医療法人が、多角化の事業を始める前に、知っておいて欲しいこと

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2012/03/06
医療法人が、多角化の事業を始める前に、知っておいて欲しいこと

医院経営や病院経営は、医師が患者の診察を行うことが、事業です。当たり前ですか?

同じように自動車メーカーは、自動車を製造して、販売することが、事業です。

これは、当たり前・・・でしょうか?

自動車メーカーの中には、バイクの製造と販売が事業だったのに、時代の変化とともに、自動車を主力にしたところもあります。注文住宅の事業も大きく展開している自動車メーカーもあります。

なぜ、このようなことを行うのでしょうか?

それは、リスクの分散と、シナジー効果という2つの理由からです。まったく違う事業を展開すれば、リスクは分散されます。一方、似た事業を展開すれば、相乗的に売上を伸ばすことができるのです。

ただ、この2つの効果は、相反します。

多角化の事業を始める前に、知っておいて欲しいこと

そもそも、医院経営や病院経営は、患者の診察以外の事業に多角化すべきなのでしょうか。もし多角化すべきだとしても、リスクの分散とシナジー効果、どちらを優先すべきなのでしょうか?

私は、これからの医院経営や病院経営は、多角化した事業に進出していくべきだと考えます。患者の診察という事業だけで、経済状況も法律も激変していく中で、これから何十年間も利益を上げ続けることは難しいからです。

ただし、医療法により、医療法人として、多角化できる業務(付随事業、または附帯事業)は限られてきます。また、MS法人を設立したとしても、医院や病院のノウハウを活かした事業を行なう方が、絶対的に成功する確率は高くなります。

つまり、医院経営や病院経営では、リスク分散できる事業よりも、シナジー効果に重点を置いた事業に、多角化していくべきだと考えられます。

だからこそ、医院や病院をM&Aによって買収することで、事業を拡大して大病院を目指すという方法が、一番、オーソドックスなのでしょう。

ただ、患者からは、診察だけでなく、他の事業、例えば、訪問看護ステーション、有料老人ホーム、介護事業、デイサービスなどに、医師の知識を活かして欲しいという要求もあります。

それに、相乗効果だけではなく、リスク分散という観点からは、少しだけ違う事業を買収することに、合理性があります。

ここでは、あなたの医院や病院が、有料老人ホームに新規参入すると仮定しましょう。(医療法人でなくても、関連会社のMS法人で事業を行なう場合も含まれます)

まず、いきなり、有料老人ホームに適する土地を探し、事業計画書を作成し、建築会社から見積書を取って・・・ということを始めるべきでしょうか?
それだけはありません。

新規に始めるならば、同時に、有料老人ホームで働く社員の採用の求人広告とそのあとの教育も行なう必要があります。

そもそも、医院や病院だけではなく、不動産会社、飲食チェーン、大手予備校など、まったく関係がない業種の会社が、新しいビジネスチャンスと考えて、有料老人ホームの事業に進出してきているため、競争も激しくなっています。

その競合会社が多い中で、あなたの医院経営や病院経営とシナジー効果があるといっても、片手間にやっていたのでは、成功できるはずがありません。

そもそも、有料老人ホームは、全員が入居して埋まるまでに、相当な時間がかかります。老人にとって、住む場所を変えるというのは、一大決心なのです。体調もありますし、家族との話し合いも必要です。そのため、時間がかかるのです。

そのため、有料老人ホームの収支が黒字になるまでに、2-3年はかかります。この事業に参入する会社は、かなり資金繰りに余裕がなければいけません。それを知らずに参入して、結果的に、撤退しなければいけなくなる会社も多いのです。

上記のようなリスクを軽減するためには、すでに建っている有料老人ホームをM&Aによって、買収するという方法がよいかもしれません。時間も短縮でき、すでに入居者もある程度いるので、資金繰りの計画も立てやすいはずです。

有料老人ホームの場合、入居までは時間がかかりますが、逆に言えば、一度、入居すると、なかなか出て行くことも少ないのです。

また、医院経営や病院経営に少しでも携わってきた人が、有料老人ホームを経営するならばよいのですが、不動産会社や建設会社が何の経験もなく参入すると、患者とのコミュニケーション、そこで働く社員への指示が上手く取れないこともあります。

このとき、医院経営や病院経営に詳しい人に経営を任せればよいのですが、どうしても、有料老人ホームには、多額の資金を投資しているため、自分でやりたがる傾向があります。

一方、医療法人などが、M&Aで有料老人ホームを買収するならば、相乗効果があるため、このようなリスクは低減できます。

ただ、これだけは、覚えておくべきことですが、
何の問題もない有料老人ホームが
売りに出ることはない、ということです。

先ほどの資金繰りの悪化ならば、分かりやすいのですが、それ以外の理由があるかもしれません。今まで、私の方で携わった案件では、下記のような問題がある、有料老人ホームもありました。

【1】社員の大部分が辞めてしまい、
オペレーションがまったく出来ていない

【2】入居金に返還について、
5人から別々に民事裁判を起こされている

【3】建物に瑕疵が見つかり、
今後の対応を行政と話し合っている

もちろん、このような問題があったら、M&Aで買収してはいけないというわけではありません。M&Aでは、あとから問題が発覚すると大変ですが、事前に分かっていれば、対処できるのです。

【1】であれば、社員が辞めた原因を見つけて、それを修正する、
【2】であれば、入居金のルールを変更するとともに、今の裁判も和解の提案をする、
【3】であれば、建物を診断しなおして、修繕するという方法で、問題を解決することができます。

現在の経営者は、心情的に嫌がっていたり、能力的にできなかったりと、この問題を解決できない理由があるのです。こちらは、それを理解して、それにかかるお金をM&Aの買収価格から差し引けばよいのです。

ただ、これも大事なことなので、覚えておいて欲しいのですが、どうしても、最初は、院長先生が時間を割いて、有料老人ホームの運営の指揮をとる必要があります。

片腕の事務長がいれば、その人でもいいのですが、とにかく、長年、医院経営や病院経営に携わってきて、あなた、もしくは信頼できる人が経営しなければいけません。

それだけ、医院経営や病院経営と同じぐらい、それ以上に、有料老人ホームの競争は激しいのです。

これは有料老人ホームに限ったことではありません。
どんな事業でも、同じように競争は激しいのです。

ただ、それでも、あなたの医療法人とシナジー効果がある事業に、多角化しているのです。一般の会社が参入するよりも、絶対的に有利な立場にいるのです。それを有効に活用すべきです。

弊社だけではなく、M&Aの情報が集まる専門会社に条件を伝えておけば、案件は紹介してくれるでしょう。

その中から会社を選び、お金さえ出せば、あとは、優秀なスタッフと専門家が、すべての手続きとそのあとの運営まで、やってくれると考えてはいけません。

M&Aで買った事業を、どのように、医院経営や病院経営と連携させていくのか、そして、実際の運営の方針をどうするのか、あなたが主体となって決めなくては、M&Aは成功しません。

あなたが、新規事業に関わることで、
現在の医院経営と病院経営とのシナジー効果は何倍にもなるのです。

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