労災の特別加入を知っていますか? これで無駄な保険料を削減できる。

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2013/02/28
労災の特別加入を知っていますか? これで無駄な保険料を削減できる。

労災の特別加入を知っていますか? これで無駄な保険料を削減できる。医院経営や病院経営に限ったことではなく、働いている医師、看護師も含めたスタッフ全員が仕事中にケガをするリスクがあります。

医院や病院内で転倒したり、手が滑って医療機器が足に刺さったり、駐車場で看護師が患者の車にはねられたケースもありました。

最近では、患者を自宅に送迎する医院や病院も増えたので、スタッフの車の事故も増えています。もちろん、自動車保険を初め、看護師などがケガや病気になったときに補償する損害保険はたくさんあります。

私の顧問先の医院や病院でも、絶対にどこかの民間の損賠保険には加入しています。
一方で、国が作っている「労災保険」というものがあるのは、知っていますか?

これは医院や病院の業務上の災害や通勤時の災害が原因でケガなどをした場合、本人またはその遺族に保険金が支払われる制度です。支払われたお金のことを、「保険給付」と呼びます。

「保険給付」の種類は、7つあります。
括弧内は、通勤のときに起こった災害が原因で支払われる給付の名称です。

原則として、通勤のときは、医院や病院に補償の義務がないため、「補償」という言葉が省かれているのです。国の保険である「労災保険」は、通勤時の災害もカバーしてくれます。

【1】 療養補償給付(療養給付)

医院や病院の業務上の災害によってケガをして、通院したときに支払われます。窓口での個人負担はありません(本人が立て替えた場合には、あとから補てんしてくれる)。ただし、通勤のときの災害が原因で通院したときには、原則として200円の一時負担金が徴収されることになります。

【2】 休業補償給付(休業給付)

ケガなどによって、働くことができなくなり、医院や病院を休んで、給料がもらえないときに、休業4日目から、1日につき給与日額の約60%相当額がもらえます。
例えば、給与日額が1万円であれば、医院や病院を1日休むごとに、約6,000円がもらえる計算です。

ここで、給与日額の計算方法ですが、事故発生日以前3ヶ月間の給料の合計をその期間のそう日数で割った金額となります。
このあと出てくる給与日額は、すべてこの方法で計算します。

【3】 障害補償給付(障害給付)

医院や病院の仕事中、もしくは通勤時にケガをして治ったが、障害等級第1級から第14級までに該当する障害(後遺症)が残ったときに給付されます。

実際に、私の顧問先の医院の看護師が、通勤途中で後ろからバイクに突っ込まれて、障害が残ってしまった事件がありました。

その看護師自身は、まったく悪くありませんでした。というのも、そのバイクは、トラックと接触して、吹き飛ばされて、歩行者の方に飛んできたのです。

このように、まったく本人に落ち度がなく、どれほど注意しても防ぐことができない事故もあります。だからこそ、労災に入っておくことが、大切なのです。

この給付では、障害の程度に応じて、給与日額の313日分から131日分の年金と給与日額の503日分から56日分の一時金が支払われます。

【4】 葬祭料(葬祭給付)

残念ながら、医院や病院の業務中もしくは通勤中の災害で、本人が亡くなった場合に支払われる給付金の1つです。
315,000円に給与日額の30日分を加えた額になります。

【5】 遺族補償給付(遺族給付)

これも本人が亡くなった場合に支払われるもので、遺族の数等によって変わるのですが、給与日額の245日分から153日分の年金が支払われます。
ただ、年金を受け取れる遺族がないときには、給与日額の1,000日分の一時金となります。

【6】 傷病補償年金(傷病年金)

医院や病院の業務中もしくは通勤中の災害にあった日から、1年6ヶ月が経った日または同日後においてケガが治っていなくて、かつ障害の程度が傷病等級に該当するときに支払われます。
障害の程度によって変りますが、給与日額の313日分から245日分の年金となります。

【7】 介護補償給付(介護給付)

障害補償年金または傷病補償年金を受け取っている人のうち、第1級の者または第2級の者であって、現在、介護を受けていると支払われます。
原則として、介護の費用として支払った額となりますが、常時介護は104,960円、随時介護は52,480円が上限となります。

このように、労災はかなりの範囲でカバーしていて、補償も厚くなっています。

意外と、労災保険を支払っていながら、本人どころか、医院や病院の院長先生が制度の内容を知らないがために、申請せずにもらえていないケースをときどき見ます。

医院や病院のスタッフは近くに住んでいることが多く、自転車やバイクで通勤している人がかなりいます。転倒したり、衝突したりして、よくケガをしたと聞きます。
通勤中のケガで、かつ本人の不注意であっても労災は支払われますので、必ず申請するようにしましょう。

ここで、これほど厚い保護があるならば、保険料が高いのではと院長先生は考えるかもしれませんが、国の保険なので割安なのです。

労災保険の保険料(年額)=
給料の総額(給与日額 × 365日)× 労災保険率

これが保険料の計算式です。
ここで、労災保険率ですが、事業の種類によって変ってきます。
医院や病院の場合には、1000分の3と決められています。

例えば、あなたの医院で長く働いている看護師の給与日額が1万5000円とします。
だいたい、月額の給料が45万円ぐらいになるため、平均のスタッフの給料よりもかなり高いはずでず。

1万5000円×365日×(3÷1000)(労災保険率) =
16,425円

これが1ヶ月ではなく、1年間の保険料なんです。

かなり安いと思いませんか?
1ヶ月あたり、1,368円でよいのです。
もっと給与日額が安いスタッフであれば、これよりも月額の金額は少なくてよいのです。

ここで労災とは、あくまでスタッフのためのものだと思っている院長先生もいます。

実は、医院や病院の理事でも労災保険に加入できるのです。

これを「特別加入」と呼びます。
ただし、一定の要件があります。

  • 中小事業主であること
  • 労災保険にかかる保険関係が成立していること(スタッフが1人以上いること)
  • 労災保険にかかる労働保険事務の処理を労働保険事務組合(医師協同組合など)に委託していること
  • 中小企業主およびその者が行う事業に従事する者を包括加入していること

これを満たしている上で申請を行うと、「使用される労働者」とみなされて、同じように医院や病院の業務上や通勤中の災害でケガをした場合には、給付を受けることができます。
ただ、理事としての仕事や社員(株式会社でいうところの株主)としての仕事は業務とみなされません。

例えば、理事会への出席や社員総会への出席で起こった災害は除外されます。
まぁ、ほとんどの業務が適用されると考えるべきでしょう。

そして、特別加入者の場合には、スタッフと同じように給与日額を計算するわけではありません。
下記の13階級の額の中から、希望する額を考慮して決定されることになります。

  • 【1】3,500円
  • 【2】4,000円
  • 【3】5,000円
  • 【4】6,000円
  • 【5】7,000円
  • 【6】8,000円
  • 【7】9,000円
  • 【8】10,000円
  • 【9】12,000円
  • 【10】14,000円
  • 【11】16,000円
  • 【12】18,000円
  • 【13】20,000円

とにかく、医院や病院の院長先生も、「国の保険である労災保険」に加入しておく方が絶対によいでしょう。もちろん、個人医院の院長先生も特別加入できますよ。

この労災の制度を知り、うまく活用することで、民間の損害保険料を削減することができます。

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