賃貸ビルを借りるときの保証金は、銀行から長期で調達しないと、黒字倒産します

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2012/03/16
賃貸ビルを借りるときの保証金は、銀行から長期で調達しないと、黒字倒産します

医院経営や病院経営では、効果的な医療広告、院長が患者とコミュニケーションを取る、看護師の対応がよい、なども競争力になりますが、医院や病院が開業している場所、入居しているビルの外観も大切です。

というのも、医院や病院は利用する面積も大きく、1階または2階に入居するため、ビルのイメージが、そのまま、医院や病院のイメージとリンクするからです。

ただ、賃貸ビルで医院開業する場合、入居したビルの外観は、院長個人で、勝手に変えることはできません。大家に、修繕してもらうしかないのです。

そのため、入居するビルの選定は、慎重に行なう必要があります。建物内装を造り込むため、あとで、引越しすることもできないと考えるべきです。もし移転すれば、医院や病院の患者が全員ついてきてくれる訳でもなく、その損失はかなり大きくなります。

そこで、医院開業するときのビルは、長期間借りることができるように築浅で、見た目が良いビルに入居することになります。もちろん、駅近で、できれば、1階の路面の空きを探すため、月額賃料の10か月分の保証金は覚悟すべきです。

この保証金ですが、昔は月額賃料の20ヶ月分というハチャメチャな設定もありましたが、現在は、賃貸ビル同士のテナント誘致の競争も激しくなっていて、低ければ6ヶ月分から、駅前のビルでも、10ヶ月分というのが相場ではないでしょうか。

それでも、1坪2万円で50坪を借りれば、月額100万円の賃料です。その10か月分とすれば、1000万円を保証金として差し入れるのです。

このとき、自己資金の1000万円を、保証金に使ってしまう院長がいるのですが、ビルの保証金は銀行から借りることにしましょう。しかも、1年以内に返済する短期借入金ではなく、返済期間が長い借入金で、調達しなくてはいけません。

このとき、銀行からお金を借りると、金利の支払いが無駄になるので、自己資金があるならば、それを使ってもよいのでは?と考えてはいけません。

賃貸対照表

流動資産
銀行の預金
未収金(診療報酬など)
貯蔵品(薬品、診療材料など)

流動負債
未払金(医薬品の支払いなど)
未払費用(水道光熱費)
預かり金(源泉所得税など)

固定資産
建物付属設備(内装)
医療機器などの機械設備
ビルの保証金

固定負債
長期借入金

資本金
利益剰余金(過去の利益の累計)

上記の表を見てください。

あなたの医院経営や病院経営の決算書の貸借対照表と見比べてください。(医療法人ではなく、個人医院として確定申告を行なっている場合でも、青色申告であれば、貸借対照表を作成しているはずです)

そこで、「流動資産 < 流動負債」となっていたら、今すぐにでも手を打たなくてはいけません。

というのも、流動資産とは1年以内に現金になるものであり、流動負債は1年以内に支払うものです。1年以内の支払いの方が多ければ、資金繰りは、当然に苦しくなります。

それにしても、なぜ、「流動資産 < 流動負債」のようなことになるのでしょうか?それは、固定資産である建物付属設備、医療機器、保証金などを、固定負債の長期借入金で調達せずに、流動負債のお金を使ってしまっているからなのです。

貸借対照表は、左右の合計金額が、必ず、一致するという性質があります。(医療法人ではなく、個人事業主として確定申告している場合の貸借対照表であっても、まったく同じ性質になります)

賃貸対照表

流動資産
銀行の預金
未収金(診療報酬など)
貯蔵品(薬品、診療材料など)

流動負債
未払金(医薬品の支払いなど)
未払費用(水道光熱費)
預かり金(源泉所得税など)
短期借入金 

固定資産
建物付属設備(内装)
医療機器などの機械設備
ビルの保証金

資本金
利益剰余金(過去の利益の累計)

黒字なのに倒産する医院や病院の貸借対照表を見ると、上表のようになっています。

逆に、「流動資産 > 流動負債」になっている医院や病院は、赤字であっても倒産しません。倒産とは、支払いが滞らないかぎり、起こらないのです。

それは、医院経営や病院経営の黒字と赤字とは、原則、関係ないことです。

あなたには、このとき、2つの疑問点が浮かぶかもしれません。

【1】資本金と利益剰余金は使えないのか?

資本金の下にある、「利益剰余金」とは、過去の利益の累計です。医院開業して、何年間も経過していれば、医院経営や病院経営で儲かったお金が貯まっているので、分院を出すときの保証金には、それを使ってもよいかもしれません。

ただ、医院開業するときには、利益剰余金はありません。そして、勤務医の給料は、一般的なサラリーマンに比べて高いことは確かですが、自宅を買い、子供の教育費を支払った残りのお金だけで、医院開業するのは、難しいようです。

そのため、医院開業するときには、銀行からお金を借りる院長がほとんどです。(院長の性格にもよりますが、何かあったら困るので、手元資金に余裕があっても、お金を借りる人もいます)

そのときに、医院経営や病院経営の運転資金(医療広告費、医療材料の仕入資金、社員の人件費など)は短期の借入金でもよいのですが、建物内装、医療機器、保証金で使うお金は、長期の借入金として、調達してください。

【2】流動負債が多いが資金繰りは苦しくない

あなたが、すでに医院経営や病院経営を行っていて、昨年度の決算書の中の貸借対照表を見ると、明らかに、

「流動資産 < 流動負債」

となっているのに、別に、資金繰りに苦しくないという医院や病院もあるかもしれません。その場合には、短期借入金の部分を見てください。

きっと、短期借入金は、銀行からの調達だけではなく、院長やその親族が貸しているものも含まれているはずです。

この院長が貸しているお金は、医院経営や病院経営の資金が余り始めたら、返済すればよいはずです。つまり、短期借入金という項目にはなっていますが、性格的には長期借入金と考えられます。(医療法人ではなく、個人事業主の場合には、事業主借りという科目になります)

医院や病院に限らず、どのようなビジネスであったとしても、貸借対照表は、「流動資産 > 流動負債」になっていなければいけません。ただ、業種によっては、例えば、IT会社、人材派遣業など、建物内装設備、機械設備、保証金への投資が少なくてもよい場合もあります。

それに比べて、医院経営や病院経営では、保証金も含めて、設備投資に多額の資金が必要となります。黒字で儲かっているのに、資金繰りが苦しいという場合には、貸借対照表を確認してみてください。

そして、「流動資産<流動負債」となっていたら、銀行と交渉して、短期借入金を長期借入金に借り換えるか、追加で長期の借入金を調達してください。

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