医院や病院で減価償却費を上手に使うと、すごく資金繰りが改善できる

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2013/08/10
医院や病院で減価償却費を上手に使うと、すごく資金繰りが改善できる

あなたが医院経営や病院経営を行っているならば、減価償却費という言葉を聞いたことがあるかもしれません。それでも、実際に会計や税金にどのようなインパクトを与えているのかまでは知らないかもしれません。

この減価償却費という制度は、毎年のように法律改正されているため、専門家でも理解できていない人がいるぐらいなのです。

ただ減価償却費という制度を理解して、上手に使えれば、医院経営や病院経営の資金繰りを改善させることができるのです。

というのも、医院経営や病院経営では、設備投資の金額が他の業種に比べても、突出して大きくなります。

建物を賃貸して医院開業するときに、診察室や待合室の内装、看板などの外装を作り込み、医療機器やレセプトコンピューターも導入して、院長先生1人で、あとは看護師などのスタッフだけであっても、かなりの設備投資の金額になります。

さらに郊外になれば、建物は賃貸ではなく、自分で土地を買って一戸建てを建てる院長先生も少なくありません。普通に一戸建てを建てるわけではなく、医院や病院用に設計して建てるのは、かなりのコスト高になります。

これらを固定資産と呼びますが、すべて減価償却費によって、医院や病院の経費になるのです。

【1】減価償却費の基本的な知識

あなたが、医院経営や病院経営を始めるために、医療機器を1億円で買うとします。
同じ年度に、あなたの医院や病院の医業収益が1億円ならば、利益はどのように計算すると思いますか?

1億円の医業収益に対して、医療機器の1億円が経費になれば、利益はゼロ円です。それどころか、薬品の仕入れ、看護師の人件費や賃料があるので、マイナスになるはずです。
この計算方法は、正しいのでしょうか?

もちろん、間違っています。
医療機器は減価償却という計算方法によって、毎年、少しずつ経費にしなくてはいけないのです。

下記の2つの表を見比べてください。
なお、税金は医院経営や病院経営が、個人医院で所得税であっても、医療法人で法人税であっても約40%として計算しています。

 医院や病院で減価償却費を上手に使うと、すごく資金繰りが改善できる

あなたは、医院や病院の税金がゼロ円になる、左側の方がよいと考えるかもしれません。

先ほども言いましたが、「少しずつ経費にしなくてはいけない」ということで、強制的に、右側の方法で医院経営や病院経営の利益は計算されてしまうのです。

なぜか?

答えは簡単です。

あなたが1億円を持っていたら医療機器を買うことができます。
ところが、お金がなかったら、どうしますか?
銀行からお金を借りてくる、もしくは医療機器をリースするという方法を採用するでしょう。

リースとは、医療機器を借りて、その賃借料(リース料)を毎年、支払うというものです。
医院や病院の建物の賃料と同じで、経費になります。
ただ、1年間で1億円のリース料ではなく、分割して支払っていくのです。

ということは、1億円で医療機器を買えた院長先生と医療機器をリースした院長先生で、利益がまったく違ってしまったら、税金を計算する上で公平ではありません。
買った年の税金を支払う必要がない医院や病院の方が、有利になってしまいます。

そこで、医療機器を減価償却して経費にすることにすれば、同じ医院経営や病院経営を行っているかぎり、同じ利益と同じ税金が計算されることになります。

銀行などの第三者からも、医療機器を使って医業収益を稼いでいるのであれば、それに対応した減価償却費を計上しなければ、決算書で正確な利益を判断できないと考えています。

【2】キャッシュフローを計算してみよう

あなたが1億円の医療機器を買った場合、4年間で減価償却する場合と、10年間で減価償却する場合を比べてみましょう。

減価償却の方法は、定額法、定率法、生産高比例法、取替法など、さまざまありますが、ここでは単純に、減価償却する年数で割る定額法で考えみます。
なお、減価償却する年数のこと、つまり医療機器を使える年数のことを「耐用年数」と呼んでいます。

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どうですか?

医院経営や病院経営では、利益が多く出ている方がキャッシュフローが少ない、つまり資金繰りがよいわけではないのです。

設備投資が大きくなる医院経営や病院経営では、減価償却費が大きい方が得なのです。

それでは、この耐用年数はどのように決められるのでしょうか?
あなたが自由に決めてよいならば、やはり税金の計算上、公平になりません。

そこで、税法で固定資産の種類によって、耐用年数を決めているのです。
詳細な耐用年数は、国税庁のホームページに載っています。

【3】計算方法の種類は?

先ほどは定額法で計算しましたが、減価償却費の計算方法は1つではありませんでした。
ただ医院経営や病院経営に関係するものは、定額法と定率法の2つを覚えておけばよいでしょう。

  • 定額法 = 固定資産 × 償却率
  • 定率法 = 固定資産の未償却残高 × 償却率 × 2倍
  • 償却率 = 1 ÷ 耐用年数

計算式ですと、よく分かりませんよね。
具体的に計算してみましょう。
1億円の医療機器を買ったら、その耐用年数が10年だったとします。

  • 耐用年数 = 1 ÷ 10 = 0.1
  • 定額法 = 1億円 × 0.1 = 1000万円

定額法では、毎年、同じ減価償却費の金額が計上されていきます。

  • 耐用年数 = 1 ÷ 10 = 0.1
  • 定率法1年目 = 1億円 × 0.1 × 2倍 = 2000万円
  • 定率法2年目 = 8000万円 × 0.1 × 2倍 = 1600万円

定率法では、毎年、少しずつ減価償却費の金額が減っていくことになります。

ただ、定率法の方が、明らかに先に大きな減価償却費を計上できるので、医院経営や病院経営にとっては得です。
それならば、医院経営や病院経営では、いつでも定率法を採用すればよいのでは? とあなたは思いますよね。

ただ、税法では、建物は定額法、それ以外は定率法を採用できるとなっているのです。

つまり、建物は強制的に定額法で計算されてしまい、減価償却費が少なくなり、つまり見た目の利益が大きくなって、税金が高くなり、医院経営や病院経営の資金繰りを圧迫するのです。

ここで建物とは、建物付属設備を含みません。
建物は定額法ですが、建物付属設備は定率法で減価償却することができます。
しかも、建物であれば、30年以上の耐用年数になりますが、建物付属設備であれば、最長で15年間、短いものは3年間でよいのです。

一戸建てで医院開業するときには、建てるためにかかったコストをすべて「建物」という固定資産にする方が、確かに計算は簡単です。

ただ、それでは全額が建物として、耐用年数も長く、しかも定額法で減価償却をすることになってしまいます。エレベーターや空調設備はもちろんのこと、ガス給排水、間仕切り、日よけまで細かく区分して、建物付属設備として計上しましょう。

それぞれの耐用年数で、一番得になる、つまり短いものを使うことで、医院経営や病院経営の資金繰りを改善できます。

また、土地は消費しないので、減価償却費という考え方がありません。
高額な土地を買って、医院経営や病院経営を行うときには不利になるので、お勧めできません。

減価償却費の提案は、これだけではありません。
続きは次回、お話しします。

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