看護師の基本給を増やすのでなく、諸手当をもっと活用していこう

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2015/09/20
看護師の基本給を増やすのでなく、諸手当をもっと活用していこう

看護師の基本給を増やすのでなく、諸手当をもっと活用していこう

医院経営や病院経営で、もっとも大きな経費は、人件費でしょう。

もちろん、薬剤品の仕入、ビルの家賃、医療機器のリース料も大きいかもしれませんが、やはり人件費は給料だけではなく、社会保険料、採用研修費、福利厚生費なども含まれます。
毎年、看護師や社員の給料を上げて行けば、つまり一定額を昇給させていけば、それに比例して社会保険料も増えていき、医院経営や病院経営を圧迫する要因にもなります。

しかも、一度、上げてしまった基本給は、原則、看護師や社員に落ち度があったり、医院や病院の経営が赤字で、かなり悪化しているなどの理由がないと、下げることができません。
ただ一方で、給料が一切、昇給しない、昇給してもほんの少しという医院や病院では、がんばって働いても報われないという理由で、転職する看護師や社員も出てきてしまいます。

そこで、基本給の昇給部分は最低限に抑えながらも、諸手当を活用して、モチベーションを上げてもらうという方法があります。

例えば、医院や病院の中で、主任という役職を作ります。
看護師や社員を主任に昇格させたときに、「役職手当」を基本給につけるのです。

もし将来、本人が働き方を変えるために、主任を辞めたいという申出あれば、それを受け入れると同時に「役職手当」も止めることができます。
看護師や社員にとっても、主任になって、「役職手当」をもらえば、管理する仕事が増えたと認識することにつながります。

この役職手当ですが、医院や病院によっては、基本給に連動する定率制になっていることがあります。
これでは、若い看護師に比べて、ベテランという理由だけで、手当も増えてしまいます。
そもそも基本給が高いのですから、役職手当は定額制にすべきでしょう。

また、同じ主任でも、2人を管理する看護師と、10人を管理する看護師では、責任も役割も違ってきます。
大きな責任を受け持つ看護師ほど、役職手当の金額も増やすのが、通常です。

また、責任者になった段階で、管理職として、残業代の対象にならないこともあります。
残業代が出ない役職を作った場合には、その役職手当は高くしましょう。

結局、院長先生としては、看護師や社員のモチベーションが下がったら、医院経営や病院経営にとっては、大きな損失になると覚えておいて欲しいのです。
特に、主任やもっと重い役職に就く看護師や社員のやる気がなくなったら、医院や病院で働く全社員に影響を及ぼします。

 

基本給に関連して、一般的に、医院や病院では、看護師や社員に対して、「賞与」を自動的に支払っているはずです。
確かに、賞与について、就業規則や雇用契約書に「基本給の〇ヶ月分を支払う」と記載されていると、医院や病院には支払義務が発生します。

しかし、賞与とは、利益配分という意味合いが強いので、医院や病院の利益が出た場合には支払うが、資金繰りが苦しい場合には賞与を低くするというのが正しい使い方です。
そのため、就業規則や雇用契約書には、賞与の計算基準を記載せず、上手に利益調整として使っていくべきです。

特に最近は、医院や病院に、看護師や社員から未払残業代を請求されるケースも目立ってきています。
賞与を支払うよりも、残業代をキッチリ支払う方が、優先順位は高いと考えられます。
ということで、基本給や残業代、それに諸手当はキッチリ支払い、それでも利益が出たら、賞与を支払うと考えるべきです。

 

先ほどは、役職手当を考えましたが、ここからは、医院経営や病院経営でよく質問を受ける他の諸手当も見ていきましょう。

 

1.家族手当

家族手当とは、看護師や社員の能力や経験年数、仕事内容とはまったく関係なく、扶養の数で金額が決定します。
院長先生からすれば、「仕事に無関係な手当は必要ない」と考えがちですが、医院や病院で働く看護師や社員は、女性ばかりではなく、男性が増えてきています。

そのため、男性が結婚して、子供を扶養にした場合、すでに役職手当などをもらっていればよいですが、基本給だけでは生活に困窮してしまうかもしれません。
一概には言えませんが、結婚して子供を持つ男性の方が、環境がよければ、結婚や出産を機に転職することもなく、長く働いてくれる可能性は高いのではないでしょうか。

とすれば、生活費を補てんする意味で、家族手当を支給することを、私はお勧めしています。

ただ、家族手当の対象者は、しっかりと決めておかないと、不満につながります。
配偶者だけ、子供だけ、それとも両方、子供の年齢はいくつまでか、それに加えて、両親も含めるのかなど、よく検討してください。

一度、導入すると、あとで簡単に変更することは難しくなります。

 

2.住居手当

住居手当とは、賃貸アパートなどに入居している看護師や社員に対して支給するものです。
でも実際には、持ち家を買い、住宅ローンを返済している看護師や社員の方が、金銭的には苦しかったりします。

それでも、医院や病院が近隣に住んでいる人を採用できればよいのですが、何度か、新聞の折込チラシを撒いても、集まらない場合には、遠方からの採用も考えなくてはいけません。
この場合には、住居手当を支給することで、募集してくれる人が増えます。

また、緊急時に対応できる看護師や社員を近くに確保しておきたいという目的で、医院や病院が近くのマンションを借上げることで、実質的な住宅手当を出しているところもあります。
それ以外でも、医院や病院に3年以上働いている看護師や社員には、一律に支給するという医院や病院もあります。

この場合でも、条件を決めておかないと、近くに実家がありながら、単純に一人暮らしがしたいからという理由の看護師や社員にまで、住宅手当を出すと、本末転倒になります。

 

3.資格手当

医院や病院で働く看護師や社員は、一般の会社と違い、何かしら資格を持っているものです。

その資格が増えると、看護師や社員ができる仕事が広がり、医院や病院の医業収益を増やすことに直結したりします。
そのため、資格手当を支給している医院や病院は、かなり多いのが現実です。
資格を取るために勉強してもらうのも、看護師や社員のモチベーションにつながることもあります。

もちろん、院長先生はよく分かっていると思いますが、「資格が多い=実力=仕事ができる」という方程式は成り立ちません。
そこで私は、資格手当は毎月、給料に上乗せして支払うよりも、一時金という形でお金を支給することをお勧めしています。
ただこの場合には、一時金を支払ったあと、すぐに退職してしまうリスクは残ります。

 

院長先生には、看護師や社員の基本給を増やすことは簡単ですが、下げることは難しいと認識してもらい、上記のような手当や賞与で、上手に調整して欲しいと思います。
それに、仕事ができる人だけの給料を高くするのがよい訳ではありませんし、そもそも、仕事を平等に評価すること自体も難しいのです。

評価が低い人だけが辞めて、仕事ができる人だけが残る医院や病院などなく、みんなが辞めていく結果になります。

手当というのは、仕事とは関係なく、看護師や社員の生活の事情に応じて支給することで、できるだけ、人が辞めない医院や病院を目指すべきではないでしょうか。

 

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