12万円の空気清浄器を3台も届いたが、誰が、発注したのか?

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2015/03/20
12万円の空気清浄器を3台も届いたが、誰が、発注したのか?

12万円の空気清浄器を3台も届いたが、誰が、発注したのか?院長も、看護師も、社員も、自宅で買う商品は、かなり節約しようという気持ちが働きます。

毎日、車で医院や病院に通っている院長が、途中でスタンドに入るときにも、ガソリンが1円でも安いところに並んで給油します。

あなたは、「1円でも安い方がよいに決まっているだろ?」と言うかもしれません。
ただ、そこで節約できる金額は、せいぜい、500円ぐらいです。

院長は、時間のコスト意識を持つべきです。

安いガソリンスタンドは、人気があるので、混みます。
院長がそこで10分待つことと、500円を比べたら、待たない方を選択すべきでしょう。
これほどまでに、節約しようと考えている院長でも、医院経営や病院経営で使う経費に関しては、意外と無頓着です。

 

曙医院では、私たちの会計事務所の顧問の個人医院でした。
診療科目は耳鼻咽喉科でしたが、院長1人に、1週間に2回手伝ってくれる医師が2人、看護師2人、社員とアルバイトが5人で、合計10人で運営されていました。

医院では、医療機器などの専門機器は院長が決めていましたが、備品や電気製品(空気清浄器、コーヒーメーカーなど)の購入は、看護師と社員で話し合って、自由に決めさせていたのです。

 

院長としては狙いが、2つありました。

1つ目は、看護師同士や、社員同士では、お昼を食べに行ったり、交流がありましたが、看護師と社員の間は、仕事の話しだけと見えていたのです。
そこで、社員の1人を責任者にして、備品などを買うことにすれば、みんなでミーティングする機会ができ、コミュニケーションになると考えました。

2つ目は、女性の方がセンスはよく、自分よりも、デザインや色が明るい備品や電気製品を選んでくれると考えたのです。

 

私たちの会計事務所が、領収書を受け取って、会計データを入力していたのですが、12万円の空気清浄器が3台も発注していたことが分かりました。
耳鼻咽喉科なので、風邪の患者も多く来院するし、フロアも50坪と広いので、高性能な空気清浄器を3台ぐらい買ってもおかしくありません。

ちょうど、翌月に曙医院に訪問する予定がありました。

いつも医院の診察時間が終わってからミーティングをするため、その日も、診察室で、院長と話しが始まりました。
その中で、何となく、私は領収書のことを思い出し、空気清浄機のことに触れたのです。

 

――― 院長、玄関の新しい空気清浄器が置いてあるのを、見ましたよ。以前のものと比べると、かなり大きいですね。他にも2台、この診察室に1台あるので、あとは受付の中にでも置いたんですか?」

「うん、今まで使っていた2台の空気清浄器がカラカラと音を出し始めたので、これから風邪が流行る季節に入るしね。『うちに、中耳炎で診察に来たら、風邪がうつされた』なんて言われたくはないからって、社員から買い換えたいという要望があったんだ。今回の空気清浄器は、すごい性能がいいだろ。うちの社員も最高の機能の空気清浄器を選んだと言ってた」

――― おお、やっぱり、最高の機能だったら、1台12万円でもおかしくないですね

「はぁ・・・あああ、1台じゃなく、3台で12万円の間違いでしょ?」

――― いや、うちに送られてきた領収書では、1台12万円で、3台で合計36万円でしたよ

ここで、院長が黙ってしまうと、すぐにバタバタとバックヤードに入り、5分ぐらいして、空気清浄器の納品書の書類を持って戻って来たのです。

「知らなかった・・・こんな高い空気清浄器を買っていたとは・・・1台で12万円は、いくらなんでもやりすぎだ」

私もここで初めて、院長がチェックせずに、社員が発注していた事実を知りました。
そのあと、院長は、私に聞いてきました。

「もしかして、うちの医院は、他の備品なども、高額のものを買っているんじゃないか?どうですか?気づきませんか?」

――― 他の医院と比べると、少し高いですかね

「やっぱりそうか。今まで、看護師や社員に自由に購入の意思決定をさせていたのは、大きな間違いだった。これからは、電気製品だけではなく、備品などもすべて、私が選んで、発注することにしよう。いやー、うちの自宅の空気清浄器でも3万円もしないぞ・・・」

院長は、まだ冷静になっていないのか、怒り気味の口調で話をしています。

――― ちょっと、待ってください。現時点で、医院の1年間の医業収益が1億円を超えていますので、そんなに驚くほど高いわけではないですよ。うちの会計事務所では、同じ診療科目の全国の医院や病院の医業収益、給料、賃料、消耗品費、手数料、交際費、雑費などの平均値のデータを持っています。
実際に、院長先生にも、最低1年に1回、多い時には半年ごとに、この医院のデータと比べた資料を見せているじゃないですか。入院施設がない医院の平均データと比べているので、そんなに乖離していないはずです。
そのとき、もし備品が高すぎるというのであれば、医業収益に対する消耗品費の率が高すぎると、指摘したはずですし、院長先生も気づいたはずですよ。どんなに違っていたとしても、1%は超えないはずです

「まぁ、そう言われてみれば・・・でも、1億円の1%というと、100万円にもなる。うちの医院は開業して、すでに5年目なので、500万円は損をしているってことか」

――― 院長先生、それは違います。というのも、毎年1%も備品の費用だけで違っているのかは、もっとよくデータを精査してみないと結論は出ません。それに、年間100万円というと、1ヶ月8万3000円とも言えます

「だから、1ヶ月で、8万3000円も、平均の耳鼻咽喉科の医院よりも高いのはおかしいだろ」

――― それでも、院長先生、社員や看護師に、備品や電気製品の購入の意思決定を任せていた理由があるはずですよね

「ああ、看護師と社員とのコミュニケーションを取るために・・・確かに、何かミーティングもやっているし、空気清浄器が納品されたときも、皆で一緒になって騒いでいたな」

――― もちろん、私も1年間で100万円もの違いが、小さいとは言いません。でも、その目的を達成するために、少しぐらい経費が高くなってもよいと思うんです。備品や電気製品を院長先生が発注する時間があったら、他のことをやるべきですよ。
この医院の売上が1億円とすれば、『年間250日×40万円』で、1日40万円を稼いでいることになるんです。それなのに、8万3000円のために、時間を使い過ぎたら、無駄です。それに明日、いきなり、頭ごなしに、看護師や社員の権限を取り上げたら、モチベーションが下がり、雰囲気も悪くなります

 

このように、私は院長を説得しましたが、もちろん、1台12万円の空気清浄器はやり過ぎだったかもしれません。
そこで、金額基準を作りました。

(1)1個5000円未満の備品や電気製品は、今まで通りに自由に任せる。

(2)1個5000円以上 3万円未満の備品や電気製品は、買う前に院長の同意を得る

(3)1個3万円以上の備品や電気製品は、最低3種類の商品の価格を一緒に持ってくる

実際にこれで、1年間、運用してみました。
すると、1個3万円以上になる場合は、パソコンやプリンターなどしかなく、1年に数回しかありませんでした。
5000円以上、3万円未満のものも、1ヶ月1回、まとめて発注するものしかなく、それ以外のものは、ほとんどが5000円以下だったのです。

院長は最初、「この基準など作っても、経費は削減できないだろう」と主張しましたが、結局1年後の決算書で比べたところ、前年度と比べて50万円も備品の経費を減らすことができたのです。
もちろん、大量に備品を仕入れるタイミングもありますが、それでも備品だけで1年間に50万円はかなり違います。

上記の基準を導入したことで、

院長がチェックする項目は少なかったとしても、アナウンス効果によって、経費を気にするようになったという証拠です。

看護師や社員のモチベーションを上げるためには、できるだけ意思決定権を与えるべきです。

それに、院長が無駄な時間を取られないような仕組みを作り、医院経営や病院経営の経費を削減できる工夫をしてみてください。

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