診療報酬の債権を売却して、資金調達する方法が流行ってると聞きましたが、本当ですか?

住所
医療関連のコンサルティング
医院経営/病院経営コンサルティング > 資金調達により医院・病院の資金繰りを改善する > 診療報酬の債権を売却して、資金調達する方法が流行ってると聞きましたが、本当ですか?
2012/05/01
診療報酬の債権を売却して、資金調達する方法が流行ってると聞きましたが、本当ですか?

「診療報酬債権の流動化」という言葉を聞いたことありますか?
いったい、どうゆう意味なのでしょうか?

会社は当座預金を作り、手形を発行します。すると、決算書には、受取手形と支払手形が計上されます。

例えば、取引先が発行した額面が1000万円で、10回払いの受取手形をもらった場合には、1回100万円ずつ、月末に入金されていきます。
10ヶ月経つと、やっと、1000万円が手に入ります。

ただ、会社として、1000万円を今すぐ欲しいということもあります。
そのときには、銀行に、この受取手形を持ち込むのです。

すると、銀行から、950万円でこれを買い取ると打診されます。

この条件を飲めば、会社は、50万円を損しますが、すぐに950万円を受け取れます。
銀行は50万円を得しますが、1000万円は、10ヶ月しないと全額回収できません。

それぞれの立場で考えてみましょう。

【1】会社側

会社は資金繰りに苦しいから、こんなことをするのでしょうか?
それも考えられますが、それだけではありません。

1000万円に対して、手数料が50万円とすれば、年利で言えば、6%です。
(10ヶ月で5%なので)

つまり、自分の事業が6%以上の利益が出るならば、この受取手形など、ドンドン、銀行に持ち込み、事業に投資した方が儲かります。

それならば、6%以下で、銀行からお金を借りればよいのでは?と思うかもしれませんが、審査があったり、面倒な手続きも必要です。

受取手形であれば、自分の会社の財務体質とは関係なく、その振り出した会社の与信だけで、銀行は買い取ってくれるのです。

【2】銀行側

銀行は、50万円を得しますが、10ヶ月以内に受取手形を発行した会社が倒産すると、回収できなくなるため、損をします。

この受取手形は、1ヶ月100万円の支払いなので、1回でも支払ってくれないと損をすることになります。

ただ、ここで注意すべきことは、受取手形を持ち込んだ会社の財務体質は、買い取りの意思決定とはまったく関係ないことです。

あくまで、手形を発行している会社の与信だけに注意すればよいのです。

 医院や病院が行なう「診療報酬債権の流動化」とは、これと全く同じなのです。

ただ、少しだけ、違うことがあります。

それは、医院や病院が持つ診療報酬債権は、

(1)2ヵ月後に一括で入金される
(社保と国保は別々に入金される)

(2)回収できないことはない(貸し倒れることはない)

(3)医院経営や病院経営で発生する
診療報酬債権は、毎月、ほぼ一定

ということです。

そもそも、診療報酬債権に見合うお金を入金してくれるのは、社会保険であれば、社会保険診療報酬支払基金です。つまり、国ですよね。これは、国保でも同じで、国が支払ってくれると考えてよいでしょう。

とすれば、入金は2ヵ月後ですが、診療報酬自体が回収できない可能性はほぼゼロです。

ただ、現在は、医院経営や病院経営で頭を悩ませる問題でもありますが、審査があります。それにより、請求した金額が減額されて、少ない金額が振り込まれることがほとんどです。

そのため、1000万円の診療報酬債権があったとしても、その医院や病院の実績や審査の担当者にもよりますが、980万円ぐらいの入金だと考えてみましょう。

それ以外の心配はありません。

先ほどの会社が、受取手形を銀行に買い取ってもらうときに、年利6%で承諾した理由はなんだと思いますか?

10ヶ月間も待たなくては、1000万円が振り込まれないこと、そして、受取手形を発行した会社が倒産する確率から、決定されるのです。

倒産しそうな会社が発行した受取手形の場合、40%でしか買い取らない、つまり、1000万円の額面に対して、400万円にしかならないということもあります。

一方、医院や病院が保有する診療報酬債権は、
2ヵ月後に、確実に振り込まれます。

しかも、もし医院や病院自体の経営が、その2ヶ月間で急激に悪化したとしても、診療報酬債権自体には、問題ありません。

そのため、医院や病院が、この診療報酬債権を第三者に売却するという方法、これを「診療報酬債権の流動化」と呼ぶのですが、ずっと行なわれてきたのです。

もっともよく使われるスキームが、下記になります。

診療報酬の債権を売却して、資金調達する方法が流行ってると聞きましたが、本当ですか?

受取手形を銀行が買取るケースと違うのは、投資家がこの「診療報酬債権の流動化」に投資することがあるのです。

なぜかと言えば、この理由が、上記の診療報酬債権の特徴である(2)と(3)にあります。

まず、(2)ですが、受取手形の場合、発行する会社の信用を判定しなければいけません。もし投資家に、これを販売するならば、その時々で、判定が必要となります。

有名な会社だからと言って、倒産しないという保証はありません。その調査に時間がかかったり、費用がかかったりして、割に合わないことも多いのです。

そのため、ある程度のリスクをすでに調査していて、そのデータベースを持ち、判断できる銀行だからこそ買い取れるのです。

ところが、診療報酬債権は、国が支払うので、その信用調査が必要ありません。そのため、いちいち、投資家にやるかどうか聞く必要がありません。「診療報酬債権へ投資してもOKだ」という承諾さえ取っていれば、それ以上の情報は必要ありません。

さらに、(3)の性質によって、買取金額が読みやすいのです。

もちろん、医院経営や病院経営が傾いていて、医業収益が下がっている場合もありますが、一気に半分になるということはありません。

診療科目にもよりますが、既存の患者や入院患者がいる場合、ほぼ、現状維持ということが多いのです。

そのため、投資家に金額を増額、または減額してもらう必要がなく、新しい医院や病院から診療報酬を買い取ることが決まった場合や、今の医院や病院からもう診療報酬債権の流動化は止めるという打診を受けた場合にだけ、大きく金額が変動することになります。

このように、「診療報酬債権の流動化」は、銀行だけではなく、一般の投資家も参入している分野であり、広く知られるようになっています。

もし、あなたの医院経営や病院経営で、新しく医療機器を購入するために、病棟を追加で建設するために、まとまった資金調達をしたいならば、この方法も考えてみてはどうでしょうか?

今は、「診療報酬債権の流動化」の投資家には、上場企業も参入したことで、競争原理が働き、医院や病院が支払うべき手数料が劇的に下がっています。

昔、提案されたけど、あまりに医院や病院の取り分が少ないと思った院長でも、もう一度、考えてみてはどうでしょうか。

facebook
twitter
google+