所得補償保険に加入しているならば、保障期間を確認してください。

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2017/11/10
所得補償保険に加入しているならば、保障期間を確認してください。

所得補償保険とは、院長先生が病気になったり、交通事故でぶつけられて入院した場合に、保険を受け取ることができる損害保険の商品です。
医院経営や病院経営は、院長先生の診療行為ができなくなると、医業収益はゼロとなります。体調が悪くて、午後から出社して診療時間が半分になれば、医業収益も半分になります。

このように、医院経営や病院経営では医師がいなければ、医業収益は上がらないのです。院長先生がずっと働ければよいのですが、それでも人間です。病気になることもあれば、交通事故は自分がまったく悪くなくても、相手の不注意で事故をもらうこともあります。

そのときに医院経営や病院経営の医業収益を補てんしてくれるのが、所得補償保険なのです。ときどき、収入保障保険との違いを理解していない院長先生もいます。この2つは全く性質が違います。

決定的な違いは、保険金を受け取る時期です。
所得補償保険は損害保険の商品であり、院長先生が病気になったり、ケガをしたら受け取れるので生前に保険金を受け取るのです。しかも受取人は院長先生自身です。

一方、収入保障保険は生命保険の商品なので、院長先生が亡くなったことを原因にして、妻や子供が受け取ることになります。院長先生が亡くなった後に、相続人が受け取るのです。

もちろん、院長先生が亡くなった場合の遺族の保障も大切です。医院や病院は最初に銀行からの借金をして返済していっても、そのあと建物内装の修繕などが必要となれば、追加で借りるでしょう。医療機器もリースを組んだあと、そのリースの支払い終わるころには、新しい医療機器に入れ替えたりするので、リース料の支払いが終わりません。

この段階で院長先生が突然亡くなったら、この借金やリースの支払い債務は妻や子供が法定相続分で引き継ぐことになります。

例えば、個人事業主の医院の借金が5000万円で、相続人が妻と子供1人だったとすれば、それぞれが2500万円の借金を自動的に相続してしまうのです。医療法人の借金が5000万円であれば、それを連帯保証している院長先生の地位を妻と子供が相続するので、やはり2500万円の借金を背負うことになります。住宅ローンは団体信用保証が付いているので、院長先生が亡くなればゼロなります。妻が自宅だけは残ったと安堵していても、医院経営や病院経営の借金を相続するのであれば、結局、自宅も手放すことになってしまいます。そのため、収入保障保険にも加入すべきです。

保険金を使って借金やリース料を返済すれば、最低でも自宅は残ります。ですが、院長先生が亡くなる確率は病気になる確率に比べれば小さいはずです。そのため、所得補償保険も加入しておくのがよいでしょう。

所得補償保険に加入するときには注意して欲しいことがあります。
それは「保険期間」です。
収入保障保険であれば、例えば、院長先生が50歳で亡くなったと仮定して、妻が年金をもらえれる65歳まで、または子供が20歳を超えるまでと長期間、毎月一定額の収入を保障することができます。
借金を返済するために、一時金でもらうことも選択できます。金額も自由に設定でき、掛金を大きくすれば、かなりの金額を保障してお金を渡し続けることができます。
ところが、所得補償保険は違います。

基本的に、所得補償保険の保障期間は「1年間の更新」となっているのです。

では院長先生が病気やケガをして、1年で復帰できない場合に、所得補償保険を更新できると思いますか?
ほとんどの場合、更新はできないのです。
とすれば、院長先生は1年以内にはいつも通りに復帰して働かないと収入がゼロになってしまうことになります。

現在、院長先生が加入している所得補償保険のパンフレットや約款を見てください。上記の保障期間と更新時の注意点が、小さな文字で書かれているはずです。これは別に医院や病院だからではありません。通常、所得補償保険というものは、1年間の保障期間なのです。これを聞くと、「もっと長期間の病気やケガを保障してくれる所得補償保険は売っていないのか?」と思うはずです。

実は、医師会を通じると、「団体長期所得補償保険」に加入できます。

ケガや病気をした場合には、それから70歳までなどと、長期の保険期間が設定されています。開業したときに火災保険に加入したり、医療機器を購入したときに総合保障プランに加入するはずですが、それと一緒に所得補償保険を勧められて個人で加入してしまう院長先生もいます。個人で損害保険会社の所得補償に加入するのではなく、医師会を通じて加入するようにしてください。

もしかしたら、「そもそも、自分は医師会に加入していない」という院長先生も少なからずいるかもしれません。

その場合には、税理士が顧問しているという条件で、その税理士を通じて、「団体長期所得補償保険」に加入できるサービスがあります。

顧問税理士もいない場合には、民間の損害保険会社でも最近は、ほんの一部でかつ保険料も割高になりますが、「団体長期所得補償保険」を売っています。それでも、院長先生の身に何かあってからでは遅いので、すぐに加入することをお勧めします。

最後に、所得補償保険の税金についての注意点です。
個人事業主の院長先生が個人で所得補償保険に加入している場合には、個人事業主の経費にはなりません。その代わり、所得補償保険は身体の傷害に基因して支払を受ける保険金に該当するため、受け取る保険金についての所得税は非課税となります。

また個人事業主を廃業して、医療法人を設立することもあります。医療法人として所得補償保険の保険料を支払うことで、医療法人の経費に計上したい院長先生もいるでしょう。所得補償保険の契約者を医療法人に変更することはできます。医療法人から院長先生にお金を支払う必要はありません。無償で契約者を変更できます。

ただし、「保険金請求権譲渡」を損害保険会社に提出する必要があります。これが提出されていないと院長先生の給与とみなされてしまいます。また医療法人の経費とした場合には、院長先生が病気やケガをして受け取った保険金は雑収入として法人税がかかることになります。

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