医師会への入会金、医師会館の建設負担金は、経費にしてよいのか?

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2013/01/16
医師会への入会金、医師会館の建設負担金は、経費にしてよいのか?

医師会への入会金、医師会館の建設負担金は、経費にしてよいのか?医院経営や病院経営を行っていると、窓口収入は現金でもらったので売上、保険診療収入も2ヶ月後に入金される金額は確定するので、売上になるというのは理解できると思います。

一方、支払ったもの、例えば、レセプトで使うコピー用紙から院長先生が飲むコーヒーまで、これらは経費になると考えるはずです。

ところが、売上とは違い、支払ったものは、全てが経費として認められるわけではないのです。

これは、個人医院でも、医療法人でも同じです。
ではなぜ、支払ったものが経費にならないのでしょうか?

あなたが、今年、個人医院で開業したとします。
医院の内装、駐車場の設備、医療機器、コピー機やパソコン、レセコンなどの事務機器などで、5000万円をかけたとします。

それ以外にも、待合室のソファや机などの家具を買い、パンフレットも作りました。開業直前には、内覧会を行い、新聞の折込チラシをまき、駅には広告を出して、大きな看板も作りました。

さらにスタッフを雇うために、求人広告費用も何度も出したことで、合計で初期費用が2000万円かかりました。
医業収益は、開業の初年度はそれほど上がらず、しかも5月に開業したので1年間もなく、12月までの8か月間で2000万円になったとします。

医業収益

2000万円

設備投資

5000万円

経費

2000万円

給料

1000万円

損失

▲6000万円

初年度は、大赤字で-6000万円になりました。

翌年は2年目で患者も増えて、1年間フルに医院を稼働できたので、医業収益は4000万円を達成できました。それに比例して、経費も1年分となりました。(開業費用はかかりませんでしたが)給料も1年間分となり、かつ少し上げたことで2000万円を使ったとします。

医業収益

4000万円

経費

2000万円

給料

2000万円

損失

0円

2年目も利益は発生しませんでした。

3年目は、医院経営や病院経営が軌道に乗り、口コミの患者もかなり増えて、医業収益は8000万円を達成できました。
ただスタッフを増員したことで、給料は3000万円を使ったとします。

医業収益

8000万円

経費

3000万円

給料

3000万円

利益

2000万円

1年目の損失

▲6000万円

個人医院の場合、赤字になったら、それは翌年以降3年間の利益と通算できます。
そのため、3年目に2000万円の利益が出ても、1年目の損失と通算するとマイナスになるため、所得税はかからないことになります。

4年目、ここでついに、医業収益は1億円を突破しました。

医業収益

1億円

経費

3000万円

給料

3000万円

利益

4000万円

1年目の損失

▲4000万円

3年目で1年目の損失の一部を使ったので、4000万円しか残っていませんでしたが、結果的にこの年も通算すると利益はゼロになり、所得税はゼロになってしまいます。
どうですか? これって、正しい利益の計算方法だと思いますか?

もちろん、間違っています。
どこが?

それは、1年目にいきなり設備投資の5000万円を経費として処理したところです。

「でも、お金を実際に支払ったのだから・・・」と主張するかもしれません。
最初に言ったとおり、お金を支払っても、すべてが経費になるわけではないのです。

理由は、医院の内装や医療機器、事務機器は、医業収益を上げるために使われるものです。
そのため、医業収益に対応させて、経費を計上するのがスジというわけです。

医院の内装や医療機器、事務機器は減価償却費と呼ばれる方法で、数年間から数十年間にわたって、経費になります。

「じゃ、何年間で償却するかというのは、誰が決めるのか?」
と思うかもしれませんが、税法で決められているのです。

医院の内装や医療機器、事務機器の種類によって、細かく決められています。
自分で自由に決定できたら、先ほどと同じように経費を最初に、できるだけ多く出して、所得税を支払わないようにできてしまいます。

ここで重要なことは、その資産、例えば医療機器が実際に使える期間が5年であったとしても、税法で8年と決められていたら、8年に渡って償却することになるのです。

逆に、税法で4年と決められていて、実際に使える5年よりも短くなっていることもあります。
つまり、実際に使える期間と税法で決められた期間は、まったく違うということです。
その医療機器の使い方、患者のために使う頻度、保守状況によって機器の寿命は変わってきます。そこまで、個別に対応はしないということなのです。

ここで、もう一度、疑問がわきませんか?

院長先生が使っているボールペンやパソコンなどは、どうなるのでしょうか?
医療機器でも安いものから、高いものまであります。

税法でも、安いものまで減価償却すると煩雑になりすぎるので、10万円以上のものは減価償却しなければいけないと決めたのです。ただし、現在は特例で個人医院であれば、30万円未満の資産は、その年の経費にしてよいことになっています。

だから、ボールペンはもちろん、パソコンも含めて医院の内装や医療機器以外は、その年の経費になるはずです。
ただ、これは見える資産についてです。

実は、税法では、「見えない資産についても、減価償却しろ」と決めているのです。

個人医院を開業するときには、医師会に入会します。(最近は、入会しない先生もいますが)
この医師会への入会金も、1年間だけではなく、将来の医業収益を稼ぐためのものです。
これって、永久に稼ぐために必要なのでは?と思ったかもしれません。

ただ、資産の場合と同じで、実際に利益を発現させる期間とは全く関係なく、税法で勝手に償却する期間が決められているのです。

  • 【1】 医師会入会金は、5年間で償却する
  • 【2】 医師会館の建設負担金は、10年間で償却する

資産と同じで、あまりに金額が小さいものまで償却するとなると、煩雑です。
そこで20万円未満ならば、償却せずに、お金を支払ったときに、1度に経費にできることになっています。

なぜ、私がこんな話をしたのでしょうか?

それは医院の内装、医療機器、事務機器が経費にならないとすれば、お金は支払ったのに、利益が出てしまうのです。
その利益に税金がかかります。

先ほどの事例で、毎年の減価償却費が300万円だと仮定して計算してみましょう。

 

1年目

2年目

3年目

4年目

医業収益

2000万円

4000万円

8000万円

1億円

経費

2000万円

2000万円

3000万円

3000万円

減価焼却費

300万円

300万円

300万円

300万円

給料

1000万円

2000万円

3000万円

3000万円

利益

-1300万円

-300万円

1700万円

3700万円

繰り越した赤字

-1300万円

-1600万円

-1600万円

0円

所得税

   

30万円

1500万円

ここで間違ってはいけないことは、利益は出ていますが、お金はないことです。

このような所得税の支払いも見越して、最初に運転資金を銀行から借りておかなければ、資金繰りに苦しむことになります。

この減価償却費を事前に計算して、資金繰りを知っておくことが大切です。
しかも、毎年、医業収益は変動します。その都度、計算しなおしましょう。

このとき、医療機器や事務機器をリースで買うならば、このような資金繰りに頭を悩ませません。
ただ、リース料には金利も含まれているので、銀行から借りて買う場合と、よく比較しましょう。

そして、所得税はこれからずっと上がっていくことも忘れてはいけません。
ぎりぎりの運転資金ではなく、余裕を持ちましょう。

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