クレームが多い患者にクロージングをかけるときには、チャンスにもなる

住所
医療関連のコンサルティング
医院経営/病院経営コンサルティング > 患者とのコミュニケーションが苦手な先生でも大丈夫 > クレームが多い患者にクロージングをかけるときには、チャンスにもなる
2013/01/18
クレームが多い患者にクロージングをかけるときには、チャンスにもなる

一般の会社で、「クロージングをかける」と言うと、営業マンが取引先の担当者に、「契約への押印をお願いする」ことを指します。

こちらが、一生懸命営業をかけて、取引先と何度も会い、話を聞いてくれていても、最後に「商品を買ってくれる」という決断をしてくれなければ、努力も水の泡です。

あなたが車を買い換えようと、何度かディーラーの営業マンに会っていたら、数回目に、
「今はキャンペーン中なので、買ってくれたらカーナビを無料でグレードアップしますよ」
「今月が会社の決算月なので、今週中に発注してもらえば、大幅な値引きができますよ」
などという営業をかけられたことはありませんか?

これは上司から、「もうお客にクロージングをかけて、詰めてこい」とハッパをかけられて、このような行動になっているのです。

つまり、「クロージング」とは、「結果を出す」という意味なのです。

実際にクロージングをかけられても、あなたが「今は、買わない」という返答をすると、営業マンは「これ以上、押しても無理だ」と考えて、少し時間を置こうと考えます。あなたも暇ではない時間をあけて、ディーラーの話を聞いているのですから、興味はあるはずです。

ただ今は、どれだけ、値引きしてもらったり、キャンペーンを付けてもらっても、そんな気分じゃないというのであれば、クロージングをかけられ続けることに対して、「うっとうしい」という拒絶反応を示します。

一方で、買う気持ちがかなり前向きならば、「キャンペーン中なんてラッキーじゃん」と考えて、クロージングをかけられたことに、「嫌だな」という感情がわきません。

つまり、自分の気持ちによって、「クロージングをかけられた」行動に対する気持ちが変わってくるということです。

さらに、クロージングで大事なことは、これで終わりではないということです。
クロージングを行い、契約すると、そこから本当の意味でのお付き合いが始まるのです。
これをよく覚えておいてください。

この「クロージングをかける」というのは、医院経営や病院経営でも必要になってきます。

これを聞いて、

私は、患者を獲得する営業マンじゃない!

と怒らないでください。

実は、医院経営や病院経営での「クロージング」とは患者を獲得することを意味しているのではありません。
患者があなたの医院や病院に来て受付をすませ、診察室に入ってきてから、「今日は診察しますか?」とは聞かないはずです。

もちろん、自由診療だけを行っている医院であったり、歯科医院などでは、患者に診察メニューの説明を行い、その中から選んでもらうことがあります。そのとき、クロージングをするということはありえます。

それでも、保険診療がほとんどの医院や病院で、たまたま予防接種を受けに来た患者に、「これは保険診療にはなりませんが、打ちますか?」とは聞きませんよね。
では、医院経営や病院経営で、「クロージング」というと、何を指しているのでしょうか?

それは、患者からのクレームの処理のことなのです。
トラブルの初期段階で、迅速で誠実な対応をして、患者の怒りが収束してきたのに、最後に手を抜いて、クロージングを失敗して、怒りを倍増させてしまうことがあるのです。

このようなクロージングで失敗してしまうのは、繁盛している医院や病院ほど危ないと言えます。

医院や病院の開業場所がよい
→ 院長先生に説明力があったり、診察が丁寧
→ 患者が増えていく
→ 看護師やスタッフが足りない
→ 医院や病院が慌ただしい雰囲気になる
→ 患者の待ち時間が長くなり、会計にも時間がかかる
→ 院長先生が患者1人に割く時間が減ってくる
→ 患者がイライラしてきて苦情が出る
→ クレーム対応に無駄な時間を使い、さらに人員が不足する
→ 急遽、新しい看護師やスタッフを雇う
→ 教育したり、先輩が仕事を教える時間がない
→ 患者のクレームに対する危機意識が弱く、失礼な態度を取ってしまう
→ 大きなトラブルに巻き込まれる!

このような循環になると、大きなトラブルを引き起こす環境が整ってしまうのです。

私は、医院経営や病院経営を成功させるために、インターネットで広告を行ったり、TVなどに取り上げられて有名になったりすることで、患者を増やす努力をすることは大切だと思います。

ただ、患者が増えてきたときこそ、院長先生は気を付けなければいけないのです。

1日に診察できる限界の患者数は決まっています。それを超えようとすれば、効率を追求して、院長も看護師も時間に追われてしまい、患者からの苦情を見逃してしまうのです。

勤務医の先生に来てもらったり、看護師やスタッフの数を増やすタイミングを間違えないようにしましょう。

クレームが多い患者にクロージングをかけるときには、チャンスにもなる本題に戻りますが、患者とトラブルになったときには、院長先生も含めて、そうなった経緯を確認することです。

「すぐに謝る」という方針の医院や病院もありますが、あまりお勧めしません。
というのも、医院や病院にまったく落ち度がないにも関わらず、患者とトラブルになることもあるのです。

患者が自分勝手な思い込みで、クレームを付けていることも多いのです。最近では、TVやインターネットで多量の情報が手に入ります。でも専門家である、あなたがそれを見て、すべて正しいと思えますか?

「間違っている情報だな」「極端な例だな」と思う方が多いのではないでしょうか?

私も、会計や税金については、かなり詳しい知識があります。
同じように、インターネットやTVの情報は、かなり間違っています。日経新聞の1面の記事でさえ、間違っていることがあるのです。

これは、情報を発信する人が勘違いをしているにも関わらず、インターネットでは、それが正しいのか確認もされずに、ドンドンコピーされてしまうためだと思います。TVでは医師が監修していても、すべてをチェックすることはできません。

それを信用している患者に落ち度があるとは言えないかもしれませんが、医院や病院は、その事実を告げて、間違いを正さなくてはいけません。

「医院で処方された薬を3ヶ月も飲み続けているが、一向に病気が良くならない」
「Bという薬を飲んだら、体に発疹が出て熱が出た。インターネットでは、この薬は強すぎると書いてある」
「病状が悪化したが、あのときレントゲンの検査だけで、本当によかったのか。TVではもっといろいろな検査方法があると言っていた」

このような思い込みでクレームを受けたのに、医院や病院が一方的に謝っていたのでは、このあと、トラブルが減ることがありません。
患者に丁寧に説明をして、誤解を解くことです。

一方、医院や病院に明らかに落ち度があることもあります。

「患者に、保険証を渡し間違えた」
「別の患者の会計と間違えて、多く支払わせた」
「診察のときに、子供から目を離してしまい、椅子から落下させて怪我をさせた」

患者がクレームを言うのが当然な状況です。
このようなときには、すぐに謝ることが大切です。

つまり、クロージングをかけて、患者に「納得しました」と言わせるということです。

もしクロージングをせずに放っておくと、あとで取り返しのつかない大きなトラブルになります。
医院経営や病院経営では、クロージングをかけておくことを忘れてはいけません。

人と喧嘩した経験が多い院長先生はいないと思いますが、最後に、患者に納得したか、必ず、確かめてください。

そして、一般の取引と同じように、クロージングをかけたあとに、本当に意味でのその患者との付き合いが始まるのです。

その患者は、それであなたの医院に来なくなるわけではなく、クロージングをしたあとも、ずっと付き合っていくのです。

ただ、クレームを処理して、お互いに納得できた患者は、あなたの医院のファンになったり、口コミでよい情報を流してくれたりすることが多いのも事実です。

クレームをクロージングすることは、医院経営や病院経営にとって、プラスになります。

facebook
twitter
google+