金繰りが大変じゃないのでは?とあなたは思うかもしれません。
ただ、経費や銀行への返済は固定費なのです。

つまり、医業収益が下がっても、看護師やスタッフは雇い続けますし、銀行への返済は必要です。

先ほどの事例から、医業収益を10%程度、下げてみましょう。

銀行の借入金は返済期間がキーポイント

さらに、医業収益が20%程度、下がったと仮定してみましょう。

銀行の借入金は返済期間がキーポイント

どうでしょうか?

医院経営や病院経営を行っていて、医業収益が20%以上もぶれてしまうことは、ありません。実際に、私が顧問をやらせていただいている医院や病院で、突発的な医療事故や建物の建て替えなどを行う以外で、これほど大きく変動することはありません。

ただ、医療改革で診療報酬の点数が下げられ続けると、数年間を経て、医業収益が20%以上も下がってしまうこともありえます。

私の会計事務所に、ご相談に来られる医院や病院の院長先生から、20年前の決算書を見せてもらうこともあります。そのとき、医業収益に注目すると、平均で10%以上は下がっていますし、20%以上も下がっている事例もありました。

今後10年間の医療改革は、今まで以上に、診療報酬が下げられてしまう傾向にあります。
だからこそ、介護事業に参入して多角化を考えたり、個人医院でも64列のCTスキャンやMRIを買って、差別化を図っている医院や病院が増えたのです。

あなたも、多角化や差別化を考えることは大切です。

 

ただそこまで大がかりなことではなく、下記のちょっとしたテクニックを使うだけで、医院経営や病院経営の資金繰りを改善できます。

【1】銀行への返済期間を長くする

【2】固定資産の耐用年数を短くする

まず、銀行の返済期間を長くできれば、税金を支払ったあとの利益から返済するお金が少なくなります。減価償却費で貯まったお金で返済ができるということです。

この利益はすべて院長先生やその親族に支払ってしまえば、医院経営や病院経営で支払う税金はゼロになります。
全額を給料として支払わなくても、医院や病院で生命保険に加入したり、それ以外の節税対策を行うこともできます。

医院経営や病院経営の資金繰りが楽になれば、このあとの医療機器を自己資金で買うことができ、どんどん改善していきます。

あなたは、銀行への返済期間が長いということは、支払う金利が増えてしまうのでは? と思うかもしれませんが、そもそも、医院や病院に銀行が貸すときの利率は1%程度です。
1億円借りても、1年間で100万円です。

元本返済が進めば、この金利はドンドン安くなりますし、そもそも経費として認められるので、節税できている約40%が得していると考えれば、医院や病院の負担は最大で60万円です。

この金額で、医院経営や病院経営の資金繰りが悪化するわけがありません。

 

院長先生の中には、銀行からお金を借りるときに、いつでも金利を安くする交渉ばかりを行って、返済期間の交渉をしない方もいます。

自分が買う医療機器、もしくは建物付属設備の耐用年数をよく見て、それと同じぐらいの返済期間に伸ばしてもらう交渉の方が大切なのです。

建物は税法で設定されている耐用年数が長いので、そこまで返済期間を伸ばすことは難しいかもしれませんが、20年間ぐらいの返済期間であれば、交渉は可能なはずです。

銀行としても、受け取れる金利が増えるので、返済期間を伸ばすことは、金利を安くするよりも、承諾しやすいのです。

なお、もうひとつの固定資産の耐用年数を短くするというのは、次回、説明します。

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